
ものづくり補助金 建設業の活用事例:ICT建機・ドローン導入の実例
「人手不足が深刻で、若手も思うように採れない。ICT建機やドローンを導入して省人化を進めたい。さらに、測量や点群データ解析といった新しい事業にも挑戦したいが、数百万円単位の投資はさすがに重い」——建設業の経営者からよく聞く悩みです。こうした設備投資や新規事業への挑戦を後押ししてきたのが、国の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」です。そして2026年度からは、この2つが統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」という新しい制度として実施される見通しです。本記事では、まずこの新制度の全体像を整理したうえで、建設業がICT建機・ドローンを導入する場合の活用事例を、補助金の目的別にわかりやすく紹介します。
2026年度からの新制度「新事業進出・ものづくり補助金」とは
これまで、中小企業の設備投資や新規事業への挑戦を支える補助金として、「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」がそれぞれ別の制度として運用されてきました。2026年度からは、この2つが「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される方向で進められています。従来それぞれの制度で行われてきた公募は順次最終回を迎え、統合後の新制度の公募要領は2026年内に公開される見通しです。
統合といっても、制度の基本的な考え方が大きく変わるわけではありません。「既存事業の生産性を高める投資」(従来のものづくり補助金が担ってきた領域)と、「新しい事業分野へ進出する投資」(新事業進出補助金が担ってきた領域)という2つの方向性は、新制度にも引き継がれる見込みです。一方で、補助上限額や対象経費の範囲などには見直しが入るとされており、制度の枠組みや金額は今後の公表内容で固まります。申請を検討する際は、必ず最新の公式公募要領で確認してください。
新制度の2つの方向性と建設業での位置づけ
新制度を建設業に当てはめると、投資の目的によって使い方が分かれます。
- 生産性向上の投資(従来のものづくり補助金の領域):ICT建機で自社施工の省人化・効率化を進めるなど、既存事業の生産性を高める投資。
- 新分野進出の投資(従来の新事業進出補助金の領域):ドローン測量サービスや点群データ解析を新たな収益事業として外販するなど、新しい事業分野への挑戦。
同じICT建機・ドローンの導入でも、「何のための投資か(生産性向上か、新規事業か)」によって、新制度のどの方向性に当てはまるかが変わります。
建設業が新制度で導入できる設備・機械
建設業の場合、単なる買い替えではなく「生産性や付加価値が明確に向上する投資」であることが重要です。代表的な対象を整理します。
ICT建機(マシンコントロール・マシンガイダンス)
GNSS(衛星測位)や3D設計データを使って掘削・整地を自動制御するICT建機は、生産性向上の投資と相性の良い設備です。熟練オペレーターでなくても高精度な施工ができ、丁張り作業の削減や手戻りの防止により、工期短縮と省人化を同時に実現できます。
ドローン(3D測量・点群データ)
ドローンによる空撮と3D点群データ生成は、起工測量・出来形管理・進捗管理のDX化につながります。従来は数日かかっていた測量を半日程度に短縮できるケースもあり、業務効率と付加価値向上の根拠を示しやすいのが特徴です。測量業・建設業での導入実績が増えています。
施工管理・自動化システム
3次元設計データの作成ソフト、施工管理クラウド、墨出しロボットなど、現場のDXを進めるシステム・機器も、生産性向上の取り組みとして申請対象になり得ます。
各補助金(新制度の各方向性)での活用事例:建設業
ここからは、建設業でICT建機・ドローンを導入する場合の活用事例を、新制度の2つの方向性に分けて紹介します(一般的な事例をもとに構成しています)。
生産性向上の投資としての活用事例(ものづくり補助金の領域)
- 土木工事業(ICTバックホウ導入):マシンコントロール対応のICTバックホウを導入し、丁張り作業と測量補助の人員を削減。1現場あたりの施工日数を約2割短縮し、若手でも一定品質の施工ができる体制を構築。
- 解体・造成業(ICT整地+ドローン進捗管理):ICTブルドーザーとドローンを組み合わせ、土量計算と進捗報告を自動化。発注者への報告品質が上がり、公共工事の評価点向上にもつながった。
いずれも「省人化」「工期短縮」「付加価値向上」といった効果を数値で示している点が共通しています。
新分野進出の投資としての活用事例(新事業進出補助金の領域)
- 測量・建設コンサル(ドローン3D測量の外販):測量用ドローンと点群解析ソフトを導入し、起工測量から出来形管理までを3次元データで一元化。自社施工の効率化にとどめず、近隣事業者の起工測量や出来形管理を受託する新サービスとして外販し、受注単価と粗利を改善。
ドローン測量や点群解析を「自社施工の効率化」にとどめず、他社向けの測量・点群データ提供サービスとして新たに立ち上げる場合は、新分野進出の投資として計画を描けます。既存の施工事業に加えて新しい収益の柱をつくる投資という位置づけです。
どの方向性で申請する?使い分けの考え方
- 既存事業の生産性を高めたい:ICT建機で自社施工を省人化・効率化する → 生産性向上(ものづくり補助金)の方向性
- 新しい事業分野に進出したい:測量・点群データ解析・維持管理など新サービスを外販する → 新分野進出(新事業進出補助金)の方向性
- 投資規模が大きい:新分野進出で大型投資が必要なら、上限額の大きい枠が向く場合がある
同じICT建機・ドローンの導入でも、「何のための投資か(生産性向上か、新規事業か)」で適した方向性・申請枠が変わります。新制度では対象経費の範囲や枠ごとの要件が見直される見込みのため、申請枠の選定段階で専門家に相談すると失敗が少なくなります。
採択されるためのポイント
- 生産性向上の効果を数値で示す:作業時間の削減率、対応可能件数の増加、付加価値額の伸びなどを具体的に記載する。
- 人手不足・賃上げとの結びつき:省人化で生まれた余力を賃上げや新規受注にどうつなげるかを描く。
- 単なる買い替えにしない:既存設備の更新ではなく、新しい工法・サービスにつながる投資であることを明確にする。
- 新規事業は「新しさ」と市場性を示す:新分野進出の枠では、既存事業との違い・新たな市場の見込み・収益化の道筋を具体的に描く。
- 事業計画の一貫性:現状の課題→投資内容→効果→将来像が一本の線でつながっているかを確認する。
なお、汎用パソコンや一般的な事務用品など、どの事業者でも使う汎用品は原則として補助対象になりません。
申請の流れとスケジュール
- GビズIDプライムの取得(取得に時間がかかるため早めに)
- 公募要領の確認と申請枠の選定
- 事業計画書の作成(投資内容・効果・収支計画)
- 電子申請システムからの提出
- 採択発表 → 交付申請 → 設備発注・導入 → 実績報告 → 補助金入金
新制度の公募要領は2026年内に公開される見通しで、申請時期や枠の構成は今後の公表内容で確定します。補助金は原則として後払い(精算払い)です。設備代金はいったん自己資金や融資で立て替える必要があるため、資金繰りもあわせて計画しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 中古のICT建機やドローンも対象になりますか?
A. 公募回や枠によって取り扱いが異なります。中古品は対象外・条件付きとなる場合があるため、最新の公募要領で確認してください。
Q. リースでの導入は使えますか?
A. 購入が基本ですが、一定の条件下でリースが認められる場合もあります。導入方法を決める前に専門家に相談すると安全です。
Q. 生産性向上と新分野進出の両方の取り組みに使えますか?
A. 新制度では投資の目的に応じて申請する方向性(枠)が分かれる見込みで、同一の経費を重複して申請することはできません。投資の目的に応じて使い分けるのが基本です。時期をずらして別々の取り組みに活用できるかは、公募要領の併願ルールを確認してください。
Q. 採択率を上げるにはどうすればよいですか?
A. 審査は事業計画の説得力で決まります。効果の数値化と、補助事業終了後の継続的な成長ストーリーが鍵になります。
まとめ
2026年度からは、「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される見通しです。ただし、「既存事業の生産性向上」と「新しい事業分野への進出」という2つの方向性は引き継がれる見込みで、建設業ではICT建機による自社施工の省人化は生産性向上の投資、ドローン測量・点群解析の外販は新分野進出の投資、と整理できます。同じ設備投資でも目的によって適した枠が変わり、補助額・要件・スケジュールは新制度の公募要領で確定します。「自社の投資はどの方向性に当てはまるのか」「どの枠で申請すべきか」で迷ったら、申請実務に精通した専門家に早めに相談することをおすすめします。
【無料相談のご案内】
弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが補助金支援を行っております。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























