
いまさら聞けない「KPI」ってなに?──成果につながる“見える目標”の設計法
「KPI(Key Performance Indicator)」とは、成果を数値として具体化し、PDCA改善の視点で見るための指標です。一言で言えば、「ゴール(目標)があるなら、そこから逆算して重要な途中経過をチェックできる目印を設定しよう」という方法論。経営者・起業家・部署リーダーにとって“報告と改善”がしやすくなるうえ、チームが一丸となる共通の基準にもなります。
① KPIの意味と背景
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KPI(Key Performance Indicator):直訳すると「重要業績評価指標」。
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KGI(Key Goal Indicator):最終的に達成したい目標(ゴール)の数値化。
例えば「2025年度売上を3,000万円にする」というのがKGIなら、そのKGIを達成するための途中経過指標としてその時々の「新規顧客数」「リピート率」「単価」などがKPIになります。
② KPIとKGIはどう違う?
指標 | 指すもの | 期間例 |
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KGI | 最終成果・目標 | 例:3,000万円/年 |
KPI | 成果に直結する途中経過・中間指標 | 例:月間20件の新規契約 |
PDCA | KPIに沿って「計画→実行→検証→改善」 | 毎月の振り返りが中心になる |
KPIは、“何をどの数値までがんばるか”を具体化してチームの行動を合わせる道具だと捉えると使いやすくなります。
③ KPIの選び方:チェックすべき3ポイント
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KGIとの因果関係が明確か?
数字を上げれば自然とゴールに近づくものを選びます。 -
定量・定期で計測できるか?
「問い合わせ数」「CV(コンバージョン)率」「受注単価」など、データとして取れるものにしましょう。 -
現実的に取り組めそうか?
たとえば「PVを月1万件」ではなく、「SNS経由・月500件」など現実に合わせて設定します。
④ 具体的なKPI指標の例
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Webサービス運営者の場合
・月間訪問ユーザー数
・資料請求のCVR率
・問い合わせ件数 -
実店舗(カフェなど)の場合
・毎月の来客数
・リピート率
・客単価 -
BtoB営業の場合
・商談数/月
・受注率
・顧客あたりの平均契約金額
⑤ KPIの数字をどう定める?
A. 過去実績をもとにする
前年や前月実績+成長率で目安をつくります。
B. 業界や他社事例を参考にする
類似業態の報告書や市場平均値を調べることで現実感のある数字が見えてきます。
C. 初期は“短期&少額目標”から
完璧な数字より「まず月1%改善」など現場が回る実績を積む習慣づくりが大切です。
⑥ KPIの使い方:PDCAサイクルで成果を育てる
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Plan:目標数値(例:月20件)を決める
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Do:施策を実行(例:SNS投稿・広告・キャンペーン)
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Check:数値を毎週・月単位でチェック
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Action:数値が足りなければ改善案を出し、次月に活かす
このようにPDCAを回すことで、偶然の好調ではなく、安定して成果が出せる状態に近づきます。
⑦ KPIの注意点と成功のコツ
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KPIが多すぎると管理不能に:多くても3〜5個程度に絞るのが理想です。
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定性的な評価項目は別途用意:CS(顧客満足)などはアンケートで補いましょう。
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数値の背景から対策を考える:たとえばCV(コンバージョン)率が低いならフォーム改善や接客方法の見直しが必要。
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チームが理解・納得できる内容に:意味がわからないと“やらされ感”で逆効果になります。
■まとめ:KPIは“成果につながる道しるべ”
KPIはただ数字を追うものではなく、「どんな行動を増やせば成果に近づくか」を可視化した行動指標の設計図です。
適切なKPIがあれば、
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チームで目指す方向が一致し、
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成果を安定して出せるようになり、
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改善すべき点が見えるようになる
というメリットが得られます。
こんなご相談もお待ちしています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。