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借りすぎ?会社の財務健全度を見極める「債務償還年数」の考え方
はじめに
コロナ禍で多くの中小企業が利用した「コロナ融資」。
金利が低く、借りやすい制度だったことから、結果的に多額の借入を抱える企業も少なくありません。
「うちは借りすぎているのでは?」と心配する経営者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、借入が多いこと自体が即「悪」ではありません。重要なのは、自社の借入状況と返済能力を正しく把握し、追加の融資や投資判断を的確に行えるかどうかです。
そこで今回は、「債務償還年数」というシンプルで強力な財務指標を使って、自社の健全度を見極める方法を解説します。
1. 借入は本当に「悪」なのか?
借入は経営において重要な資金調達手段です。特にコロナ初期は、将来の不透明さから資金を確保すること自体がリスク対策でした。
低金利で借りられる環境では、「借りられるうちに借りておく」という判断は間違いではありません。
ただし、今後の追加融資が可能かどうかを判断するためには、自社の借入が過剰か適正かを知る必要があります。
2. 債務償還年数とは?
債務償還年数とは、現在の借入残高を、自社の年間キャッシュフローで割った年数です。
簡単に言えば、「今の稼ぎで借金を返し切るまでに何年かかるか」を示す指標です。
計算式(シンプル版)
各要素の意味
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経常利益:本業と財務活動を合わせた利益
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減価償却費:費用計上されるが実際の支出はない(キャッシュフローを増やす要因)
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法人税等:税金は現金支出なのでキャッシュフローから差し引く
3. 計算例
ある会社の状況:
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借入残高:1億円
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経常利益:500万円
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減価償却費:50万円
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法人税等:100万円
計算すると…
この場合、今の利益水準だと完済まで約22年かかる計算になります。
4. 健全な債務償還年数の目安
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7年以内:健全
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10年超:やや危険水準
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20年超:資金繰りに注意
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50年超:赤信号
多くの長期借入は5〜7年程度で返済する契約が多いため、7年以内に収まるのが理想です。
5. 債務償還年数を短くする方法
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利益を増やす
売上アップやコスト削減で経常利益を向上させる。 -
減価償却費を活用する
設備投資後しばらくは減価償却費がキャッシュフローを押し上げる。 -
繰上返済で借入残高を減らす
金利が高い借入から優先的に返済。
6. 追加融資の判断にも使える
債務償還年数を把握しておくと、次のような判断に役立ちます。
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新規投資のための追加融資が可能か
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銀行からの信用度はどの程度か
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今の利益水準で安全に返済できるか
特に金融機関は、債務償還年数を重要な審査指標としているため、この数値を自社で管理しておくことは大きな強みになります。
7. まとめ
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借入は経営戦略の一部であり、必ずしも悪ではない
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債務償還年数は「返済に何年かかるか」を示すシンプルで有効な指標
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7年以内が健全、10年以上は注意、20年超は資金繰り警戒
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利益アップと借入残高削減が改善の鍵
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金融機関との交渉や追加融資の可否判断にも活用できる
経営者の皆さん、一度ご自身の会社の債務償還年数を計算してみてください。それが、次の一手を打つための羅針盤になります。
無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お待ちしております!
フリーダイヤル 0120-335-523