
信用金庫の融資審査は本当に甘いのか?その実態と向き合おう
こんにちは、起業コンサルタント(R)、税理士、行政書士、特定社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの中野裕哲です。今回は、「信用金庫の融資審査は甘いって聞いたんですけど、本当ですか?」という、起業準備中の会社員の方からよく受ける質問にズバリお答えしたいと思います。
1. 信用金庫ってどんな金融機関?
まずは基本の確認から。信用金庫は地域密着型の協同組織金融機関で、都市銀行とは異なり、地域の中小企業や個人事業主を中心に支援している存在です。そのため、会員資格や営業地域に制限はありますが、そのぶん親身に対応してくれるのが特徴です。
また、信用金庫は「相互扶助」の精神のもとに設立されたため、利益を最優先する都市銀行とは根本的にスタンスが異なります。地域経済を支える存在として、地元で起業を目指す方々には非常に心強い味方となってくれるのです。
2. 「審査が甘い」の真相とは?
結論から言えば、「信用金庫の審査が甘い」という表現は、誤解を招く可能性があります。
確かに、都市銀行に比べれば小口融資にも柔軟で、過去の取引実績や事業の将来性を評価してくれる傾向がありますが、「誰でも簡単に借りられる」ということでは決してありません。むしろ、あなたの人柄、計画の現実性、そして信用情報をしっかりと見られます。
信用金庫は、財務データだけでなく、「人間性」や「地域貢献度」などの定性的な要素も重視します。ですから、「甘い」というよりは、「しっかりと人を見る」というスタンスが正しい理解です。
3. 創業融資を狙うなら信用金庫がおすすめな理由
起業準備中の会社員が創業融資を受ける際、信用金庫を選ぶメリットは以下のとおりです。
- 地元密着なので、経営者本人と面談して信頼関係を築ける
- 小回りが利き、柔軟な対応が期待できる
- 日本政策金融公庫と連携した「制度融資」を使えるケースもある
- 金利も比較的低めで、返済計画が立てやすい
特に、これから創業しようとする方にとっては「誰かが自分の話をしっかり聞いてくれる」というだけで大きな安心材料になります。信用金庫は、そうした相談の窓口として最適な金融機関です。
4. 信用金庫に好印象を与える準備とは?
では、どうすれば信用金庫に信頼され、融資が通りやすくなるのでしょうか?ポイントは以下の4つです。
(1) 練り込まれた事業計画書
夢や思いだけでなく、数字の裏付けがあること。特に売上予測と利益率、返済原資を明示しましょう。さらに、市場調査に基づいた戦略性や競合優位性が盛り込まれていれば、審査担当者の印象もぐっと良くなります。
(2) 自己資金の蓄積
全額借入では信用されません。最低でも必要資金の1/3以上を自己資金として準備するのが望ましいです。「自分のお金をどれだけ投資しているか」は、事業に対する本気度のバロメーターになります。
(3) 業界経験の有無
まったくの未経験業種よりも、過去に実績や関係性がある分野のほうが信頼性は高まります。「何ができるのか」「なぜあなたに任せて大丈夫なのか」を、職歴や経験でアピールしましょう。
(4) 人柄・熱意・誠実さ
信用金庫は人を見ます。面談時には清潔な服装で、誠実な態度を心がけましょう。「この人になら貸しても大丈夫」と思ってもらえるような立ち居振る舞いが大切です。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 信用金庫と銀行、どちらが融資を受けやすいですか?
A. 地域に根ざした信用金庫のほうが、創業間もない企業には親身になってくれる傾向があります。都市銀行は大企業向けの融資がメインですので、創業期の小規模事業者にはややハードルが高い傾向にあります。
Q2. 無担保でも借りられますか?
A. 創業融資では無担保・無保証の制度も多くあります。ただし、審査書類や面談の内容で判断されます。保証協会の利用や自治体の制度融資なども視野に入れて検討しましょう。
Q3. 信用金庫と取引がないのですが、いきなり相談しても大丈夫ですか?
A. まったく問題ありません。むしろ、早めに相談して信頼関係を築くことが大切です。定期預金や口座開設から始めて少しずつ関係を深めていくのも効果的です。
Q4. 審査に落ちたらどうすれば?
A. 原因をフィードバックしてもらい、再度のチャレンジも可能です。必要に応じて、事業計画をブラッシュアップしましょう。あきらめず、別の制度融資や公的支援の選択肢を検討していきましょう。
まとめ
信用金庫の審査は「甘い」というより「人を見てくれる」という意味で、起業家にとっては非常にありがたい存在です。ただし、その分、しっかりとした準備と誠実な姿勢が求められます。
起業は準備が9割。お金の問題も例外ではありません。事業の方向性や資金繰りの見通しを明確にし、「融資を受けること自体が目的」にならないように注意しましょう。
融資は、あなたの事業を育てるための大切な手段。焦らず、しかし着実に、準備を進めていってください。
ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。起業という新しい一歩を、心から応援しています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























