
飲食店で起業するとき、内装工事はいくらかかる?
「飲食店を始めたいけど、内装費用ってどのくらいかかるの?」
これは起業を考える方から最も多くいただくご質問のひとつです。
結論から言いますと、内装工事の費用は「物件の状態」と「お店の業態」によって大きく変わります。ざっくりでも良いので、自分の構想に近い店舗で、いくらぐらいかかるのかを知っておくことがとても大切です。
◆ 内装費用の相場感を知ろう
内装工事費は一般的に「坪単価」で見積もられます。つまり、1坪(約3.3㎡)あたりいくらかかるか、という計算ですね。
以下が目安となる坪単価です:
- 居抜き物件の場合:20万〜60万円/坪
- スケルトン物件の場合:40万〜80万円/坪
- こだわりの高級仕様:100万円超えもあり
たとえば15坪のスケルトン物件に出店する場合、
50万円×15坪=約750万円が平均的な工事費となります。
逆に、居抜きで設備を活用できる場合は、300万円台で済むこともあります。
◆ 居抜き物件 vs スケルトン物件
▷ 居抜き物件とは?
前のテナントの内装や設備がそのまま残っている状態の物件です。
厨房機器や空調などをそのまま使えるため、初期費用をグッと抑えられるのがメリット。ただし、自分のお店のイメージに合わない内装だった場合、逆に工事費が膨らむこともあるので注意です。
▷ スケルトン物件とは?
床・壁・天井がすべてコンクリートむき出しの状態。
一から自由に内装を設計できますが、その分、費用と工期がかかるのが特徴です。設計から工事までフルで行うため、見た目も機能性も思い通りにできます。
◆ 費用の内訳を見てみよう
飲食店の内装工事は、以下の3つの構成要素から成り立っています。
- 設計費:店舗の図面作成やレイアウト、動線設計など。全体の5〜10%程度が相場です。
- 施工費:壁・床・天井・配管・電気・空調・換気など、実際の工事にかかる費用。ここが最も大きな割合を占めます。
- 厨房・什器設備費:冷蔵庫、オーブン、シンク、テーブルやイスなど。中古やリースでコストを抑えることも可能です。
厨房設備は特に費用がかかりやすく、全体の30〜40%を占めることもあります。
◆ 業態別の費用感
飲食店といっても、業態によって大きく異なります。以下に簡単な目安をまとめました。
- カフェ・軽飲食店:坪単価 30〜60万円
- 居酒屋・バル:坪単価 40〜80万円
- ラーメン・定食屋:坪単価 50〜70万円
- 焼肉店・高級レストラン:坪単価 70〜100万円
たとえば、10坪のカフェを居抜きで始めるなら300万円前後。スケルトンから高級焼肉店を始めるなら、1000万円を超えることもあります。
◆ 小規模店舗は坪単価が高くなりがち?
これは意外に思われる方も多いですが、面積が小さいほど坪単価は高くなる傾向があります。
なぜなら、照明や厨房、換気設備など、必要な設備が面積に関係なく「最低限」必要になるからです。5坪の店舗も20坪の店舗も、シンクは1つ、冷蔵庫は1台必要…という具合ですね。
◆ コストを抑える工夫あれこれ
- 居抜き物件を上手に選ぶ:
業態が似ていれば設備がそのまま使え、コストダウンに直結します。 - 複数社から見積もりを取る:
相場を知るためにも、必ず2〜3社から見積もりを取りましょう。 - 厨房機器は中古品も活用:
新品にこだわらず、状態の良い中古を利用すれば初期費用を大幅にカットできます。※ただし、営業中の故障リスクが高くなるため注意。 - デザインにメリハリを:
目立つ場所だけしっかり作り、裏方は最低限に抑えることで全体の工事費を圧縮できます。
◆ 設計段階から計画的に!
内装費用が当初の見積より膨らむ理由の多くは、「最初の計画不足」です。
- どんな客層を狙うのか?
- 客単価はどれくらいか?
- 回転率や席数は?
こうした事業計画に応じて、内装にかけるべきコストも自然と見えてきます。数字で判断できるよう、予算内で収益が見込める設計を心がけたいですね。
まとめ:内装費は「物件 × 業態 × 戦略」で決まる!
- 飲食店の内装工事費は一律ではなく、物件の状態(居抜き・スケルトン)と業態(カフェ・焼肉など)によって大きく変動します。
- 坪単価は20万〜100万円以上と幅広い
- 居抜きなら大幅に抑えられるが、業態との相性が重要
- 小さなお店ほど坪単価は割高になりがち
- 複数社見積もりや中古設備でコストダウンを図ろう
- 自己資金だけで賄おうとすると、どうしても設備投資をガマンすることになるため、創業融資をうまく活用しよう
内装費用は店舗運営のスタート地点であり、資金計画の要でもあります。「夢を形にする投資」と捉えて、戦略的に準備を進めていきましょう!
ご不安な点や個別の見積もり相談など、いつでもお気軽にご相談ください。店舗づくりの第一歩を、安心して踏み出せるようサポートいたします!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























