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コラム

創業計画書 記入例 製造業の書き方|公庫書式テンプレート&ポイント解説

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創業計画書 記入例 製造業の書き方|公庫書式テンプレート&ポイント解説

製造業で独立を考えるとき、必ずと言っていいほど直面するのが資金調達です。機械設備・工場物件・原材料の仕入など、サービス業に比べて初期投資が大きく、運転資金も厚めに必要になります。日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業融資は、製造業の起業時の資金調達手段として有力な選択肢のひとつです。

本記事では、公庫の創業計画書を製造業向けに書く場合の具体的な記入例と、押さえておくべきポイントを項目別に解説します。前職で職人・技術者として経験を積み、独立して自分の工場・工房を持ちたい方の参考になれば幸いです。

製造業の創業計画書はなぜ難しいのか

製造業の創業計画書には、サービス業や小売業にはない難しさがあります。理由は3つあります。

  1. 初期投資が大きい:機械設備・工場賃借・内装・電気工事などで、数百万円〜数千万円規模になることが多い
  2. 取引先が法人中心:掛取引が一般的で、入金まで30〜90日かかるため、運転資金を厚めに見積もる必要がある
  3. 受注予測の根拠が必要:会員制ビジネスのような積み上げではなく、取引先ごとの受注見込みを示す必要がある

公庫の創業計画書は、これらの製造業特有の収益構造を、業界の前提を知らない融資担当者にも納得できる形で言語化する書類です。

創業計画書(公庫書式)の9つの記入項目

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービスの内容
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し(月平均)
  9. 自由記述欄

【製造業向け】創業計画書の記入例とポイント

1. 創業の動機

記入例(金属加工業の場合):

「精密金属加工メーカーで15年間、旋盤・マシニング加工に従事してきました。前職では航空機部品・医療機器部品などの高精度加工を担当し、技能検定1級も取得しています。多品種・小ロット・短納期に対応できる町工場が地域で減少していることに課題を感じ、自分の工場でこのニッチ市場に応える事業を立ち上げたいと考え、独立を決意しました。前職時代に培った既存取引先との関係も活用し、開業初期から安定した受注を確保できる見込みです。」

ポイント:技能経験+市場の課題認識+初期受注の確度の3点を具体的に書きます。

2. 経営者の略歴等

勤務先・在籍期間・担当業務・役職・保有資格を時系列で書きます。製造業の場合、技能検定(1級・2級)、各種国家資格、加工機メーカー認定資格などが重要な評価ポイントになります。担当した製品の代表例(航空機部品、自動車部品、医療機器など)も具体的に記載しましょう。

3. 取扱商品・サービスの内容

記入例(金属加工業):

  • 精密旋盤加工(ステンレス・チタン素材)— 売上構成比:50%
  • マシニングセンタ加工(アルミ・鉄鋼)— 売上構成比:30%
  • 試作品開発受託 — 売上構成比:15%
  • 治具・工具製作 — 売上構成比:5%

セールスポイント:「最小ロット1個から対応」「最短3日納期」「材料調達から表面処理まで一貫対応」「医療機器のクリーン管理対応」など、競合との差別化を具体的に書きます。

4. 取引先・取引関係等

製造業では取引先の情報が特に重要です。

  • 販売先:主要取引先(社名・所在地・取引予定額・回収条件)を具体的に書く。前職時代から関係のある「内定済み取引先」があれば必ず明記
  • 回収条件:「月末締め翌月末払い」「月末締め翌々月末払い」など、業界慣行に沿った条件で記載
  • 仕入先:主要仕入先(材料・部品メーカー)の社名・所在地・支払条件を書く
  • 支払条件:「月末締め翌月末払い」など

掛取引が中心なら、入金サイト(受注から入金までの期間)を具体的に記載することで、運転資金の妥当性を裏付けられます。

5. 従業員

製造業は人手が必要な業種なので、立ち上げ時の体制と将来の拡大計画を書きます。「初年度:代表+技能者1名/2年目:技能者2名追加/3年目:5名体制」のように段階的に書くと、事業拡大のロードマップが伝わります。

6. お借入の状況

個人としての借入を正確に記載します。住宅ローン・自動車ローンなど、隠さず正直に書きます。

7. 必要な資金と調達方法

記入例(必要な資金):

  • 設備資金:1,500万円
    • 工場物件取得費(保証金・礼金等):200万円
    • NC旋盤(中古):500万円
    • マシニングセンタ(中古):450万円
    • 測定機器・治具:150万円
    • 電気工事・内装工事:200万円
  • 運転資金:500万円(材料仕入・人件費・家賃の3〜6か月分)
  • 合計:2,000万円

記入例(調達方法):

  • 自己資金:500万円
  • 日本政策金融公庫からの借入希望:1,500万円

8. 事業の見通し(月平均)

記入例(軌道に乗った後の月平均):

  • 売上高:450万円(取引先A社200万円/B社150万円/C社60万円/スポット受注40万円)
  • 売上原価:180万円(材料費・外注費)
  • 経費:家賃20万円/光熱費15万円/人件費(代表+技能者2名)150万円/その他25万円
  • 利益:60万円

受注の積み上げ根拠(必須):

  • 取引先A社:前職時代の関係先、月200万円規模の発注見込み(内諾済み)
  • 取引先B社:地元商工会議所の紹介、月150万円規模の継続発注見込み
  • 取引先C社:技能展示会で新規開拓、月60万円規模のスポット受注

取引先別の発注見込み額を、関係性とともに具体的に書くと審査評価が大きく上がります。

9. 自由記述欄

強み・差別化・将来構想を補足します。「2年目以降のNC機追加導入」「医療機器分野への参入計画」「ISO9001取得計画」など、品質向上・事業拡大の意思を簡潔に書きます。

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製造業の創業計画書でよくある5つの落とし穴

  1. 受注見込みの根拠が薄い:「前職の人脈で何とかなる」だけでは説得力がない。具体的な取引先名と金額を書く
  2. 運転資金が薄い:製造業は入金まで30〜90日かかる。材料仕入・人件費を立て替える運転資金が不足すると初月から資金繰りが苦しくなる
  3. 機械設備の価格根拠がない:「カタログ価格そのまま」ではなく、見積もりや中古市場の相場をベースに書く
  4. 取引先の入金条件を考慮していない:「月末締め翌々月末払い」の取引先が多いと、運転資金がさらに必要になる
  5. 技能・実績の根拠が抽象的:「経験豊富」では不十分。担当製品・取扱企業・技能検定などを具体的に書く

可決されやすい創業計画書のコツ

  • 取引先別の発注見込みを見える化:主要取引先ごとに月別売上見込みを表で示す
  • 入金サイトに合わせた運転資金確保:受注から入金までの期間を明示し、必要な運転資金額を逆算
  • 技能の客観的裏付け:技能検定・国家資格・実績件数・取扱企業を具体的に
  • 商工会議所・地元金融機関・認定支援機関との連携実績:事業計画段階で外部支援機関のサポートを受けている事実は評価される

まとめ

製造業の創業計画書は、技能経験の裏付け、取引先別の受注見込み、機械設備の妥当性、入金サイトに合わせた運転資金確保——この4つを論理的に説明できるかが勝負どころです。前職の人脈・技能・実績を最大限に活用しつつ、第三者目線でも納得できる数字とストーリーを組み立てましょう。

制度や公庫書式は変更されるため、申込前に必ず最新の公式情報を確認してください。書類のブラッシュアップや面談対策が不安な場合は、融資支援に強い専門家に相談すると、製造業特有の論点まで踏み込んで支援を受けられます。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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