
いまさら聞けない「プロパー融資」ってなに?──信用保証なしで銀行と直接契約する方式のすべて
こんにちは、起業支援、経営支援をしている中野裕哲です。
起業後や会社運営の資金調達を考えるとき、「プロパー融資」という言葉を耳にする場面があります。特に信用保証協会の保証が不要であることから、選ばれると信頼度アップにもつながる手法です。ただし、審査や条件が厳しいのも事実。今回はプロパー融資の定義からメリット・デメリット、活用の注意点まで、実務目線でわかりやすく整理しました。
① プロパー融資とは?
プロパー融資とは、銀行などの金融機関が信用保証協会などを介さず、直接借入者と契約を結び自己責任で貸し出す融資の仕組みです。
保証人や第三機関の保証がない分、審査基準は金融機関独自で厳しく設けられています。
言葉の由来は「proper(本来の)」という意味合いで、「正規の融資」という認識でも使われます。
② プロパー融資のメリット
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保証料が不要で、総返済額が抑えられる
信用保証協会の保証料が不要なため、同金額の借入でも負担が軽減されます。 -
金利が比較的低い傾向
銀行がリスクを判断した上で条件を提示するため、信用力の高い企業には低金利が適用されるケースもあります。 -
融資限度額の上限がない柔軟さ
銀行の判断により多額の資金調達が可能で、大型案件にも活用できます。 -
審査と実行が比較的迅速
信用保証協会を介さず銀行単独で審査されるため、結果が出るまで2〜3週間程度とスピーディです。 -
金融機関との信頼関係の構築につながる
プロパー融資を受けられる企業は銀行から信用されている証。今後の融資や取引にも好影響が期待できます。
③ プロパー融資のデメリット
デメリット | 内容 |
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審査が非常に厳しい | 銀行が全額リスクを負うため、実績・財務内容・事業計画の精度が問われます。 |
担保や経営者保証が求められることが多い | 無担保・無保証人というわけではなく、条件に応じた担保が必要となる場合が一般的です。 |
返済期間が短めに設定されるケースも | 貸倒れリスクを軽減するため、短期間の返済条件となることがあります。 |
信用力が低い企業には利用しにくい | 事業実績の少ない創業期企業や赤字続きの企業は、利用が難しくなります。 |
金利が割高になることもある | 信用力評価を低く判断された場合、金利が高めに設定される可能性があります。 |
④ プロパー融資を受けるための条件とタイミング
■信用力が重要な判断材料
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決算書上での黒字・キャッシュフロー・自己資本比率が重視されます。
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「借入残高 ÷(税引後利益+減価償却費)」=債務償還年数が10未満であることなど、財務指標に基づく評価もあります。
■銀行との関係性と実績がモノを言う
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長年の取引実績がある銀行では審査がスムーズになる傾向です。
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まずは信用保証付き融資や日本政策金融公庫の新規開業融資などを活用し、実績を積むと道が拓けます。
■地方金融機関による小口プロパー融資も
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一部地方では創業期でも相談できる融資制度があるケースもあります。地元銀行や信用金庫と早めの接触を検討するとよいでしょう。
⑤ プロパー融資を活かすためのポイント
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事業計画書や決算書の整備:返済能力を示せる資料を用意しましょう。
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銀行との対話の準備:専門家の助言を得ながら、金融機関との交渉を進めるのが安心です。
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信用実績を積むステップから:創業直後にプロパー融資を目指すよりも、まずは基盤を固めて信用度を構築するのがおすすめです。
まとめ:プロパー融資は“信用力を活かす選択肢”
プロパー融資は、保証料なし、金利優遇、大口融資など、多くの魅力を持つ資金調達方法です。ただし、「信用力と交渉力」があってこそ初めて活用できる形式。創業期や信用基盤が弱い段階では、信用保証付き融資を活用しながら基盤をつくることが賢明です。
将来的に信用力を積み上げ、金融機関との関係性を強めることで、事業拡大の選択肢として「プロパー融資」がリアルなものになります。
もし「融資戦略の相談」「事業計画のブラッシュアップ」「金融機関へのアプローチ方法を知りたい」などあれば、お気軽にご相談ください。あなたのビジネスが安心して資金を得られるよう、伴走いたします。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。