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コラム

フランチャイズ開業の失敗は資金のどこで決まるか|加盟前・申込前・開業後で分ける創業融資の落とし穴

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フランチャイズ開業の失敗を、創業融資の3つの時点に分けて考える

フランチャイズ開業の失敗事例は、本部選びや立地の話として語られることが多いものです。ただ、実際にご相談をいただく場面で行き詰まっているのは、資金の組み方に原因があるケースです。そして資金面の失敗は、加盟契約を結ぶ前・融資を申し込む前・開業して返済が始まった後の、どこかの時点で形が決まっています。ここでは日本政策金融公庫の創業融資を前提に、どの時点で何を決めておくと防げるのかを、質問の形で整理します。数字は執筆時点のものですので、申請前に最新の情報をご確認ください。

Q1.資金面の失敗は、どの時点で決まりますか

3つの時点に分かれます。

  • 加盟前:契約の日程と資金の日程が噛み合うかどうかで決まる部分
  • 申込前:創業計画書の組み立て方で決まる部分
  • 開業後:返済とロイヤリティが同じ月に効いてくる部分

相談の場でよく出てくる「思ったより手元にお金が残らない」という状態は、開業後に発覚しますが、原因は多くの場合その前の2つの時点にあります。時点ごとに分けて見ていきます。

Q2.加盟前の段階では、何を数字にしておきますか

日程です。日本政策金融公庫の創業融資は、書類を提出してからおおむね3週間〜1か月で実行されます。創業計画書、自己資金の裏づけ、見積書などを整える時間を含めると、準備に1か月、審査と実行に1か月で、合計2か月程度を見込みます。

一方で、加盟契約を結ぶと、研修の日程、物件の申し込み、開店予定日が本部側の都合で先に動き出します。この2つの時間軸を並べずに契約すると、融資の実行を待たずに支払いの期日が来ることになります。加盟を検討する段階で、開店予定日から逆算した日程表を自分で作っておくと、この食い違いが見えるようになります。

なお、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。金額の上限が問題になる場面は多くありませんが、運転資金の枠が別に決まっている点は、資金の内訳を考えるときの前提になります。

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監修元日本政策金融公庫 支店長 多胡藤夫/執筆 元朝日信用金庫 融資担当営業 小峰精公

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V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

Q3.申込前によくある行き違いは何ですか

自己資金の考え方が、実際の制度とずれているケースが目につきます。「開業資金の10分の1は自己資金でなければならない」という説明を前提に計画を組んでいる方がいらっしゃいますが、現行の制度では自己資金の額や割合の要件は決まっていません。かつての新創業融資制度にあった要件のイメージが残っているものと思われます。

ただし要件がないことと、見られないことは別です。自己資金の額は審査の判断材料として扱われますので、多いほど有利に働きやすいという理解でお考えください。面談の時点で口座に確認できる形にしておくのが基本です。

あわせて、創業前に自費で支払った資格の取得費用、設備や備品の購入、テストマーケティングの費用などは、みなし自己資金として一定の範囲で評価されることがあります。領収書を残しておくと、この部分を説明できます。

Q4.未経験の業種に加盟する場合、審査ではどう見られますか

審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。フランチャイズの場合、本部のブランドや業態には実績がありますが、問われているのは申込者本人が事業として創業した実績の有無です。この2つは別のものとして扱われます。

未経験をどう補うかについては、書き方で差が出ます。「同業の知人から定期的に助言を受けている」「経理や専門的な業務は外部に委託する」といった説明は、経営そのものへの関与としては弱く、カバー策としては物足りません。事業経験者を役員として迎えるなど、事業の運営に直接関わる体制を作る方向で組み立てると、説明に厚みが出ます。

また、創業融資だから決算書は関係ない、ということにはなりません。新しく設立した会社でも、一期でも決算が締まっていればその決算書が確認されます。代表者が別に会社を経営している場合は、その会社の決算書も確認の対象になります。

多胡藤夫

💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言

公庫で支店長をしていたころは、申込額が渡された資料の合計とぴったり同じ、という創業計画書が持ち込まれることがありました。分かれ目は、その金額を自分で積み直したかどうかです。要るものだけを書いて、根拠のある見積で組んである計画は、金額が大きくても説明が通ります。余裕を見て上乗せした分は、資金使途の説明のところで行き詰まります。

Q5.希望した金額が出なかった場合、何が起きますか

減額の理由は、大きく2つに整理できます。1つは資金使途の妥当性です。業種に対して過剰な仕様の設備や、事業の内容から見て説明のつきにくい什器などは、ここで引っかかります。店舗であれば、その商売にとって一等地が要るのかという点も問われます。もう1つは資金調達の代替性で、ほかに使える調達手段があると見られた場合に、そちらでという判断になることがあります。

フランチャイズで減額が起きたときにやっかいなのは、削れる先が限られる点です。加盟金や本部指定の内装、初期の商品仕入れは、契約で金額が決まっていて動かせません。その結果、削られるのは開業後の運転資金の側になりやすく、開店してから資金が薄い状態で走ることになります。加盟契約を結ぶ前に、満額に届かなかったらどこを削るのかを決めておくと、この場面で慌てずに済みます。

Q6.返済が始まってからは、何が効いてきますか

返済とロイヤリティが、毎月同じタイミングで固定的な支出として並びます。新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、元金返済の据置期間は5年以内で設定できます。据置期間中は利息のみの支払いになりますので、開業直後の資金繰りには余裕が生まれます。

Q7.一度断られたら、もう借りられないのでしょうか

日本政策金融公庫は個人信用情報機関に加盟していますが、審査に落ちたこと自体が信用情報機関の記録として残ることはありません。一方で、公庫の内部には申込と審査の履歴が残ります。そのため次に申し込むときは、過去の経緯を踏まえて慎重に扱われる可能性があります。

ここで避けたいのは、原因を特定しないまま日を置かずに再申請することです。自己資金の不足、事業計画の説得力不足、未経験への対策不足など、断られた理由を具体的につかんで、そこを改善したうえで申し込み直す流れになります。

加盟契約の前に、自分の手で作っておく3つの資料

  1. 開店予定日から逆算した日程表。融資の準備・審査・実行と、研修・物件・工事の日程を1枚に並べます。
  2. 本部資料とは別に積み直した資金計画。要るものだけを、根拠のある見積で組みます。
  3. 満額に届かなかったときの削り順。契約で動かせない費目と、自分の判断で調整できる費目を先に分けておきます。

まとめ

フランチャイズ開業の失敗を資金の面から見ると、加盟前の日程、申込前の計画の組み方、開業後の固定的な支出という3つの点に分かれます。どの時点も、契約を結んだ後では動かしにくくなる部分です。V-Spiritsグループでは712件(2026年6月時点)の創業融資を支援しており、そのうちフランチャイズ関連は85件です。加盟を検討している段階でご相談いただければ、日程と資金計画を並べて確認できます。制度や金利は変わりますので、申請の前に最新の情報を確認しながら進めてください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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