
ラーメン店・カフェのフランチャイズ開業で、融資の組み立てを間違えやすい4か所
ラーメン店やカフェのフランチャイズに加盟して独立する場合、本部から開業資金のモデルケースが提示されます。金額の内訳まで示されているため、そのまま日本政策金融公庫に申し込めばよいように見えます。ところが実際には、モデルケースに出てこない部分で資金計画が崩れ、開業後の資金繰りが苦しくなる例が出てきます。
この記事では、飲食の現場経験はあるものの自分名義での借入は初めて、という加盟検討者に向けて、フランチャイズ飲食店の開業融資でつまずきやすい4か所を整理します。加盟金や内装費の内訳ではなく、借りたあとに毎月どう回るかという視点でまとめています。なお本文の数字は執筆時点(2026年8月)の情報です。制度や金利は変わるため、申請前には申請先で確認してください。
前提として押さえる制度と数字
創業時の代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月に「新創業融資制度」が廃止され、現在の主制度になりました。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、創業期の方は原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。
2026年6月1日現在の基準利率は、創業期(税務申告を2期終えていない時期)に利用する場合で年3.45〜5.15%です。創業期の方が利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性がありますが、適用可否は利用する制度や審査・条件により異なるため、申請先で確認してください。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いとなります。返済期間は、新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合で設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。
スケジュールは、書類提出後おおむね3週間から1か月で実行という目安です。創業計画書や自己資金の裏づけ、見積書などを整える時間を含めると、合計で2か月程度を見ておくと開店日から逆算しやすくなります。
1つ目|毎月の本部への支払いを固定費に入れないまま返済計画を組む
加盟金や保証金は開業資金のモデルケースに初期費用として出てきます。一方で、ロイヤリティや広告分担金、本部システムの利用料といった支払いは、開業したあとに毎月出ていくものです。ここが返済計画から抜けると、売上が計画どおりでも手元に残る金額が想定と合わなくなります。
返済は、売上から原価と人件費と家賃を引いた残りではなく、そこからさらに本部への支払いを引いた後の利益から出していくことになります。ラーメン店やカフェは客単価が低く、席数と回転で組み立てる業態です。1杯あたりの利益が小さいぶん、毎月固定で出ていく金額の影響が読みにくくなります。加盟契約の条件書に書かれた料率と算定基準を、月次の数字に置き換えたうえで返済額を決めていく順番になります。
2つ目|据置期間を相談しないまま申し込む
元金返済の据置は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いになります。開店直後から計画どおりの客数が出るとは限らず、認知が広がるまでの期間をどう見るかで、必要な手元資金は変わります。
据置を使うかどうかは、申し込みの段階で資金繰りの見通しと合わせて相談する話です。実行後に返済条件を組み替えるのは簡単ではないため、開店から何か月で計画の売上に届く想定なのかを先に置き、その期間を据置でどこまで支えるかという形で考えると整理しやすくなります。据置は返済を免除する仕組みではなく、元金の返済開始を後ろにずらすものなので、据置が終わったあとの返済額も併せて見ておく必要があります。
混同すると、本部から受け取った資料をそのまま提出資料のつもりで用意し、肝心の創業計画書の作り込みが後回しになります。加盟説明の資料に載っている売上の想定値をそのまま創業計画書に書き写した場合も、面談で根拠を聞かれたときに自分の言葉で説明できない数字が残ります。本部の資料は自分の計画を組み立てるための材料として使い、提出する書類は融資側のリストで揃えるという切り分けになります。

💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
審査する側から見ると、希望額から減らす判断には大きく2つの理由があります。資金使途の妥当性と、資金調達の代替性です。店舗の場合は、商売として一等地が本当に必要なのかを問われることもあります。加盟先の標準仕様だからという説明だけでは弱く、その立地と設備が売上にどうつながるのかを自分の言葉で出せるかどうかで、見え方が変わります。
3つ目|本部の実績を自分の実績として説明してしまう
フランチャイズは、業態そのものに他店の運営実績があります。そのため、実績があるから審査でも有利になるはずだ、という受け取り方をしがちです。ただし審査で問われるのは、申込者本人が事業として創業した実績の有無であって、ブランドや業態の実績ではありません。
審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。業界未経験を補う方法としては、同業の知人から定期的に助言を受けている、経理や専門分野を業務委託で任せている、といった説明は経営への関与としては弱いものです。事業経験者を役員に迎えるなど、運営に直接関わる体制を作る方向で補うほうが計画としては通ります。飲食の現場経験がある場合は、その経験が加盟する業態のどの部分に効くのかを、勤務時の役割まで含めて具体化しておくと説明しやすくなります。
もう一点、創業融資だからといって決算書をまったく見ないわけではありません。新しく設立した会社であっても、一期でも決算が締まっていればその決算書が確認されます。また、代表者が別に会社を経営している場合は、その会社の決算書も確認の対象になります。会社員からの加盟であれば該当しませんが、すでに別の事業を持った状態で加盟する場合は、その決算の内容も踏まえて説明できるように整理しておくと、面談で答えに詰まらずに済みます。判断は個別の状況によって変わるため、詳細は申請先や専門家にご確認ください。

💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
返済力が乏しいから減額する、ということはありません。返済は返済期間で調整できる話で、収益の中から返済金が出せることを計画で示せていれば足ります。先に見られるのは、事業そのものが組み立てられているかどうかです。返済比率を気にして借入額を先に削るより、計画の中身を見直すほうが結果につながります。
まとめ
フランチャイズ飲食店の開業融資は、初期費用の内訳よりも、開業後に毎月どう回るかで組み立てが変わります。毎月の本部支払いを固定費として織り込むこと、据置期間を申し込みの段階で相談すること、提出書類を融資側のリストで揃えること、本部の実績と自分の実績を分けて説明すること。この4か所を先に押さえておくと、金額の根拠を自分で説明できる計画になります。加盟契約の条件と資金計画をどう突き合わせるか迷う段階でしたら、申し込み前にご相談ください。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























