
個人事業主でも銀行融資は可能?起業前に知っておきたい基礎知識
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・行政書士・FPの中野裕哲です。
「個人事業主だと銀行融資は難しいのでは?」
そんな声をよく耳にします。でも、安心してください。
銀行融資は、個人事業主でも、しっかり準備すれば受けられます。
この記事では、1年後の起業を見据えて準備を進めている会社員のあなたに向けて、 「個人事業主が銀行融資を受けるためのポイント」を、実務目線でわかりやすくお伝えします。
銀行融資は法人だけのものではない!
まず大前提としてお伝えしたいのは、銀行融資は個人事業主でも利用可能ということ。
確かに、法人の方が融資枠や制度が豊富で、審査も通りやすい傾向にはあります。
しかし、個人事業主でも以下のような制度を活用できます。
主な融資制度:
- 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 信用保証協会付きの銀行融資(制度融資)
- 商工中金などの特別融資制度
特に起業初期は、公的な制度を上手に使うことがカギになります。
個人事業主が銀行融資を受けるメリット
- まとまった運転資金・設備資金が確保できる
- 融資実績がつき、将来の資金調達がスムーズになる
- 金融機関との取引実績が信用につながる
つまり、資金だけでなく「信用の土台」を築くチャンスでもあるんです。
審査では何を見られるのか?
銀行は以下のような観点から審査します。
- 自己資金がどれくらいあるか
- その業種に対する経験があるか
- 事業計画に実現性があるか
- 信用情報(クレジットカード・ローンの履歴など)
- 生活費や他の借入とバランスが取れているか
事業計画と個人の信用。この2つが審査の両輪です。
融資の準備は「半年以上前」から
ズバリ言います。融資は一朝一夕では通りません。
特に個人事業主の場合は、
- 貯金通帳の積立実績
- 業種に関する実務経験
- 家計の収支バランス
といった「見えない信用」も重要。
そのため、起業を決めたその日から、融資の準備はスタートしておきましょう。
必要な書類とは?
主に以下の書類を用意する必要があります。
- 創業計画書(金融機関指定フォーマットあり)
- 収支予測表(3年分程度)
- 本人確認書類、住民票など
- 自己資金の通帳コピー
- 業務経験を証明する資料(職務経歴書、資格など)
事業のリアルさを「数字」と「証拠」で伝えることが大切です。
銀行に提出する「創業計画書」はこう書く!
創業計画書は、金融機関が「この人に貸していいか?」を判断する重要な資料です。
以下の要素を意識して書きましょう:
- なぜこの事業をやるのか(動機と覚悟)
- どうやって利益を出すのか(売上の根拠)
- 支出と利益の見込み(収支計画)
- 生活費とのバランス(個人の支出)
あなたの“経営者としての考え”を数字に落とし込むイメージです。
審査を通すための5つのポイント
- 自己資金はコツコツ貯めておく
- 事業に関連する実績や経験を蓄積する
- 事業計画は「根拠ある数字」で説得力を
- 家計の見直しと収支の安定化
- クレジットカードやローンの返済遅延をしない
この5つを意識するだけでも、審査通過の可能性はグッと高まります。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人事業主で開業届を出していなくても融資は受けられますか? A. 可能です。創業融資の場合、開業前でも「これから創業する予定」があれば申請できます。
Q. 家族からお金を借りた分も自己資金になりますか? A. 基本的にはNGです。自己資金とは「自分で貯めたお金」が原則です。
Q. 起業したばかりでも銀行は貸してくれますか? A. 公的融資や信用保証協会付き融資であれば、創業初期でも可能性はあります。
Q. 事業計画が曖昧でも申し込んでいい? A. できれば、専門家に一度見てもらいましょう。不安な場合は無料相談を活用してください。
まとめ:銀行融資は「個人の信用×事業の可能性」
個人事業主でも、誠実に準備を重ねれば銀行融資は十分に可能です。
重要なのは、「資金調達=信用の証」ということ。
日頃の家計管理から、事業に対する情熱、数字への誠実さまで、 すべてが信用という形になって返ってきます。
「起業する」と決めたその日が、準備のスタートラインです。
1年後、最高のスタートを切るためにも、今から融資の準備をはじめましょう。
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無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。