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コラム

ものづくり補助金 運送業の活用事例:車両管理システム・倉庫自動化

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ものづくり補助金 運送業の活用事例:車両管理システム・倉庫自動化

「ドライバー不足と燃料費の高騰で、現場はギリギリ。設備投資で効率化したいが、まとまった資金がない」——運送業の経営者から、こうした声をよく聞きます。こうした課題の打開策として注目されてきたのが、設備投資やシステム導入を支援する国の補助金です。これまで「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」がそれぞれ別に運用されてきましたが、2026年度からは、この2つが統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」という新しい制度として実施される見通しです。

この記事では、まず新制度の全体像を整理したうえで、運送業が車両管理システムや倉庫自動化などをどう活用できるのか、補助金の目的別に、対象になるもの・ならないもの、申請の流れ、採択されるためのポイントまでわかりやすく解説します。なお、補助上限額・補助率・要件は新制度の公募要領で確定するため、申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。

2026年度からの新制度「新事業進出・ものづくり補助金」とは

これまで、中小企業・小規模事業者の設備投資や新規事業への挑戦を支える補助金として、「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」がそれぞれ別の制度として運用されてきました。2026年度からは、この2つが「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される方向で進められています。従来それぞれの制度で行われてきた公募は順次最終回を迎え、統合後の新制度の公募要領は2026年内に公開される見通しです。

統合といっても、制度の基本的な考え方が大きく変わるわけではありません。「既存事業の生産性を高める投資」(従来のものづくり補助金が担ってきた領域)と、「新しい事業分野へ進出する投資」(新事業進出補助金が担ってきた領域)という2つの方向性は、新制度にも引き継がれる見込みです。補助上限額や補助率、対象経費の範囲などには見直しが入るとされており、金額や枠組みは今後の公表内容で固まります。申請を検討する際は、必ず最新の公式公募要領で確認してください。製造業のイメージが強い制度ですが、運送業・物流業も対象になり得ます。

新制度の2つの方向性と運送業での位置づけ

新制度を運送業に当てはめると、投資の目的によって使い方が分かれます。

  • 生産性向上の投資(従来のものづくり補助金の領域):車両管理・運行管理システムのDXや倉庫の自動化・省人化で、既存の運送・物流業務の生産性を高める投資。
  • 新分野進出の投資(従来の新事業進出補助金の領域):輸送中心の事業から、保管・流通加工を含む物流受託(3PL)やEC向け物流代行など、新しいサービス分野へ進出する投資。

多くの運送会社では、まずドライバー・庫内作業の人手不足対策(生産性向上)が課題になります。一方で、保管や物流受託など新しいサービスへの展開を考えている場合は、新分野進出の方向性が選択肢になります。

運送業がこの補助金を活用するメリット

この補助金は、中小企業・小規模事業者が革新的なサービス開発や生産プロセス・物流の改善のために行う設備投資などを支援する制度です。運送業がこの補助金を使う主なメリットは次のとおりです。

  • 倉庫の自動化や運行管理のデジタル化など、まとまった設備投資の費用負担を軽減できる
  • ドライバー・庫内作業員の人手不足を、省人化・省力化でカバーする取り組みを後押しできる
  • 生産性向上の計画を立てる過程で、自社の業務フローを見直すきっかけになる

補助率や補助上限額は申請する枠や従業員規模によって変わり、新制度では見直しが入る見込みです。申請を検討する時点での公募要領で確認することが前提です。

各補助金(新制度の各方向性)での活用事例:車両管理システム・倉庫自動化

運送業での活用は、主に「運行・配送の効率化」「倉庫・庫内作業の省人化」と、「新しい物流サービスへの進出」に分かれます。新制度の2つの方向性に沿って、代表的な活用イメージを紹介します。

生産性向上の投資としての活用(ものづくり補助金の領域)

車両管理システム・運行管理のDX

デジタルタコグラフ(デジタコ)や運行管理システムと連携し、配車計画の最適化、ルートの効率化、リアルタイムの位置・稼働状況の見える化を行う取り組みです。配送ルートの無駄を減らし、同じ人員・車両でより多くの荷物を運べる体制をつくることが、生産性向上の根拠として説明しやすい点が特徴です。動態管理システムや、点呼・労務管理を効率化するシステムと組み合わせる事例もあります。

倉庫の自動化・省人化設備

庫内作業の人手不足対策として、自動搬送ロボット(AGV)、自動倉庫、仕分け・ピッキングを効率化する設備、コンベヤなどの導入が考えられます。倉庫管理システム(WMS)と連動させることで、入出庫の精度向上と作業時間の短縮を同時に狙える点が、計画として評価されやすい領域です。

荷役・庫内機器の高度化

フォークリフトや包装・梱包の自動化設備など、庫内の荷役を効率化する機械の導入も、生産プロセスの改善として位置づけられる場合があります。ただし機械の種類や使い方によって対象可否の判断が分かれるため、後述する「対象になるもの・ならないもの」を踏まえ、事前確認が欠かせません。

新分野進出の投資としての活用(新事業進出補助金の領域)

輸送中心の事業から、保管・流通加工を含む物流受託(3PL)やEC向けの物流代行など、新しいサービス分野へ進出する場合は、新分野進出の投資として計画できます。新たな倉庫設備やシステムへの投資を、新しい収益の柱をつくる取り組みとして描けます。既存の運送事業に保管・物流加工という新事業を加えるイメージです。

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「対象になるもの・ならないもの」運送業の注意点

運送業がこの補助金を検討するとき、最も誤解が多いのが「トラックや営業車そのものを買えるのか」という点です。

  • 原則として、公道を走る一般的な車両(トラック・営業車など)は対象外です。汎用性が高く、補助対象として認められにくいためです。
  • 一方で、倉庫内で使う設備・システム、運行や庫内作業を効率化するシステムは対象になり得ます。
  • パソコン・タブレット・汎用ソフトなど、どの事業者でも使える汎用品は原則対象外です。

「車両は対象外でも、車両に搭載・連携するシステムや、倉庫側の設備は対象になり得る」という整理が実務上のポイントです。ただし、同じ機器でも導入目的や事業計画上の位置づけによって判断が変わるため、自己判断で進めず、対象可否は公募要領と事務局・専門家への確認で固めることをおすすめします。なお、用途によっては他の制度が適している設備もあるため、制度選びの段階から検討すると失敗が減ります。

申請の流れと採択されるためのポイント

新制度の大まかな流れは、従来の制度と同様に次のようになる見込みです。

  • 公募要領の確認 → GビズIDプライムの取得(電子申請に必須)
  • 事業計画書の作成(設備投資の内容と、それによる生産性向上の根拠を示す)
  • 電子申請 → 審査 → 採択発表
  • 交付申請・交付決定 → 発注・設備導入・支払い → 実績報告 → 補助金の入金

採択率を高めるうえで重要なのは、「なぜその設備が必要で、導入後にどれだけ生産性が上がるのか」を数値で具体的に示すことです。運送業であれば、配送件数、庫内作業時間、ドライバーの稼働効率などの改善見込みを、現状値と目標値で対比して説明すると説得力が増します。新分野進出の方向性で申請する場合は、加えて新しいサービスの市場性と収益化の道筋を描くことが求められます。また、補助金は原則「後払い(精算払い)」のため、導入費用をいったん自社で立て替える資金繰りも事前に計画しておく必要があります。つなぎ資金が不安な場合は、融資とあわせて検討するとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. トラックの買い替えにこの補助金は使えますか?

A. 公道を走る一般的なトラックそのものは、原則として対象外です。ただし、運行管理システムや庫内設備など、効率化につながるシステム・設備は対象になり得ます。何が対象になるかは公募要領と個別の事業内容によって変わります。

Q. 個人事業主の運送業でも申請できますか?

A. 中小企業・小規模事業者であれば、個人事業主でも申請対象になり得ます。要件は公募回ごとに定められているため、最新の公募要領で対象者の条件を確認してください。

Q. 生産性向上と新分野進出はどう使い分けますか?

A. 既存の運送・物流業務の効率化なら生産性向上(従来のものづくり補助金の領域)、保管・物流受託など新しいサービス分野への進出なら新分野進出(新事業進出補助金の領域)が基本です。新制度では投資の目的に応じて申請する枠が分かれる見込みで、同じ経費を重複して申請することはできません。

まとめ

2026年度からは、「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される見通しです。ただし、「既存事業の生産性向上」と「新しい事業分野への進出」という2つの方向性は引き継がれる見込みで、運送業では、車両管理・運行管理のDXや倉庫の自動化・省人化は生産性向上の投資、物流受託やEC物流代行など新しいサービスへの進出は新分野進出の投資、と整理できます。一方で、トラックなどの車両そのものは原則対象外であるなど、判断に迷いやすいポイントも少なくありません。補助上限額・補助率・要件は新制度の公募要領で確定するため、必ず最新の公募要領を確認したうえで、「対象になるか」「どの方向性・どの枠が最適か」を早めに見極めることが採択への近道です。判断に迷ったら、補助金に詳しい専門家に相談しながら進めると安心です。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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