
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「放漫経営」ってどんな状態?
企業経営にはさまざまなリスクがありますが、その中でもじわじわと経営体力を奪うのが「放漫経営」です。
表面上は業績が悪くなくても、内部では崩壊のカウントダウンが進んでいるケースも珍しくありません。
経営者として、この状態を正しく理解し、未然に防ぐことが重要です。
1. 放漫経営とは?
ズバリ言います。
放漫経営とは、企業が計画性や規律を欠いた経営を続け、資金や資産を無駄に浪費してしまう状態を指します。
特徴としては…
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明確な収支計画がない
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ムダな経費や過剰投資
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成果が見えない人員増加
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在庫や資金の管理が甘い
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社内の規律やチェック体制が機能していない
この状態が長引くと、黒字でも資金ショートし、最悪の場合は倒産の危険があります。
2. なぜ放漫経営に陥るのか?
原因は複数あります。
① 好調時の油断
業績が好調なときに「多少使っても大丈夫」と判断し、経費や投資が膨らみます。
② 資金感覚の欠如
売上と利益、利益とキャッシュフローの違いを正しく理解していない経営者は、現金がある限り使い続けてしまいます。
③ 過度な拡大志向
市場シェア拡大や新規事業に無計画で参入し、資源を分散させてしまう。
④ 内部統制の欠如
チェック機能が働かず、不必要な支出や不正が放置されます。
3. 放漫経営がもたらす悪影響
① 資金繰り悪化
黒字倒産の多くは、放漫経営によるキャッシュフロー管理の甘さが原因です。
② 信用低下
金融機関や取引先から「経営管理が甘い会社」という評価を受け、資金調達や取引条件が悪化します。
③ 社員の士気低下
ムダな支出や不公平な投資が続くと、社員のモチベーションも下がります。
④ 長期的な競争力の喪失
計画性のない経営は、競合に対抗するための戦略的投資ができなくなります。
4. 放漫経営を防ぐための5つのポイント
ポイント① 数字で経営する
月次決算やキャッシュフロー計画を活用し、資金の流れを常に把握します。
ポイント② 投資判断の基準を明確にする
回収期間、ROI(投資利益率)など、投資のルールを決める。
ポイント③ 固定費の見直し
人件費、家賃、通信費など、毎月かかるコストを定期的に精査します。
ポイント④ 内部統制を整える
経費承認や契約管理のプロセスを明確にし、複数人でチェックする仕組みを作る。
ポイント⑤ シナリオプランニング
売上が減った場合や資金調達が難しくなった場合の対策を事前に用意する。
5. 成功事例と失敗事例
成功事例
ある中小製造業では、好調期に利益の一部を内部留保に回し、固定費を抑制。
景気後退期にも資金余力があり、競合が撤退した市場でシェアを拡大できました。
失敗事例
サービス業のB社は、売上増を背景に無計画な店舗拡大を実施。
人件費と家賃負担が重なり、資金ショートで閉店を余儀なくされました。
6. 今日からできる放漫経営防止チェックリスト
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毎月、収支とキャッシュフローを経営者自身が確認しているか?
- 会計や経理だけでなく、経営や資金繰り・キャッシュ、銀行対策・融資、補助金などがわかる税理士を顧問にする(価格や人脈だけで選ばない)
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投資や経費に「回収計画」があるか?
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固定費を半年ごとに見直しているか?
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社内に経費承認ルールが浸透しているか?
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景気悪化時の資金繰りシミュレーションを行っているか?
まとめ
放漫経営は、会社を一気に倒す嵐ではなく、気づかぬうちに足元から侵食するシロアリのような存在です。
だからこそ、経営者は常に数字と現場感覚の両方で経営状態をチェックし、規律を持った資金管理を徹底する必要があります。
好調なときこそ、無駄を削ぎ落とし、将来に備える。
それが、安定した成長を続ける経営者の共通点です。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。