
美容室を開業しようと考えたとき、真っ先に気になるのが「内装工事にいくらかかるのか?」という点ではないでしょうか。内装は、お客様の第一印象を左右するだけでなく、働きやすさや動線、回転率にも直結する重要な要素です。
ズバリ言いますと、美容院の内装工事費用は「坪単価」と「物件の状態」によって大きく変わります。今回は、内装費の相場や費用構成、そしてコストを抑えるコツまで、実務的な視点でわかりやすく解説していきます。
坪単価で見る内装工事の目安
内装工事費用は、一般的に「坪単価」で計算します。美容室の場合、以下がひとつの目安です。
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シンプル仕様(最低限の内装):20〜30万円/坪
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中間グレード(一般的な美容院):30〜50万円/坪
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こだわり仕様(高級感のある仕上げ):50〜70万円/坪以上
つまり、15坪の物件で中間グレードの内装にすると、450万〜750万円程度が相場というわけです。もちろんこれはあくまで目安であり、設計内容や業者、地域などによって増減します。
居抜き物件とスケルトン物件の違い
物件の選び方も費用に直結します。
▷ 居抜き物件の場合
前テナントが美容室で、設備や什器がある程度残っている場合、工事費を大幅に抑えられます。壁・床・配管・シャンプー台などがそのまま使えるなら、全体の工事費が30〜50%程度カットできることも。
ただし、既存設備が古い、もしくは自分の希望と合わない場合は、結局解体費がかかることもあるので要注意です。
▷ スケルトン物件の場合
いわゆる“コンクリート打ちっぱなし”の状態から一から内装を作るスタイルです。自由にレイアウトやデザインを考えられる一方で、給排水や空調、壁や床の仕上げなど、全てを新設する必要があり、費用は高くなります。
面積別の費用イメージ
以下は目安ですが、開業時の資金計画にぜひ参考にしてみてください。
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10坪サロン(スタイリスト1〜2名規模):300〜500万円
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15坪サロン(2〜3名体制):450〜750万円
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20坪サロン(複数席+待合スペースあり):600〜1,000万円
小規模な店舗であっても、必要な設備が減るわけではないため、坪単価はやや高めになる傾向があります。
内装費用の構成を知ろう
内装工事費はおおまかに以下のような項目に分かれます。
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設計・デザイン費
コンセプト設計、図面作成、インテリアのスタイリングなど。 -
工事費
壁・床・天井の仕上げ、給排水・電気工事、空調、照明など。 -
什器・設備費
シャンプー台、セット面、ミラー、収納、受付カウンターなど。
美容室は水回りや電源設備が特殊なので、工事費の中でも配管・空調・電気に多くの費用がかかる傾向があります。
コストを抑えるための5つのポイント
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居抜き物件をうまく活用する
動線や設備が使える物件を選べば、大幅なコスト削減が可能です。 -
中古什器を活用
新品の設備にこだわらず、中古で費用を圧縮する手もあります。※ただし、営業上の故障リスクは高まるため注意。 -
複数の業者に見積もりを依頼する
同じ条件でも数十万円単位で見積額が変わることも。相見積もりは必須です。 -
不要な装飾を減らす
デザイン重視になりすぎず、シンプルな内装で「清潔感+利便性」を重視。 -
創業融資・補助金の活用
創業時の内装費用に使える創業融資制度や創業系の補助金もあります。専門家にご相談の上、要件に合えばぜひ活用を。
設計段階から利益を意識しよう
どんなに素敵な店舗を作っても、内装費に予算をかけすぎて資金繰りが厳しくなっては本末転倒です。
たとえば1席あたりの売上見込みや客単価、回転率から逆算して「何席必要か」「どれくらいの広さが妥当か」を考え、そのうえで「どれくらいの工事費が妥当か」を見積もる。これが利益の出るお店づくりの基本です。
まとめ:美容室の内装工事は戦略の一部
美容室の内装工事費用は、目安としては「坪単価30〜50万円」が一般的です。ただし、これはあくまで平均値。業態・物件の状態・コンセプト・設備の有無によって、大きく前後します。
重要なのは、ただ安く済ませるのではなく、“利益を出すための投資”として工事費を考えること。そのためには、売上計画と照らし合わせながら、無理のない範囲で内装を整えていく必要があります。
もし内装費用の見積もりや、事業計画書づくりで迷われたら、どうぞお気軽にご相談くださいね。開業支援のプロとして、あなたの夢の実現を全力でサポートいたします!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。