
いまさら聞けない「元金均等返済」と「元利均等返済」ってなに?──返済スタイルを正しく知ると家計も安心
住宅ローンや事業資金、設備資金を借りるとき、返済の方法には主に「元利均等返済(がんりきんとう)」と「元金均等返済(がんきんきんとう)」の2つがあります。それぞれの特徴を押さえることで、自分の家計や将来設計に合った返済の選択ができるようになります。
① 両者の違いは「毎月いくら払うか」の仕組み
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元利均等返済:
「毎月払う総額(元金+利息)」がずっと同じ、一定額になる返済方式です。計画が立てやすく、家計管理がしやすいのが特徴です。 -
元金均等返済:
「元金を毎月同じ額ずつ返す」方式。利息は残高に応じて計算されるので、返済が進むほど月々の支払いが少なくなっていきます。
② 比較してみるとこんな感じ:
特徴 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
---|---|---|
毎月の支払額 | 同じ額で一定 | 減っていく傾向 |
初期支払い | 少なめ | 多め(負担大) |
元金削減ペース | ゆっくり | 速い |
総支払額(利息含む) | 多めになる | 少なくなる |
ライフプランへの対応 | 計算がしやすい | 柔軟性あり |
(月々の支出を一定にしたい方には元利均等、早く負債を減らしたい方には元金均等が向いています。)
③ どちらが向いているか?実務的な判断基準
■元利均等返済が向く人
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毎月の支出額を一定にして生活を安定させたい方
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教育費や家族イベントで後年に支出予定がある家庭
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家計の管理をシンプルにしたい人 など
→ 一般的に利用者が多く、取り扱う銀行も多い方式です。
■ 元金均等返済が向く人
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初期支払いの余裕がある人(収入や貯蓄が安定している)
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総返済額をできるだけ抑えたい人
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将来的に住宅売却や借り換えも視野に入れている人
→ 元金の減り方が早いので、総支払いは少なく済みます。
④ 実際の金額イメージ(例:借入3,000万円・金利1.5%・返済30年)
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元利均等返済:
毎月の返済額一定 → 約103,000円程度、総返済額は約37,270,000円 -
元金均等返済:
最初は約120,000円。徐々に少なくなり、最終的には約80,000円。総返済額は約36,770,000円
→ 総額差は約50万円。ですが当初の負担が大きいのは元金均等なので、支出余力とのバランスが鍵です。
⑤ 金利変動時の特徴も違う
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元金均等返済:
借入残高が早く減るので、金利が上がっても総返済額は比較的増えにくいです。 -
元利均等返済:
5年ごと、または返済額が前回の125%以内に収まるルールで支払い額が変動します。急な金利上昇による負担急増を抑えられる安定性が魅力。
⑥ 選ぶときにチェックしたいポイント
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家計の余裕と将来支出予測
毎月の支出が安定しているか、教育費やライフイベントの影響はどうかなど考慮。 -
繰上返済やボーナス返済が可能か
元利均等でも繰上返済を活用すれば、元金均等と同様の総返済額になることもあります。 -
借入機関の取り扱い有無
銀行によっては選べる方式が限られているケースもあるため、事前確認が必要です。 -
将来的なプランとの整合性
退職後の生活、住替え、ローン借換えなども含めて長期設計を考えると効果的です。
最後に:どちらが“正解”ではなく、どちらが“合っているか”
元利均等返済と元金均等返済、どちらを選ぶかに「正解」はありません。大切なのは、自分や家族の収支構造、ライフステージ、将来の見通しに合った選び方をすることです。
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「安心して計画できる定額返済」を希望なら、元利均等返済
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「早く負債を減らしたい」「総支払額を少なくしたい」というなら、元金均等返済
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。