
創業融資における「時間」の重要性とは?審査に影響する3つの時期を解説
はじめに:融資審査における“時間の壁”とは?
ズバリ言います。創業融資を検討するうえで、「時間」は最も見落とされやすく、かつ重要な要素です。
起業前後のどのタイミングで申請するかによって、審査の視点や難易度が大きく変わってくるのです。本記事では、創業融資の申請タイミングを「3つの時期」に分けて、金融機関の見方の変化についてわかりやすく解説します。
目次
- 創業融資における“時間”の考え方
- ① 創業前の融資申請(計画ベース)
- ② 創業後1〜3ヶ月の申請(初動の重要性)
- ③ 創業後6ヶ月以降の申請(実績評価)
- 創業融資の準備に「時間管理」が必要な理由
- よくある質問(FAQ)
創業融資における“時間”の考え方
創業融資は、いつ申請しても同じというわけではありません。実際には、創業時期の「フェーズ」に応じて、審査の基準や評価ポイントが変わってきます。
そのため、事業計画や資金計画と同様に、“時間の戦略”も非常に重要です。
① 創業前の融資申請(計画ベース)
この段階では、まだ開業届も出していない、事業が始まっていないケースが多いです。
金融機関は以下のような要素を重視します:
- 事業計画の具体性と実現可能性
- 起業前の職歴や業界経験
- 自己資金の蓄積状況
- 起業準備の進捗状況
全てが“計画”ベースになるため、資料の説得力やロジックの整合性が求められます。
② 創業後1〜3ヶ月の申請(初動の重要性)
このタイミングでは、すでに開業してはいるものの、まだ売上などの実績が乏しい時期です。
金融機関は以下の視点で評価します:
- 事業が実際にスタートしているか(実態確認)
- 初期の売上や取引先状況
- 計画と現状の乖離がないか
計画+α(初動の実績)で評価される点が特徴です。
③ 創業後6ヶ月以降の申請(実績評価)
この時期になると、金融機関は事業の実績をしっかり確認するフェーズに入ります。
- 売上が立っているか
- 利益が出ているか
- 返済に十分なキャッシュがあるか
ここで分かれ道になるのが、「想定通りに成長している企業」と、「売上が低迷して資金が不足している企業」の差です。
後者の場合、「資金が苦しくなってからの申請」と見られ、評価が厳しくなる傾向にあります。
創業融資の準備に「時間管理」が必要な理由
起業準備中の方で多いのが、
「そのうち準備しようと思っていたけど、気づけば半年経っていた…」
というケース。
創業融資は、スピード感を持って準備することがとても大切です。計画的に進めることで、選択肢も広がり、融資の可能性も高まります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 創業前と創業後、どちらが審査に通りやすい?
A. 計画の精度と準備状況によりますが、創業直後(1〜3ヶ月以内)が最もバランスが良いタイミングです。
Q2. 創業から1年経過していても融資は受けられますか?
A. 可能ですが、創業融資ではなく通常融資扱いとなり、実績重視の審査になります。
Q3. 時間がかかりすぎるとどうなりますか?
A. 業績が芳しくないと判断されたり、制度対象から外れる可能性があります。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。