
英会話スクール開業に許認可・資格は必要?創業融資の受け方と審査のポイントを解説
「英会話スクールを開きたいが、開業に特別な許認可や資格は必要なのだろうか」「開業資金を創業融資でまかなえるのか」——語学スクールの開業を準備する方が、最初に気になるのがこの2点です。飲食店や整骨院のように免許・資格が前提となる業種と違い、英会話スクールは開業のハードルが見えにくく、かえって不安に感じる方も少なくありません。
この記事では、これから英会話スクール・語学教室を開業する個人事業主・中小企業の方に向けて、必要な許認可・資格の考え方と、日本政策金融公庫の創業融資を受けるための進め方・審査のポイントを整理します。なお、融資制度の内容や金利は改定されることがあるため、本記事は執筆時点(2026年7月)の情報をもとにしています。制度・法令の詳細は、申込先や各分野の専門家に最新情報をご確認ください。
英会話スクール開業に特別な許認可・資格は原則不要
まず結論からお伝えすると、英会話スクールの開業に、特別な許認可や国家資格は原則として必要ありません。英会話スクールは学校教育法上の「学校」にはあたらないため、行政の認可を受けなくても始められます。個人事業として始める場合の開業届の提出や、法人として始める場合の会社設立など、一般的な開業手続きが基本になります。
提供形態によっては留意すべき法令もある
ただし、事業の形態によっては注意しておきたい法令があります。たとえば、一定期間を超えて一定金額以上の受講契約を結ぶ語学教室は、特定商取引法上の「特定継続的役務提供」に該当する場合があり、契約書面の交付やクーリングオフに関するルールへの対応が必要になることがあります。また、子どもの送迎を行うなど、付随サービスを加える場合は、それぞれ別の観点での確認が必要です。自社のサービス内容がこれらに該当しそうな場合は、早めに行政書士や消費生活分野の専門家に確認しておくと安心です。
資格は法的要件ではないが信頼性の材料になる
英語力を証明する資格(英語系の検定や英語教授法の資格など)や、指導経験は、開業の法的な要件ではありません。資格がなくても英会話スクールは開業できます。とはいえ、講師としての指導実績や語学資格は、受講者に選ばれるうえでの信頼材料になり、後述する創業融資の審査でも「この人ならこの事業をやり切れる」という評価につながりやすい要素です。法的に必須ではないものの、あると強みになる、と捉えておくとよいでしょう。
英会話スクール開業にかかる資金を整理する
許認可のハードルが低い一方で、開業には一定の資金が必要です。融資を申し込む際は、必要な資金を「設備資金」と「運転資金」に分けて整理しておくと、計画に説得力が出ます。
- 設備資金(初期投資):教室として借りる物件の取得費、内装・防音工事、机・椅子・ホワイトボード、教材、パソコンやタブレット、オンライン受講用の配信機材、予約システムやホームページの制作費など
- 運転資金(開業後にかかる費用):受講者を集めるための広告宣伝費(Web広告・SNS運用・チラシなど)、家賃、講師を雇う場合の人件費、システムの月額利用料、受講者が集まるまでの当面の運営費
英会話スクールは、対面の教室を構える形か、オンライン中心で始める形か、子ども向けか大人向けかによって、必要資金の規模が変わります。オンライン中心なら設備資金は小さく抑えられますが、そのぶん集客が広告中心になり、運転資金の見積もりが重要になります。いずれの形でも、開業直後は受講者が一気には集まらない前提で、運転資金を多めに見込んでおくことをおすすめします。
開業資金に使える創業融資とは
開業資金を自己資金だけでまかなうのが難しい場合、創業融資の活用が一般的な選択肢です。創業融資とは、主に日本政策金融公庫が提供する、起業時の資金調達を目的とした融資制度のことです。政府系金融機関が提供するため、民間金融機関では対応が難しい創業期の事業にも積極的に取り組むのが特徴です。
無担保・無保証人での借り入れが原則として可能で、審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。創業期に使える代表的な制度が「新規開業・スタートアップ支援資金」です。かつて創業者の入口だった「新創業融資制度」は2024年3月末で取り扱いを終え、その機能は各融資制度に引き継がれました。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)ですが、これは上限であり、実際の融資額は事業計画や自己資金、返済能力などをふまえて判断されます。英会話スクールのような小規模な開業では、必要資金の規模に応じた借入を検討するのが現実的です。
創業融資の金利・据置期間・スケジュール
2026年6月1日現在の基準利率は、無担保で創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき年3.45〜5.15%です。創業期の方が利用する場合は、原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用されます。ただし、実際の適用可否や利率は、利用する制度・審査・条件によって異なるため、詳細は申込先で確認してください。
元金返済の据置期間は5年以内で希望でき、据置期間中は利息のみの支払いとなるため、受講者が集まるまでの開業初期にキャッシュフローの余裕を持たせられます。申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月程度が目安です。創業計画書・自己資金の確認資料・見積書などの準備期間を含めると、合計2か月程度を見込んでおくと、開業スケジュールに無理が生じにくくなります。金利・限度額・引下げ条件は改定されることがあるため、申し込み前に必ず公庫の最新情報を確認しましょう。
英会話スクールの融資審査で見られるポイント
英会話スクールの創業融資では、主に次のような点が見られます。
1. 事業計画の具体性と売上の根拠
誰を対象に(子ども・社会人・ビジネス英語など)、どんなレッスンを、いくらの受講料で提供し、どのように受講者を集めるのかを具体的に示します。とくに「受講者数 × 受講料 × 継続月数」という売上の根拠を、商圏の人口や競合スクールの状況をふまえて数字で説明できると、計画の説得力が大きく高まります。
2. 講師経験・語学力のアピール
英語の指導経験、講師歴、語学資格は、法的な要件ではないものの、審査では強い評価材料になります。これまでの経歴が事業にどう活きるのかを結びつけて説明しましょう。未経験の分野で始める場合は、事業経験者を役員として迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整えると、経験不足を補いやすくなります。
3. 自己資金の準備状況
制度上、自己資金の額や割合に決まった要件はありませんが、自己資金は「計画性」と「本気度」を示す材料として審査で重視され、多いほど有利に働きやすくなります。開業を決めた時点からコツコツ準備してきた履歴が通帳に残る形にしておくことが大切です。申し込み直前に出どころの説明できないお金が入っていると、評価されにくい点にも注意しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 資格がなくても英会話スクールの創業融資は受けられますか?
A. 資格は開業の法的要件ではないため、資格がなくても申し込めます。ただし、指導経験や語学力を計画書で示せると、事業の実現性が伝わりやすくなります。
Q. 自宅やオンラインだけで開業しても融資は受けられますか?
A. 教室を借りない自宅・オンライン開業でも申し込めます。審査で見られるのは店舗の有無ではなく、事業として継続的に売上が立ち、返済できる計画かどうかです。集客方法と売上の根拠を計画書で具体的に示すことが重要です。
Q. 自己資金がゼロでも申し込めますか?
A. 制度上の自己資金要件は撤廃されているため、申し込み自体は可能です。ただし、自己資金が全くないと計画性や返済能力の評価が下がりやすく、希望額が満額通らないこともあります。可能な範囲で準備しておくことをおすすめします。
まとめ
英会話スクールの開業に、特別な許認可や国家資格は原則として必要ありません。ただし、契約形態によっては特定商取引法などへの対応が必要になる場合があるため、該当しそうなときは専門家に確認しておくと安心です。資格は法的要件ではないものの、指導経験や語学力とあわせて、集客と融資審査の両面で信頼材料になります。
開業資金は、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金などの創業融資で調達でき、審査では事業計画書と自己資金などが総合的に見られます。設備資金と運転資金を分けた現実的な資金計画と、数字の根拠を示した事業計画書の準備が、融資成功への近道です。「いくら借りられるか」「計画書をどう作ればよいか」と迷ったときは、創業融資にくわしい専門家に早めに相談することで、無理のない資金計画と説得力のある申請につなげられます。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























