
減価償却費とは?店舗経営に必須の知識をズバリ解説!
こんにちは。起業コンサルタント、税理士、行政書士、中野裕哲です。
飲食店や美容室など、店舗を構えて事業を始められたあなた。おめでとうございます!
ただ、経理や税金の話となると、「何から手をつければよいのか…」と悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は、店舗経営者なら必ず知っておきたい「減価償却費」について、できるだけやさしく、でも実務に役立つ内容で解説してまいります。
減価償却費とは何か?やさしく説明します
ズバリ言います。「減価償却費」とは、建物や設備、備品など高額なものを買ったとき、その金額を一度に経費にせず、何年かに分けて少しずつ経費にしていく仕組みのこと。
たとえば…
美容室を開業するために100万円のシャンプー台を買いました。これを全額1年目の経費にしてしまうと、2年目以降は何の経費にもならず、利益ばかりが膨らんでしまいます。
しかし、実際にはそのシャンプー台は何年も使いますよね? そう、使う期間にわたって少しずつ経費にしていくのが合理的なんです。
これが減価償却です。
減価償却費のメリットは?
減価償却を行うと、以下のようなメリットがあります。
- 事業の実態に合わせた利益を報告できる
- 資産の実態に即した経理処理ができる
- 損益計算書がより実態に近づく
つまり、「見た目の利益」をコントロールできるのです。税金は利益にかかってきますから、これはとても大切な視点です。
対象となるモノとは?
以下のようなものが減価償却の対象になります。
- 建物(店舗として借りていない場合)
- 内装工事費
- 厨房機器
- 美容機器
- エアコンなどの設備
- 10万円以上のパソコン、レジなど
ワンポイント!
10万円未満の備品は、基本的に一括で経費にできます。
減価償却の方法と耐用年数
「どうやって少しずつ経費にするの?」と思いますよね。
これには「耐用年数」という考え方が必要になります。たとえば、内装工事なら15~22年、パソコンなら4年など、国税庁が定める年数を参考に、毎年の経費にします。
計算式(定額法の場合)
(取得金額 -残存価額)÷ 耐用年数 = 年間の減価償却費
(100万円-0円) ÷ 5年 = 年間20万円
つまり、毎年20万円ずつ経費にしていく、ということです。
減価償却費を「見落とす」とどうなる?
「開業資金で大きな投資をしたのに、経費になっていなかった!」というケースも実際によく見かけます。
これはもったいない!翌年以降は税金を多く払うハメになってしまうかもしれません。
顧問税理士がいない方、または自分で会計ソフトを使っている方は、特に要注意です。
減価償却費はキャッシュには影響しない?
減価償却費は「お金が出ていかない経費」です。これは大きなポイント!
実際に支払いはしていないけど、経費として処理できるため、利益を下げて納税額を抑えられます。
これが資金繰り改善に役立つ理由でもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 減価償却費は申告しないとダメ?
A. はい、原則として必要です。申告しないと経費にならず、税金が多くなります。
Q. 中古品も減価償却できますか?
A. できます。耐用年数は新規より短くなるケースがあります。
Q. 開業初年度に全額経費にする方法は?
A. 30万円未満であれば「少額減価償却資産の特例」により一括で経費にできます。
Q. 白色申告でも減価償却できる?
A. 可能ですが、きちんと帳簿を付ける必要があります。
まとめ:減価償却費を味方につけよう!
店舗を持つ事業主にとって、減価償却費の理解は経営の基本中の基本です。
開業時の設備投資、日々の節税、そして資金繰りにまで直結する大切な知識。ぜひ、実際の経理処理にも活かしてくださいね。
わからないことがあれば、お気軽にご相談ください。あなたの起業を応援しています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。