
🟦1.ほんとに社団法人でも補助金は使えるの?
「えっ、うち一般社団法人だから補助金はムリだと思ってました…」
こんな声、実はよく耳にします。確かに、株式会社が中心の補助金制度において、一般社団法人は対象外と思われがち。
でも、ズバリ申し上げます。
その思い込み、ちょっともったいないですよ!
実は、一般社団法人でも補助金を活用できるチャンスはあるんです。 条件さえ整えば、あなたの法人でも十分に可能性があります。事実、私たちがサポートしてきた中にも、「社団法人で補助金を活用して新事業をスタートした」という事例が少なくありません。
この記事では、そんな「知っておきたい補助金制度」をわかりやすくご紹介。 「なぜ使えるのか?」「どの制度なら対象になるのか?」「注意点は?」といった実務的な視点で、経営者の皆さんが安心して一歩踏み出せるよう、丁寧に解説していきます。
それでは、具体的に見ていきましょう!
🟦2. 一般社団法人と補助金の関係
一般社団法人は、営利を目的としない非営利法人として設立されることが多く、株式会社などとは異なる立ち位置にあります。この特性が、補助金の対象となりにくい要因の一つとされています。
実際、国の代表的な補助金である「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」では、申請要件として「中小企業基本法に基づく中小企業者」であることが求められます。一般社団法人はこの定義に含まれない場合が多く、結果的に対象外となるのです。
さらに、多くの補助金では「収益性」や「市場競争力の強化」といった視点での審査が行われます。社会的な使命を重視する一般社団法人の事業は、こうした評価軸とそぐわないと見なされるケースもあります。
このような背景から、「一般社団法人は補助金を使えない」という認識が広がっているのは無理もありません。
しかし、近年では非営利法人の活動の幅が広がり、「新たな価値を生む取り組み」や「社会課題に対応する事業」に対して、国も柔軟な支援を行うようになってきています。 そうしたなかで、一般社団法人にも門戸を開いている補助金が、確かに存在するのです。
🟦3. 実は使える!一般社団法人でも対象となる国の補助金
「一般社団法人は補助金が使えない」と思われがちですが、実は条件を満たせば対象になる補助金も存在します。その中でも、特に注目したいのが以下の2つです。
◆ ① 新事業進出補助金
新たな事業へのチャレンジを支援する制度です。一般社団法人であっても、一定の条件を満たせば申請可能です。
補助対象者:企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等(一般社団法人を含みます)
補助上限金額:最大9000万円(従業員数や特例により変わります。)
補助率:1/2
補助対象経費:機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費
たとえば、これまで研修事業を行っていた一般社団法人が、新たにオンライン講座の配信プラットフォームを立ち上げる――そんな「新分野展開」を後押しするような補助金です。
この補助金の最大の特徴は、「今ある事業の延長線ではなく、“新たな取り組み”であること」が求められる点にあります。
◆ ② IT導入補助金
こちらは、業務効率化やDX推進を目的としたITツールの導入を支援する補助金です。一定の法人格を持つ団体(一般社団法人含む)も対象とされる場合があり、業務改善のための会計ソフト導入や、予約システムの導入などが対象となります。
補助対象者:一定の法人格を持つ団体(年度ごとに異なるため確認が必要)
補助上限金額:450万円(申請枠や申請条件により変化)
補助率:1/2~4/5(申請枠や申請条件により変化)
補助対象経費:ITツールなど
ただし、IT導入補助金の対象になるかどうかは、申請年度の制度内容によって異なるため、最新の公募要領の確認が必須です。
これらの補助金は、「一般社団法人でも使える数少ないチャンス」といえる存在です。 次のセクションでは、特に活用価値の高い「新事業進出補助金」について、さらに詳しく掘り下げていきます。
🟦4. 新事業進出補助金とは?
「新事業進出補助金」は、正式には「中小企業等事業再構築促進事業」として運営されている補助金の一部で、既存事業とは異なる新しい取り組みに挑戦する法人を対象としています。一般社団法人でも、要件を満たせば申請することが可能です。
🔍 どんな補助金?
この補助金は、新しい製品・サービスの開発や、新市場への参入など、事業の再構築(=新規事業への挑戦)を後押しすることを目的としています。
例えば、以下のようなケースが対象になり得ます:
- 対面型の相談業務を行っていた団体が、オンライン相談のためのアプリ開発に乗り出す
- イベント中心の事業を行っていた法人が、動画コンテンツの制作・配信にシフトする
- 地域活動を支援していた団体が、新たに地元産品をECで販売する取り組みを始める
💰 補助金額と補助率
補助金額:750万円〜最大9,000万円程度(申請方法により異なる)
補助率:1/2
※年度や枠によって詳細が変わるため、最新の公募要領の確認が必須です!
📌 一般社団法人が活用する上でのポイント
この補助金は、単なる設備導入だけでなく、「新しい事業として成り立つかどうか」が重要視されます。 そのため、「既存業務の延長」ではなく、「まったく新しい市場や提供方法」に取り組む必要があります。
一般社団法人の場合、「収益事業としての実現性」や「社会的な意義」もあわせて整理した上で、明確なビジョンを事業計画書に反映させることが採択への鍵となります。
🟦5. 利用時の注意点
「新事業進出補助金」は、一般社団法人にとって貴重なチャンスですが、申請・活用にはいくつかの注意点があります。ここを押さえておかないと、「せっかく準備したのに対象外だった…」ということにもなりかねません。
✅ 1. 従業員が1名以上必要 新事業進出補助金では、常勤の従業員が1名以上在籍していることが要件となっています。理事だけで運営している法人や、実質的にスタッフがいない場合は申請が難しくなります。
✅ 2. 採択・交付決定前の発注は補助対象外 補助金は、「交付決定通知を受けた後の支出」しか対象になりません。つまり、採択されて手続きが終わった後に、契約・発注・支払いを行わないと、補助金の対象外になってしまいます。
✅ 3. 事業内容と投資内容の関連性を明確に 補助金の審査では、「なぜこの投資が必要なのか?」が問われます。 事業内容と導入する設備・サービスとの整合性が取れていないと、補助対象外と判断される可能性があります。
✅ 4. 事業計画書の妥当性が審査のカギ 「この事業は本当に成立するのか?」「継続性はあるか?」といった点を、審査員は細かくチェックしています。一般社団法人としての社会的な意義は強みになりますが、それだけでは足りません。数値的な裏付けや実行体制の明確さも必要です。
🟦6. 一般社団法人で補助金を使ってみませんか?
「一般社団法人は補助金が使えない」と思い込んでいませんか?
たしかに、代表的な補助金制度の多くは対象外になってしまうことが多く、法人格だけで門前払いされるケースもあります。 ですが、「新事業進出補助金」や「IT導入補助金」など、一部の制度では一般社団法人にもチャンスがあります。
特に、「これから新しい事業を始めたい」「社会的な課題に挑戦する取り組みをカタチにしたい」という思いを持っている法人にとって、補助金は強力な追い風になります。
とはいえ、制度の要件や申請時の注意点は細かく、慎重な準備が必要です。 「この内容で申請できるのか?」「何から始めればいいのか?」と不安を感じる方も多いはず。
💬 まずはお気軽にご相談ください! 私たちは、一般社団法人の補助金活用に多数の支援実績があります。 事業の内容や状況に合わせて、申請の可能性や準備の進め方をご案内します。
「うちでも使えるかも?」と思った方は、まず一度、お問い合わせください。 思い込みを手放して、一歩踏み出せば、新しいチャンスが見えてくるはずです。
この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。