
創業 計画 書 記入 例|申請方法・条件・ポイントを専門家が解説
これから起業する方の多くが、最初に向き合うのが「創業計画書」です。日本政策金融公庫(以下、公庫)からの創業融資を申し込むには、所定のフォーマットに沿った創業計画書の提出が必要になります。とはいえ、「初めて書くのでイメージが湧かない」「項目ごとに何をどのレベルで書けばいいかわからない」と悩む方が少なくありません。
本記事では、公庫の創業計画書を業種共通の視点で解説しつつ、各項目に対する記入例と書き方のポイントを整理します。これから創業融資を検討する方が、自分の事業に置き換えて計画書を書き上げるためのベースになる内容を目指しました。
創業計画書とは?提出が求められる理由
創業計画書は、これから始める事業の中身を金融機関に説明するための書類です。日本政策金融公庫が指定するフォーマットに沿って、事業の動機・経営者の経歴・サービス内容・必要資金・収支見通しなどを記入します。
金融機関は、創業者の事業内容を直接見ることができません。だからこそ、書類1枚で「この人なら貸しても返済してもらえる」と判断できる材料が必要になります。創業計画書は、その判断材料そのものです。
創業計画書が果たす役割
- 事業の全体像(誰に・何を・どう提供するか)を伝える
- 必要な資金とその使い道、自己資金と借入のバランスを示す
- 月の売上・経費見通しから、返済能力を裏付ける
- 創業者の業界経験・実績・資格を裏付ける
創業計画書(公庫書式)の9つの記入項目
公庫の創業計画書は、おおむね以下9つの項目で構成されています(書式は改訂されることがあるため、申込時点で最新のフォーマットを公庫公式サイトで確認してください)。
- 創業の動機
- 経営者の略歴等
- 取扱商品・サービスの内容
- 取引先・取引関係等
- 従業員
- お借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
- 自由記述欄
項目別の記入例と書き方のポイント
1. 創業の動機
「なぜこの事業を始めるのか」を、業界経験・気づいた課題・解決策の3点で書きます。
記入例:
「◯◯業界で10年勤務し、現場の課題を実感する中で、△△を解決するサービスへのニーズがあると確信しました。前職時代から温めてきた構想を実現するため、独立して事業を立ち上げることを決意しました。」
NG例:「会社員生活に区切りをつけたい」「自由に働きたい」など、個人的な理由だけで終わる動機は、事業の必然性が伝わらず評価が低くなります。
2. 経営者の略歴等
勤務先・在籍期間・担当業務・役職・保有資格を時系列で書きます。事業内容に関連する経験・実績は具体的な数字(売上金額・顧客数・指導人数・取扱件数等)で書くと信頼性が増します。
3. 取扱商品・サービスの内容
取扱商品・サービスを、それぞれの単価と売上構成比とセットで書きます。
記入例(飲食店の場合):
- ランチセット 1,100円 — 売上構成比:40%
- ディナーコース 4,400円 — 売上構成比:50%
- ドリンク・物販 — 売上構成比:10%
セールスポイント:競合との差別化を「価格」「品質」「立地」「コンセプト」のいずれかで具体的に書きます。
4. 取引先・取引関係等
販売先(個人客中心なら「一般個人」、法人取引中心なら主要取引先名・取引予定額)、回収条件(現金即金、月末締め翌月末払い等)、仕入先、支払条件を書きます。
5. 従業員
開業当初の体制と、将来の拡大計画を書きます。1人開業から始める場合も「2年目以降、◯名追加予定」のように展望を書くと、事業の継続性が伝わります。
6. お借入の状況
住宅ローン・自動車ローン・カードローン・奨学金など、個人としての借入を正確に書きます。**未申告の借入があとから判明すると、信用情報の問題で審査に大きく影響する**ため、隠さず記載することが重要です。
7. 必要な資金と調達方法
記入例:
- 設備資金:◯◯◯万円(物件取得費・内装・機器・什器の内訳)
- 運転資金:◯◯◯万円(家賃・人件費・広告宣伝費・仕入の3〜6か月分)
- 合計:◯◯◯万円
調達方法:自己資金・借入希望額のバランスを示します。自己資金の割合は1/3以上が目安と言われますが、業種・経験・物件契約状況により判断されます。
8. 事業の見通し(月平均)
軌道に乗った後の月平均の売上・原価・経費・利益を書きます。売上は必ず「客数×客単価」や「会員数×月会費」などの計算根拠とセットで示します。
記入例:
- 売上高:◯◯◯万円(計算根拠を併記)
- 売上原価:◯◯万円
- 経費:家賃・人件費・光熱費・広告宣伝費等の内訳
- 利益:◯◯万円
9. 自由記述欄
強み・差別化・将来構想を補足する欄です。各項目で書ききれなかった独自性・リスクへの備え・拡大構想を簡潔に書きます。
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創業計画書の申請方法(公庫の創業融資申込の流れ)
- 事前準備:創業計画書・見積書・本人確認書類・通帳コピー・自己資金の確認資料などを揃える
- 申込書の入手:公庫公式サイトから最新の創業計画書フォーマットをダウンロード
- 申込:窓口・郵送・インターネット申込のいずれかで申込書を提出
- 面談:担当者との面談(30分〜1時間程度)で事業内容について質疑応答
- 審査・結果通知:申込から2〜4週間程度で審査結果が通知される
- 契約・融資実行:融資契約後、指定口座に振り込まれる
※ 期間や手続きの詳細は時期・支店・申込方法により変わるため、申込前に必ず公式情報を確認してください。
創業計画書でよくある5つの落とし穴
- 売上の根拠が抽象的:「がんばります」だけでは説得力ゼロ。客数×単価で計算根拠を必ず示す
- 自己資金の出所が不明確:直前にまとまった入金がある「見せ金」は審査で大きく不利
- 競合との違いが曖昧:「丁寧な接客」だけでは差別化として弱い。価格・品質・立地・コンセプトのどこで勝負するかを明示
- 初期投資が膨らみすぎ運転資金が薄い:軌道に乗る前の運転資金を確保する
- 個人的な借入や信用情報の問題を隠す:後から発覚すると一発で印象が悪くなる
採択されやすい創業計画書のコツ
- 数字に根拠がある:売上・経費・利益のすべてが計算式とセットで書かれている
- 業界経験と実績がリンク:勤務時代の数字が、開業後の見通しに反映されている
- 市場・立地・競合の分析:商圏内のマーケット環境を踏まえた計画になっている
- 無理のない返済計画:月の利益から借入返済が無理なく払える設計
- 第三者目線で読み返す:専門家の事前チェックを受け、業界外の人にも理解できる形になっている
まとめ
創業計画書は、「自分の頭の中にある事業構想を、業界外の第三者にも納得してもらう」ための書類です。各項目で何を書けばいいかを理解し、計算根拠とエビデンスをセットで示すことで、説得力のある計画書になります。
制度や書式は変更されることがあるため、最新の公庫書式・要件は公式サイトで確認したうえで作成してください。一人で書き上げるのが不安な場合は、融資支援に強い専門家に相談すると、書類のブラッシュアップから面談対策までまとめてサポートを受けられます。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























