
いまさら聞けない「松竹梅戦略」ってなに?
~お客さまが自然に選びたくなる“選択の仕掛け”を仕込もう~
「プランはいくつか用意しているけど、お客さまが悩んで決めてくれない…」
「一番安いのに反応が悪くて、一番高いのも手が出しづらいと言われるんです…」
そんなお悩み、起業家・個人事業主の方からよくお伺いします。
実は、そうした“選ばれにくさ”の原因には、「選択肢の見せ方」が関係していることも多いのです。そこで登場するのが、「松竹梅戦略」です。
この戦略を知ると、価格プランやサービス内容に自然と順序と納得感が生まれ、お客様が迷いなく動いてくれる仕組みが作れます。
さっそく、やさしくご案内してまいりますね。
松竹梅戦略とは?
まずは基本のイメージからご説明しますね。
「松竹梅戦略」とは、同じジャンルのプランに「梅(ベーシック)」「竹(スタンダード)」「松(プレミアム)」と段階をつけて提示し、お客様が選びやすくする戦略です。
おそば屋さんなどでよく見ますよね!
たとえば美容メニュー、コーチング、オンライン講座など、複数のプランがあるときに…
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梅:必要最低限の内容で価格を抑えたプラン
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竹:バランスのとれた標準プラン
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松:しっかりサポートつきでワンランク上のプラン
こんな感じで並べると、人は自然と「竹(スタンダード)がちょうどよさそう」と感じやすくなるんです。
なぜ「松竹梅」が効果的なの?
この工夫が優れているのは、以下のような心理が背景にあるからです。
① 「比較がしやすくなる」
知らない世界で複数のプランを見せられると「どれがいいの?」と迷ってしまいますが、名前と特徴を段階で整理しておくだけで判断しやすくなります。
② 「スタンダードが安心に見える」
心理学的には、ミドルを選ぶ傾向が強いと言われています。「極端な安さより、真ん中が安心」という気持ちが働くからですね。
③ 「高価格帯の価値がわかりやすくなる」
例えば、竹(スタンダード)と松(プレミアム)の差が明確にあると、「少し追加するだけでこんな価値があるんだ」と理解しやすくなります。
松竹梅戦略の作り方ステップ
実際に取り入れるときのコツを、順にご紹介しますね。
ステップ①:「顧客像」に合わせて内容を設計する
まずは、「どんなお客さまに、どれくらいの価値を届けたいか?」を整理しましょう。
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梅:初めての方向け(例:相談1回のみ)
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竹:標準で満足したい方向け(例:相談3回+フォロー1回)
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松:本気で成果を出したい方向け(例:相談6回+おまけ付き)
このように構成することで、それぞれに価格と価値が対応して提示しやすくなります。
ステップ②:「価格」の差を明確にする
あまり価格差が小さすぎるとミドルがサンドされず、逆に高すぎると選びづらさが増します。
例えば:
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梅:10,000円
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竹:30,000円
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松:60,000円
このくらいの間隔で構えると、自然にスタンダードが選ばれやすくなります。
ステップ③:「視覚的に“竹”を強調」する
Webやチラシなどの見せ方でも工夫を。
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竹だけ背景を色付きに
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「おすすめ」ラベルをつける
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竹のボタンだけサイズや色を強調する
この視線誘導が、お客さまの判断をやさしく導いてくれます。
ステップ④:「オプションは別枠で整理」
松竹梅をベースにしつつ、さらに選びたい方には「オプション」を別に用意しましょう。
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+3,000円で◯◯つき
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+5,000円で出張対応
このように別枠で見せれば、選択の軸がぶれずに済みます。
実例シチュエーションでイメージしてみましょう
たとえば、オンライン相談サービスの場合。
例:プラン設計
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梅:初回相談・1回/5,000円
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竹:3回パッケージ・事前資料つき/15,000円(※おすすめマーク)
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松:6回フル支援+メール無制限サポート・資料+まとめPDF/30,000円
オプション:
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+5,000円で録画/
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+10,000円で資料制作まで対応
こんな風に整理すれば、「迷っている人」を「自分に合ったプランを自然に選ぶ人」に変えることができます。
最後に:松竹梅戦略は“選ぶ人への思いやり”
価格が整理されているだけで、「どれが自分にぴったりか?」がわかりやすくなります。それが信頼と納得につながり、結果として成約率の向上につながるわけです。
「迷わず選べるほど、親切なビジネス」は、お客様にとってもあなたにとっても、温かな循環を生み出します。
もし「迷う人が多い…」「どれが売れていいかわからない…」と感じる方は、ぜひ松竹梅を意識した価格表設計を試してみてくださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。