
合同会社と株式会社の違いは何?──起業前に知っておきたい選び方のポイント
ズバリ言います。
会社を作るとき、
「合同会社と株式会社、どっちがいいの?」
というご質問は非常に多くいただきます。
特に近年は、設立費用が安く、
柔軟な運営ができる「合同会社(LLC)」を選ぶ方も増えていますが、
「やっぱり株式会社の方が信用される?」という不安も根強くあります。
そこで今回は、合同会社と株式会社の違いを、
「設立費用」「経営の仕組み」「税金」「社会的信用」などの視点から、
実務に即してわかりやすく解説いたします。
1.そもそも会社の種類とは?
日本では、法人として会社を設立する場合、主に以下の4つの種類があります。
-
株式会社
-
合同会社(LLC)
-
合名会社
-
合資会社
このうち、99%以上は「株式会社」か「合同会社」です。
つまり、実質的にこの2つが「会社設立の選択肢」と言っても過言ではありません。
2.合同会社とは?
合同会社は、2006年の会社法改正で新たに導入された会社形態です。
アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしたもので、
設立のしやすさや自由な経営スタイルが特徴です。
【特徴】
-
出資者=経営者(原則)
-
株式の発行なし
-
決算公告の義務なし
-
合同会社のままでも大手企業との取引実績あり(例:Amazon、Appleの日本法人も当初は合同会社)
3.株式会社とは?
株式会社は、もっとも一般的な会社形態で、
出資者(株主)と経営者(取締役)が分離されているのが特徴です。
株式を発行することで資金調達がしやすく、将来的な上場(IPO)も可能です。
【特徴】
-
出資者≠経営者(原則)
-
株式を発行できる
-
決算公告が義務
-
社会的信用が高い
4.合同会社と株式会社の違いを一覧で比較!
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
設立費用 | 約6万円前後 | 約20~25万円前後 |
出資と経営 | 原則同じ人(オーナー経営) | 分離も可能(株主≠経営者) |
決算公告義務 | なし | あり(官報など) |
株式発行 | できない | できる(株主構成を拡大可能) |
社会的信用 | やや低め(業種による) | 高い(一般認知度あり) |
経営の柔軟性 | 高い(定款で自由に決められる) | 一定の法的枠組みがある |
上場(IPO) | 不可 | 可能 |
5.設立費用とスピードの違い
まず注目したいのは「設立コスト」。
合同会社は、設立時の登録免許税が6万円と割安で、定款認証も不要なため、
トータルでも6~10万円程度で設立可能です。
一方、株式会社は定款認証に5万円、公証人の手数料も含めて20万円以上かかるのが一般的です。
また、スピード面でも合同会社は有利。
書類が揃えば数日で登記できるケースもあり、スピーディーな起業が可能です。
6.社会的信用の違い
社会的な信用度は、やはり株式会社の方が高い傾向があります。
たとえば、銀行融資や取引先との契約、採用面などで
「株式会社の方が安心感がある」
と見なされるケースはまだ多いです。
ただし、業種や営業形態によっては、合同会社でもまったく問題ありません。
特に個人プレーヤーやIT系、コンサル業などは、
合同会社のまま活躍している方も多数います。
7.税金・決算・経理の違い
法人税や消費税の仕組みは、合同会社でも株式会社でも
大きな違いはありません。
ただし、株式会社は「決算公告」が義務づけられており、
毎年官報などで経営状況を公表しなければなりません。
一方、合同会社にはその義務がないため、外部に利益状況を公開せずに済みます。
経理や決算処理の内容は基本的に同じですが、合同会社の方が運営がシンプルになる傾向はあります。
8.こんな人は合同会社がおすすめ
-
少ない資金でスモールスタートしたい
-
自分で自由に経営したい(オーナー経営者志向)
-
株式発行や上場を考えていない
-
IT、フリーランス系など1人起業が中心
9.こんな人は株式会社がおすすめ
-
社会的信用を重視したい
-
融資や取引先との契約で有利に進めたい
-
将来的に事業を大きくしたい、資金調達も視野に入れたい
-
共同経営者や出資者を複数持つ予定がある
10.まとめ:法人化の第一歩は“目的”から逆算!
合同会社と株式会社、どちらが良い・悪いではありません。
大切なのは、「あなたのビジネスの目的に合っているかどうか」。
たとえば、将来的に上場やM&Aを目指すなら株式会社が適しています。
一方、まずは1人で始めて、低コストで自由に動きたいという方には合同会社が最適です。
どちらを選んでも、“法人化すること自体”には大きな意義があります。
銀行口座の開設や取引先からの信用、人材採用のしやすさなど、
法人であることのメリットは計り知れません。
迷ったら、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの起業目的に合った最適な法人形態を、
専門的な視点から一緒に考えていきましょう!
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。