例のカリスマ社長があるとき、言っていたこと。
今でも鮮明に覚えている。
誰もに好かれる経営者は、こういう考え方をするんだと思った。
「中野君、経営をしていくんだったら、敵は絶対に作ってはならないよ。
人それぞれいろんな考え方があるから、
経営上、誰かを味方にしたくても、味方になってくれないときはある。
それは仕方がない。その場合はプラスマイナス0だ。
ただし、敵にしてしまったら、足を引っぱられる。
経営にとってかなりのマイナスだ。」
なるほど。たしかにそうだ。
その会社では、右から左まで、すべての新聞を購読していた。
どんな人とでも、会話を合わせられるし、味方にしておけるからだ。
世の中もそうだし、社員だって、お客様だって、いろんな思想や考え方がある。
本当は支持する政党や思想があったとしても、あえて封印していた。
経営者は「旗幟鮮明」にするのが全て善とは限らないと思った。
経営というのは机上の学問で割り切れるような単純なものではない。
泥臭い政治や感情の世界でもあるのだと気づいた。
ライバルはいても良いとしても、不用意に敵に回すのは下策だろう。
もちろん、どんな思想も発言も個人の自由だ。
ただ、不用意に敵を作るくらいなら言わないほうがいい。
発言するときは細心の注意が必要だと感じた