
据置期間って何?起業家が知っておくべき資金返済の仕組み
こんにちは。起業コンサルタント(R)・税理士・行政書士・FPの中野裕哲です。今日も実務に役立つお話をお届けします。
起業を1年後に控えて準備をしている会社員の皆さん、ズバリ言います。資金繰りは、起業家の生命線です。
そして、その資金繰りに“ゆとり”を持たせてくれる魔法のような仕組みが【据置期間】です。
1. 据置期間とは?
据置期間とは、融資を受けたあと一定期間、元本(借りたお金)の返済を猶予してもらえる期間のこと。
ただし、“返済ゼロ”ではなく、多くの場合は利息のみを支払います。
例:
500万円の融資を受けて、据置期間が1年間ある場合…
- 最初の1年間は利息だけの支払い
- 1年経過後に元本の返済がスタート
この仕組みにより、「売上がまだ安定しない創業初期」に返済の負担が軽くなります。
2. なぜ据置期間が重要なのか?
創業初期は、何かと出費がかさみます。
- 店舗の家賃
- 設備費用
- 広告宣伝費
- 仕入れ資金
売上が安定するまでの半年〜1年、この“猶予期間”があるだけで、資金繰りの余裕がまったく違ってきます。
3. 据置期間が設定できる融資制度
主に以下の融資で設定可能です:
- 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」 →最大5年の据置期間が可能
- 地方自治体や商工会議所の制度融資 →1年程度の据置期間付きのものが多い
- 信用保証協会付き融資(民間銀行) →交渉次第で設定可能
4. 据置期間のメリットと注意点
メリット:
- 起業初期のキャッシュフローが安定
- 売上の見込みが立ってから返済スタートできる
- 精神的プレッシャーが少なくなる
注意点:
- 元本返済が始まったあとの負担が大きくなる
- 据置期間中でも利息は発生する
- 無計画に設定すると逆に資金不足に
5. 据置期間はどう設定される?
実は、申込者が一方的に「2年にして!」とは言えません。
金融機関が、あなたの事業計画や資金繰り、業種などを見て、 「この方なら据置1年が適切ですね」と判断して設定します。
つまり、事業計画の説得力がカギなのです!
6. 据置期間の活用でよくある失敗例
- 据置中に黒字化できると甘く見積もる
- 売上が立たないまま元本返済が始まり、資金ショート
- 「どうせ返済猶予されるから」と無計画に使い込む
→せっかくの制度も、計画性がなければ逆効果です。
よくある質問(FAQ)
Q1:据置期間って自分で決められるんですか? →原則としては金融機関側が判断しますが、希望を出すことはできます。
Q2:利息は払わなくていいんですか? →いいえ、据置期間中も利息の支払いは通常あります。
Q3:据置期間が長ければ長いほどいいのでは? →長ければいいというわけではありません。期間後の返済額が大きくなるため、慎重に考えましょう。
Q4:日本政策金融公庫の創業融資では必ず据置期間がつきますか? →必ずではありません。申請内容や事業内容によって異なります。
まとめ:据置期間は「時間を買う」ための重要な戦略
起業家にとって、資金は“血液”のようなもの。
返済の猶予があるというだけで、立ち上がりのスピードや精神的余裕がまるで変わってきます。
大切なのは、据置期間を「活かす計画力」。
あなたの夢がカタチになるまでの“最初の1年”をしっかり乗り越えるために、この制度を正しく理解して、戦略的に活用していきましょう。
私も全力で応援しています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。