
株式会社とは?起業前に知っておきたい基礎知識と設立の流れを徹底解説
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・社労士・行政書士・FPの中野裕哲です。
今回のテーマは「株式会社」について。特に、これから法人化を考えている個人事業主の方に向けて、ズバリ!株式会社とは何か、なぜ選ばれるのか、どうやって設立するのかを、やさしく丁寧に解説していきますね。
【本記事の想定読者】
加藤 さん(仮名)/30歳/個人事業主歴3年のフリーランスデザイナー
- 現在はフリーランスで活動中
- 法人化に関心があるが「株式会社と合同会社の違い」がよくわからない
- 「ちゃんとした会社にしたいけど、難しそう」と不安も感じている
第1章 そもそも「株式会社」とは?
ズバリ言います。
株式会社とは「株式を発行して資金を集めることができる会社形態」で、出資者(株主)と経営者(取締役)を分けて考えることができるのが特徴です。
法人格を持ち、有限責任であるため、仮に会社が倒産しても、原則として株主個人は出資した範囲でしか責任を負いません。
だからこそ、取引先や金融機関からの信用度が高く、「ちゃんとしている会社」というイメージを持たれやすいのです。
また、法律や税務の上でも明確なルールがあり、事業をスケールさせていく上では「株式会社」という形態が有利に働くケースも少なくありません。
第2章 株式会社のメリット・デメリット
【メリット】
- 信用力が高い:株式会社というだけで「取引先が安心しやすい」
- 資金調達しやすい:株式発行での出資や、金融機関からの融資にも有利
- 役員報酬の設定で節税効果も:給与と経費の切り分けが可能に
- 後継者や共同経営がしやすい:株式の譲渡などでスムーズに承継できる
- 上場が可能:将来的にIPO(新規株式公開)を目指す場合にも対応できる
【デメリット】
- 設立コストが高い:合同会社に比べて登録免許税や公証人費用がかかる
- 運営がやや複雑:株主総会、取締役会などの手続きが必要な場合も
- 決算公告の義務:毎年、官報などで決算を公開する必要がある
- 株主との利害調整が必要:株主が多い場合、意見の調整や経営の安定性に配慮が必要
第3章 株式会社と合同会社の違い
これもよく聞かれる質問です。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
信用力 | 高い | やや低い(新しい形態なので) |
設立費用 | 約25万円〜 | 約10万円〜 |
経営の柔軟性 | やや形式的 | 柔軟に設計可能 |
代表者の肩書 | 代表取締役 | 代表社員 |
利益配分 | 株式の持ち分に応じて | 出資比率に限らず自由 |
株式会社は制度上、一定の厳格さを持っていますが、それが「安心感」や「信頼」にもつながります。
一方で合同会社は、設立が簡単で運営の自由度も高く、最近ではIT業界を中心に増えています。
加藤さんのように「将来、大手との取引や融資を考えている」場合は、やはり株式会社の方がオススメです。
第4章 株式会社設立の流れ【ステップバイステップ】
ステップ1:会社概要の決定
- 商号(会社名)
- 目的(事業内容)
- 本店所在地
- 資本金額
- 発起人・取締役の人数や任期
※この段階で、今後の展望に応じたビジョンを定めておくと、その後の事業展開がしやすくなります。
ステップ2:定款の作成と認証
- 会社の「設計図」となる定款を作成
- 株式会社は公証人役場での認証が必要(5万円程度)
- 電子定款にすると印紙代4万円が不要になるなど、費用を抑える工夫も
ステップ3:資本金の払込
- 発起人名義の個人口座に、全額入金する必要あり
- 通帳のコピーなどを保管しておくことも重要です
ステップ4:登記書類の作成
- 登記申請書
- 定款認証書
- 発起人決議書
- 就任承諾書 など
書類作成が苦手な方は、専門家のサポートを受けるとスムーズですよ。
ステップ5:法務局への登記申請
- 書類を法務局に提出し、受理された日が「会社設立日」に
- 登記完了後、会社の謄本や印鑑証明を取得可能に
第5章 設立後に必要な手続き一覧
設立して終わりではありません。その後の手続きも大切です。
● 税務関係
- 法人設立届出書(税務署)
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書 など
● 労務関係
- 社会保険の加入(年金事務所)
- 雇用保険・労災保険(労働基準監督署、ハローワーク) など
● 銀行口座開設
- 登記簿謄本、印鑑証明などが必要
- 法人口座がないと、取引先から信頼されにくい場合も
● その他
- 業種によっては、各種許認可や届出も必要
- 名刺、会社案内、Webサイトの整備もおすすめです
第6章 FAQ:よくある質問
Q1. 資本金はいくらから設立できますか?
A. 最低1円から可能ですが、実際には10〜100万円程度が現実的です。信用や資金繰りの面で考慮しましょう。
Q2. 代表取締役は1人でもいいの?
A. はい、1人でも問題ありません。取締役会や監査役の設置も任意です(小規模なら不要)。
Q3. 自分で設立手続きするのは難しい?
A. 可能ですが、定款作成や登記書類の準備に不安があれば、専門家(行政書士・司法書士)に依頼するとスムーズです。
Q4. 株式会社の維持費用はどのくらいかかりますか?
A. 会計・税務顧問料や、決算公告の費用、法人住民税(均等割)などが年間10万円〜数十万円かかるのが一般的です。さらに、事業を行うための費用も考える必要があります。
おわりに
「株式会社ってなんだか堅そうで難しそう……」そんなイメージを持っていた方も、今回の記事で少し身近に感じてもらえたでしょうか?
株式会社は、信用・資金調達・成長性・後継者対応と、さまざまな面でメリットの大きい法人形態です。
でも、どんな会社形態が合っているかは、その人のビジネスの内容や将来の構想によって異なります。
迷ったら、「自分にとって何がベストか?」を基準に考えてください。
設立するか迷っている段階でも、ぜひお気軽に専門家にご相談くださいね。
あなたの起業が、希望に満ちた一歩となりますように。心から応援しています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。