
株主総会とは?起業前に知っておきたい会社の意思決定のしくみ
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・行政書士・FPの中野裕哲です。
「株主総会って大企業がやるものじゃないの?」 「一人で会社をつくった場合でも、株主総会ってやらなきゃいけないの?」
そんな疑問を持っている方、実はとても多いんです。
今回は、起業を視野に入れている会社員の方に向けて、 株主総会とは何か、なぜ必要なのか、どうやって進めるのかを、 実務に即してやさしく解説していきます。
そもそも「株主総会」とは?
ズバリ言います。
株主総会とは、会社の“最高意思決定機関”です。
株式会社という組織は、「株主が所有し、取締役が経営する」仕組み。
その「所有者=株主」が集まって、
- 会社の方向性を決める
- 取締役や監査役を選ぶ
- 決算や配当の承認を行う
といった重要な議決を行うのが、株主総会です。
株主総会には種類がある?
株主総会には、大きく分けて以下の2種類があります。
1. 定時株主総会
毎年1回、事業年度の終了後に開催される株主総会。
- 決算報告の承認
- 役員の選任・報酬決定
- 配当の決議
などが議題になります。
2. 臨時株主総会
特別な議案があるときに、必要に応じて開催されます。
- 定款の変更
- 大規模な借入や資産売却
など、重要事項の承認を得る場です。
一人会社でも株主総会は必要?
はい、ズバリ言いますと、一人でも必要です。
というのも、株式会社という法人形態を選んだ以上、 法律に則った運営をしなければならないからです。
実際には「自分で決めて、自分で承認する」だけですが、
株主総会議事録は必ず作成し、保管しておく必要があります。
これは、税務調査などの場面で確認されることもあるので、軽視できません。
株主総会で決めること(議案)
主に以下のようなことを決議します。
- 決算の承認
- 配当の決定
- 取締役や監査役の選任・解任
- 定款の変更
- ストックオプションの発行 など
これらの議案に対して、株主が議決権を使って賛否を表明します。
議決権とは?
株主が持つ「意思決定に参加する権利」のこと。
議決権は「1株=1票」でカウントされます。
つまり、大株主ほど会社の意思決定に影響力を持つというわけですね。
株主総会の手続きの流れ
ステップ1:開催の通知
株主に対して「何日に株主総会を開催します」と案内を送ります。
原則、開催日の2週間前までに送る必要があります。 (ただし、非公開会社では短縮可能)
ステップ2:開催・審議・決議
- 司会者の指名
- 議長による開会
- 議案の説明
- 出席株主による議決
などを行います。
ステップ3:議事録の作成・保管
- 議決内容を記録した議事録を作成
- 署名押印し、会社で保管(本店10年間、支店5年間)
これが非常に重要です。
株主総会の「実務ポイント」
- 議事録は雛形を使ってOK:法務局などのWebサイトで取得可能
- 電子開催も可能:ZoomやTeamsを使ったバーチャル総会も可(定款変更が必要な場合あり)
- 議決権行使書面での対応もOK:書面での表明をもって出席とみなす方式もあります
株主総会を怠るとどうなる?
定時株主総会を開催しない、議事録を残さない、 そういったことが続くと…
- 会社の信用が下がる
- 税務署などから指摘される
- 法人としての体裁を問われる
など、将来の資金調達や取引に悪影響を及ぼします。
よくある質問(FAQ)
Q. 株主総会の議事録はどこで手に入る? A. 法務局や中小企業庁、インターネット上に雛形が公開されています。
Q. 家族経営でも開催しなきゃダメ? A. はい、株式会社である以上、形式的にも株主総会を実施する必要があります。
Q. 議事録の保存期間は? A. 原則として10年間、会社の本店で保管が必要です。
Q. 株主が複数いる場合はどうやって決議するの? A. 議案ごとに株主の持株数に応じた議決権で賛否を集計します。議題に応じて定められている議決数にて決定します。
Q. 株主総会の開催は税理士や行政書士に依頼できますか? A. はい、手続きのアドバイスや議事録の作成サポートも受けられます。
まとめ:「形式」こそが会社の信頼につながる
株主総会は、たとえ一人会社であっても、 会社としての信用やルールを守る上で非常に大切な存在です。
- 毎年開催すること
- 議事録を残すこと
- 株主の権利を守ること
これらをきちんと行うことで、 会社としての信頼性が高まり、金融機関や取引先との関係もスムーズになります。
「小さい会社だからこそ、ルールを守る」
これが、信頼される経営者への第一歩です。
ご不明点があれば、いつでもお気軽にご相談くださいね!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。