
共同創業をうまく進めるコツとは?
~起業パートナーと一緒に成功をつかむための心得~
起業という大きなチャレンジにおいて、「一人でやるより、信頼できる仲間と一緒に始めたい!」という方も少なくありません。実際に、私のもとにご相談に来られる起業家の方の中にも、「共同創業でスタートしたい」という声をよく耳にします。
たしかに、得意分野が異なるパートナーとチームを組めば、お互いの弱点を補い合いながら、スピード感を持って進めることができる——まさに理想的なスタートに見えますよね。
しかし、ズバリ言います。
共同創業には大きな「メリット」と同時に、「リスク」もあるのです。
ポイントを押さえなければ、せっかくの夢のスタートが、パートナーとのトラブルで頓挫してしまうことだってあります。
では、どうすればうまく進められるのか。
実際の現場で数多くの起業支援を行ってきた私が、共同創業を成功に導くための「具体的なコツ」を、わかりやすくお伝えしていきます。
1.価値観とゴールをすり合わせる
共同創業で一番大切なことは、何よりも「価値観の一致」です。
「お金をどれだけ稼ぎたいのか」「どんなビジョンを持っているのか」「どんな働き方を理想としているのか」——これらの感覚がズレていると、どこかのタイミングで衝突が起こります。
たとえば、Aさんは「5年で売却を目指すスピード重視」、一方でBさんは「長くじっくり続けたい」と考えていたら、どうなると思いますか?
——うまくいくはずがないですよね。
ですので、創業前にしっかりと「将来のゴールイメージ」をお互いに話し合っておくことが大前提です。ここを曖昧にしたまま走り出すのは、ブレーキとアクセルを同時に踏みながら車を運転するようなもの。非常に危険です。
2.役割分担を明確に決める
「なんとなく2人で全部やろう」という考え方はNGです。
起業はスピードが命。自分たちがどの分野で力を発揮するのかを見極め、明確に「誰が何をやるのか」を決めておくことが重要です。
営業・マーケティング担当はAさん、バックオフィス・財務担当はBさん——といったように、分業体制をきちんと築くこと。
あわせて、「最終的な意思決定権をどちらが持つか」も明文化しておきましょう。意見が分かれたとき、どのように結論を出すのかのルールをつくっておくことで、不要な衝突を避けることができます。
3.契約書を交わしておく
「信頼しているから大丈夫」——その気持ち、わかります。
ですが、ビジネスの世界では「信頼=契約が不要」というわけではありません。
共同創業をするならば、出資比率、役員報酬の割合、役割分担、会社の資産の扱い方など、トラブルになりやすいポイントをあらかじめ契約書で明記しておくこともできます。
後々、万が一の事態になっても、契約書があれば冷静に話し合う土台となります。これは「お互いの信頼関係を守るための道具」だと考えてください。
4.「感情のメンテナンス」を怠らない
共同創業は、まさに「結婚生活」に似ています。
いくら価値観が近くても、日々の忙しさに流されてしまえば、すれ違いは起こります。
定期的に「本音を話す時間」を設けましょう。たとえば、月に1回は1時間だけでも「会社の将来の話だけをする会議」を設定するのもオススメです。
仕事の話だけでなく、「最近どう感じてる?」「困ってることある?」など、感情面の共有もしておくと、小さな不満やズレを早めに解消できます。
5.「出口戦略」も話し合っておく
少し縁起の悪い話に聞こえるかもしれませんが、「もしも片方が辞めたいと言ったらどうするか」「持分の買取方法は?」といった、いわゆる“離婚”のときのルールもあらかじめ決めておくことが理想です。
これが決まっているだけで、お互いに安心してチャレンジすることができます。「最悪の事態にも備えておく」——それが、プロとしての姿勢です。
まとめ:共同創業は、信頼と仕組みづくりのバランスが大事!
いかがでしたでしょうか?
共同創業は、成功すれば「1+1が3にも4にもなる」非常に魅力的なスタート方法です。ですが、感情だけに頼って進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
ズバリ、共同創業をうまく進めるためのキーワードは——
「信頼関係」+「仕組み化」です。
この2つがそろってはじめて、安定した経営の土台が築かれるのです。
「この人と一緒に夢を実現したい!」という気持ちを大切にしつつも、冷静にルールや体制を整える——それが、共同創業成功の最大のコツです。
ぜひ、あなたの起業が素晴らしいスタートを切れるよう、応援しています!
お気軽にご相談くださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。