
「株主」って何者?起業前に知っておきたい会社の仕組み
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・行政書士・FPの中野裕哲です。
「株主ってニュースではよく聞くけど、実際はどんな人のこと?」 「会社をつくるとき、自分は株主になるの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、「株主」という存在について、起業を視野に入れている会社員の方に向けて、 やさしく、実務的に解説していきます。
そもそも「株主」とは?
株主とは、ズバリ言いますと、会社の「出資者」のことです。
会社(株式会社)というのは、誰かが出資をして成り立つ組織。 その出資をした人が「株主」と呼ばれます。
出資とは?
「お金(資本金)」を会社に提供して、その見返りとして「株式」を受け取る。 この株式が、あなたの出資割合や発言力の証になるわけです。
つまり、株主=お金を出した人。
そして、お金を出すことで、会社に対するさまざまな権利を持つようになります。
株主の主な権利とは?
では、株主になると何ができるのでしょうか?
大きく分けて以下の2つの権利があります。
1. 共益権(会社の意思決定に関わる権利など)
共益権は、株主が会社の経営に関われる権利を言います。
会社の「株主総会」に参加して、
- 役員の選任や解任
- 定款変更
- 配当の決定
など、重要な事項に賛成・反対を表明できます。
議決権の強さは「株数」に比例します。 たとえば、100株中67株以上を持っていれば、会社の意思決定を実質的にコントロールできます。
2.自益権(利益の分配を受ける権利など)
自益権は、直瀬知的に利益を受けることができる権利です。
会社が利益を出したとき、「配当金」として株主に分配されることがあります。
これも、持っている株数に応じて支払われるのが基本です。
経営者と株主の違いって?
ここが混同されやすいところですが、 株主=経営者ではありません。
経営者(取締役など)は、会社の運営を任された人であり、株主は出資者。
ただし、創業時は「出資もして、経営もする」ケースが多いため、
オーナー経営者=株主と経営者が同一人物
という形がよくあります。
ただし、会社が成長し、外部から出資を受けるようになると、 「出資者」と「経営者」が分かれていくことになります。
起業時に自分が「株主」になるということ
会社を設立する場合、多くの経営者が株主になります。
つまり、自分の出したお金で、自分の会社をつくるわけですね。
会社設立時には、
- 誰が株主か?
- 何株発行するか?
- 株価はいくらにするか?
などといった「設計」をする必要があります。
株主構成はどう決めるべき?
創業時は「自分100%」でも構いませんが、 共同創業者や家族・知人などと一緒にやる場合は、慎重な設計が必要です。
株主構成で気をつけたいポイント:
- 持株比率:意思決定の主導権に影響
- 将来的な投資受け入れ:株の分散余地を残しておく
- 退職や離婚などトラブル時の対応
後から「株を買い戻したい」となっても簡単ではないので、慎重に設計しましょう。
株式の譲渡と制限について
株式会社の株は原則として自由に譲渡できますが、
中小企業では「譲渡制限」を付けるのが一般的
会社の同意なしに第三者へ売られてしまうと、意図しない人が株主になってしまうリスクがあります。
設立時には「譲渡制限の有無」も定款でしっかり決めておきましょう。
ベンチャー企業では株主戦略が超重要!
将来的に出資を受ける予定のある方は、株主構成を「戦略的に」設計する必要があります。
- ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
- ストックオプション制度
- エンジェル投資家の取り込み
など、成長戦略のカギとなるからです。
「創業時に株を100%使い切ってしまって困った」なんて事例もあるので要注意です。
株主総会って何をするの?
株主総会とは、「会社の最高意思決定機関」です。
- 決算の承認
- 配当の決定
- 取締役の選任や解任
などが主な議題。
設立直後の小規模な会社では、実質的に一人で行うことも多いですが、 法的にはしっかり開催記録(議事録)を残す必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 株主は必ず複数いないといけませんか? A. いいえ。一人でも株式会社は設立できます。
Q. 自分の会社の株を他人に売ってもいいですか? A. 定款で譲渡制限がなければ可能ですが、実務上は制限を設けるのが一般的です。
Q. 株主には報酬が出るの? A. 原則として「配当」という形で利益が還元されますが、必ずしも毎年あるとは限りません。
Q. 起業時に株式の配分を間違えるとどうなる? A. 後からの修正が困難になったり、経営の主導権を失ったりするリスクがあります。
まとめ:「株主」は会社の根幹を支える存在
起業を目指すあなたにとって、株主のしくみを知ることは、 「経営の土台」を理解する第一歩です。
- 株主=出資者
- 経営者とは別の役割
- 権利と責任のバランスが重要
会社を設立すると、自動的に「あなた自身が株主」になります。
そのときに、何をどう設計するかで、会社の未来が大きく変わるんです。
「なんとなく」で会社をつくるのではなく、
一つひとつの仕組みを理解したうえで、起業準備を進めましょう。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。