
いまさら聞けない「スケルトン物件」って何?──ゼロから理想の店舗をつくれる空間の正体
「スケルトン物件」とは、建物の骨組みだけが残っていて、内装も設備も一切ない状態の店舗物件のことです。簡単に言えば、「白紙の状態から始められる賃貸物件」とイメージするとわかりやすいですよ。
① スケルトン物件とは何か?
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床・壁・天井・柱といった構造だけが残ったコンクリートむき出しの内装ナシ状態です。
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配線や配管もむき出しで、厨房・照明・間仕切りなど、一切何もない「ゼロ」からのスタートです。
飲食店やオフィスなどで使われるケースが多く、「居抜き物件」(前の店舗の設備や内装が残っている)の正反対に位置するタイプです。
② スケルトン物件のメリット
■フルオーダーで理想の空間を作れる
自由にレイアウトを設計できるので、ブランドや店舗コンセプトにぴったり合わせられます。業態やデザインに強いこだわりがある方向きです。
■ 内装がゼロだから設備を好きに選べる
前のテナントの古い設備に縛られず、新しい機器や最新仕様を自分で選択できます。メンテナンスや故障リスクも軽減できます。
■前の店舗イメージを引きずられない
まっさらな状態なので、過去にネガティブな印象が残っている物件からスタートしたい人にも安心。また、完全に新しい雰囲気でアピールできます。
③ スケルトン物件のデメリット
■初期費用が高くつく
内装工事や設備導入、厨房設備、照明など、自らすべて準備する必要があり、1坪あたり60〜70万円以上かかることもあります(10坪で600万〜700万円以上ですね)。
■開業までに時間がかかる
設計・工事・行政申請などを含め、準備期間は1〜3ヶ月、場合によっては半年近く必要なこともあります。
■退去時に「スケルトン返し」が必要になる
契約上「借りたときと同じ骨組み状態に戻すこと」が求められるケースが多く、撤去費用や工事費が別途必要になることがあります。
④ 比較:スケルトン vs 居抜き
項目 | スケルトン物件 | 居抜き物件 |
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内装・設備 | なし(自由設計) | 既存設備・内装が残っている |
初期費用 | 高い(ゼロから準備) | 比較的安い(既存を活用) |
開業スピード | 遅い(設計・申請・工事が必要) | 早い(ほぼそのままスタート可) |
退去時の原状回復 | 元に戻す義務あり(スケルトン返し) | 増設分の撤去や設備返却が必要な場合あり |
自由度 | 非常に高い | 制約が多く、前任者の影響が残る |
→ ご希望の自由度、資金、開業スピードによって、どちらが適しているかを見極めましょう。
⑤ スケルトン物件が向いている人・業種
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ブランド力や店舗デザインに強いこだわりがある方
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飲食・カフェ・美容室など、内装や動線設計を重視する業態
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初期投資に余裕があり、時間をかけて開業したい方
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既存店舗と差別化したい、まったく新しいイメージで立ち上げたい方。
⑥ スケルトン物件利用時に気をつけたいポイント
■契約内容(原状回復義務)を確認する
退去時にどこまで元に戻すのか、契約書で明確に規定されているか確認しましょう。不明瞭な場合は貸主へ確認を!
■必要な工事と期間を計画する
設計・工事・申請・内装・設備導入などを含めた期間と費用を余裕を持って見積もり、オープン日を逆算して準備しましょう。
■複数見積もりを取って比較する
工事会社や設計事務所から複数の見積もりを取り、費用の内訳や品質を比較することが失敗を防ぎます。
まとめ:スケルトン物件は“自由と責任のバランス”が問われる選択
スケルトン物件は、“自分の理想を形にしたい”という自由を与えてくれる反面、時間も費用も全部自分で責任を負う世界です。
飲食店・カフェ・美容サロン・ギャラリーなど、独自性を持った店舗設計を考えている方に向いていますが、十分な資金計画とスケジュール管理ができることが前提になります。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。