
営業力とマーケティング能力とは全く別物である理由とは?
経営の現場でよく耳にするのが「営業とマーケティングはどちらも大事」という言葉です。しかし、意外と多くの経営者や起業家が、この2つを混同してしまっています。
ズバリ言います——営業力とマーケティング能力は、似ているようでいて本質的には全く別物です。そして、この違いを理解して組織や戦略に落とし込めるかどうかで、会社の成長スピードは大きく変わります。
1. 営業力とは何か?
営業力とは、目の前の顧客に対して商品やサービスを販売し、契約や購入を成立させる力です。特徴は「1対1」または「限られた範囲」での直接的な働きかけです。
営業力が高い人は…
- 顧客のニーズを引き出すヒアリング力
- 説得力のある提案力
- 契約まで導くクロージング力
- 信頼関係を築くコミュニケーション力
たとえるなら、営業は現場の最前線で勝負する接近戦のスペシャリストです。
2. マーケティング能力とは何か?
マーケティング能力とは、見込み客を集め、購入意欲を高め、営業しやすい状態を作り出す力です。これは「1対多」や「仕組み」による間接的な働きかけが中心です。
マーケティング能力が高い人や組織は…
- 市場調査や顧客分析で的確なターゲットを設定
- 商品・サービスの魅力を最大化する企画
- 効果的な広告・SNS運用、メディア活用、SEO戦略など
- 見込み客の購買心理を高める導線設計
たとえるなら、マーケティングは戦略的に市場全体を動かす長距離砲のような存在です。
3. 大きな違いは「役割」と「時間軸」
役割の違い
- 営業:顧客との直接的な接触で契約を取りに行く
- マーケティング:営業が契約しやすい状況をつくる
時間軸の違い
- 営業:即効性重視(今日・明日の契約)
- マーケティング:中長期的効果(1か月後、半年後の顧客創出)
4. 混同すると起きる失敗
① 営業力頼みで疲弊
マーケティングを軽視し、すべてを営業力に依存すると、新規開拓が終わらず営業チームが疲弊。成約率も安定せず、長期的な売上基盤が築けません。
② マーケティング偏重で成果が出ない
逆に、広告やSNSで見込み客を集めても、営業スキルが低ければ成約に結び付きません。「問い合わせは多いのに売上が伸びない」という状況です。
5. 営業とマーケティングを連動させる方法
- ① 明確な役割分担:マーケティング:集客・見込み客育成 / 営業:個別対応・契約締結
- ② 顧客データの共有:マーケティング部門が集めた顧客情報や行動履歴を営業と共有
- ③ 成果指標を連動:リード数・質(マーケ)/成約率・契約数(営業)
- ④ 顧客体験を統一:広告と営業のメッセージの一貫性
6. 事例で学ぶ成功パターン
事例① BtoB企業の成長戦略
あるIT企業は、セミナーやホワイトペーパーで見込み客を集めるマーケティング施策を実施。営業は「温まった」リードに集中し、成約率が2倍に。
事例② 小売店の会員制度活用
マーケティング部門がSNSとポイントカードで来店客を育成。営業は再来店時に的確な提案を行い、客単価が向上。
7. 経営者が押さえるべきポイント
- 営業とマーケティングは車の両輪:片方だけでは長距離を走れない
- 役割と評価基準を明確化:混同しない組織づくり
- データと現場の融合:机上の戦略と現場の感覚をつなぐ
まとめ
営業力とマーケティング能力は、似て非なるものです。営業は目の前の顧客との接触で成果を上げる力、マーケティングは顧客を引き寄せる仕組みを作る力。
経営者として重要なのは、この二つを混同せず、相互に連動させることです。そうすれば、営業現場の負担を減らしながら、売上の安定と成長を同時に実現できます。
【無料相談のご案内】
弊社では、中野裕哲を中心とした所属専門家チーム(起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、中小企業診断士、FP、元日本政策金融公庫支店長、元経済産業省系補助金審査員など)が一丸となって、幅広い起業支援・経営支援を行っております。
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























