売上3億円の壁を突破する心得5選

〜「経営の次元」を変えると、会社は一気に加速する〜

売上2億円を超えたあたりから、「会社らしい組織」が整いはじめ、経営者の手応えも出てくる頃です。しかし次なる壁、「売上3億円」は、成長企業が最初に直面する「第二の大きな壁」といわれています。

なぜなら、ここからは「社内の人間関係」「業務プロセス」「資金の流れ」など、会社全体のシステムを再設計しなければ、拡大が持続しないからです。

今回は、この3億円の壁を突破するために欠かせない5つの心得をお伝えします。

【1】「幹部チーム」を本気で育てる

3億円のフェーズでは、社長一人では到底すべてを把握できません。ここで不可欠なのが、「経営に準ずる目線を持った幹部層」の育成です。

幹部が指示待ちではなく、自分で意思決定し、現場を動かし、結果を出せるようになる。これが実現すると、会社は一気に加速します。

ポイントは、「理念や数字を共有し続けること」「任せて失敗させる勇気」「経営会議の場づくり」です。社長は、幹部と経営を語る時間を意図的に持ちましょう。

【2】「部門ごとの採算意識」を持たせる

ここまでくると、部門・部署がいくつかに分かれ、それぞれが小さな会社のような役割を持つようになります。

このとき必要なのが、「部門別の損益管理」と「数値に基づいた意思決定」です。

各部門ごとに売上・利益目標を設定し、「数字で判断する文化」を育てましょう。そうすれば、社長がいちいち判断しなくても、現場で改善が進む仕組みができます。

【3】「採用戦略」を中長期視点で考える

売上3億円レベルでは、必要な人材の質と量が一段と変わります。

「いますぐ欲しい人」ではなく、「1〜2年後にこのポジションが必要になる」といった中長期視点の採用計画が重要になります。

また、リファラル採用（紹介）や採用ブランディングなど、「会社の魅力をどう伝えるか」も問われます。安定的に人を集められる採用体制は、組織成長のボトルネックを取り除きます。

【4】「業務プロセス」を仕組み化・IT化する

業務が属人化しすぎていると、どこかで必ず限界が来ます。

・誰がやっても同じ成果が出るマニュアル化
・ITツールでの一元管理
・業務フローの可視化

これらを進めることで、「再現性のある事業運営」が実現します。これは、3億円を超えるフェーズにおいて欠かせない土台です。

特に経理、営業、顧客管理などのバックヤード業務は、システム化で大幅に効率化が可能です。

【5】「資金戦略」と「財務の見える化」に踏み出す

売上3億円を超えると、キャッシュの動きも複雑になります。黒字倒産を防ぐためにも、「資金繰りの予測と管理」「利益計画の策定」が求められます。

このフェーズでは、税理士任せではなく、社内で財務数値を把握する体制が必要です。財務の見える化、銀行とのリレーション構築、資金調達の戦略立案など、経営判断に「お金の視点」が組み込まれてきます。

まとめ：売上3億円は「経営の器」を広げるタイミング

売上3億円の壁は、言い換えれば「経営の次元を上げる壁」です。社長がひとりで突っ走るのではなく、幹部とチームで未来を描き、業務を仕組みに落とし、数字で判断する。

この5つの心得を実行することで、組織は大きな壁を乗り越え、次のステージへと進んでいけます。