
起業家がネット専業銀行で口座開設するべき理由──スピードと効率を味方に
「会社を設立したけど、どの銀行で口座を開けばいいの?」
そんなご相談をよく受けます。特に最近は、ネット専業銀行(ネットバンク)を活用する起業家が増えています。理由はズバリ、コストの安さ・スピード感・業務効率の良さが抜群だからです。この記事では、ネットバンクの活用メリットを実務視点でやさしく解説します。
1. コスト削減につながる
ネットバンク最大の魅力は、手数料が安いことです。
他行宛の振込手数料は数百円かかるのが一般的ですが、ネット銀行なら1件あたり100円台~と低水準。回数が増えると、これは大きな差になります。
また、口座維持手数料やネットバンキング利用料が無料のケースも多く、毎月の固定費を圧縮できるのは創業期の大きな利点です。
2. 開設までがとにかく早い
ネットバンクは、申し込みから開設までのスピードが速いのも魅力です。
従来の銀行では窓口での面談・提出・審査といったプロセスが必要でしたが、ネット銀行ならすべてオンラインで完結。最短即日で開設できるケースもあります。
時間と労力を最小限に抑え、他の準備に集中できる環境を整えることができます。
3. 24時間365日、業務が止まらない
ネット銀行は、24時間365日いつでも入出金や振込処理が可能。
特に、日中に外回りや打ち合わせが多い起業家にとっては、夜間や休日にも取引できるこの利便性は非常にありがたいものです。
4. 会計ソフトとの連携がスムーズ
多くのネット銀行は、クラウド会計ソフトとの連携が可能です。
毎日の入出金データを自動で取得してくれるため、記帳ミスや経理の手間が激減。面倒な手入力や確認作業が不要になり、経理業務にかかる時間を大幅に短縮できます。
これにより、本業に集中できる時間が増えるというわけです。
5. 創業初期でも口座が作りやすい
ネット銀行は、創業間もない企業に対しても比較的審査が柔軟です。
店舗型の銀行では、「実績がない」「事務所がない」などで門前払いされるケースも少なくありません。しかしネット銀行では、ウェブサイトや事業概要などの情報をもとに、書類審査を中心にスムーズに進む傾向があります。
6. スマートな機能が満載
法人デビットカードの発行、即時決済、API連携、請求書自動発行など、ネット銀行はデジタルツールとしても高性能です。
特に、外注先への支払い・仕入れ・広告費などを法人カードでまとめれば、資金繰りの見える化にもつながります。
7. メインバンクとしても十分活躍
ネット銀行は「サブ口座」というイメージを持たれがちですが、最近では起業家のメイン口座として活用されるケースも増えています。
振込上限額や取引実績に応じた優遇制度もあり、ビジネスの成長に合わせて使い勝手もアップしていくのが特徴です。
8. ただし注意点もある
もちろん万能ではありません。以下の点には注意しましょう。
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一部の公共料金や社会保険料の支払いに非対応のケースあり
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実店舗での対応ができないため、現金の取扱いには向かない
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信用力が弱いため、大手企業や行政との取引でサブ口座を求められる場合もあり
そのため、取引規模が広がるにつれて、地方銀行や信用金庫などとの併用を考えることも視野に入れておくと安心です。
9. 結論:創業期こそネット銀行を味方に
起業家にとって、スピード・コスト・効率は命綱。
ネット専業銀行は、まさにその三拍子を兼ね備えた“ビジネスの土台”になります。
口座を選ぶだけでも、事業の進み方は大きく変わってきます。特に創業初期には「まず1つネット銀行を」「可能なら補完用に1つ店舗型銀行も」という組み合わせがおすすめです。
10. ネット銀行活用で資金繰りを見える化しよう
ネット銀行の最大の強みは、「日々の入出金がタイムリーに把握できること」です。
アプリやブラウザからリアルタイムで残高を確認でき、振込履歴も瞬時に確認可能。これにより、無駄な支出や資金の偏りにいち早く気づくことができ、資金繰りにおける“見える化”が自然と進みます。
さらに、口座を複数使い分けて「売上管理用」「支払管理用」といった区分けをすることで、資金フローの整理や管理もぐっとラクになります。
11. 「ネット銀行=信用が低い」はもう古い?
「ネット銀行だと取引先に不安を与えないか…」とご心配の方もいらっしゃるかもしれません。確かに、一昔前は「ネット銀行=怪しい」「信用がない」というイメージがあったのは事実です。
しかし、今や大企業でもネットバンクを業務に取り入れる時代。法人口座数も年々増加し、ネット銀行自体の社会的信用も大きく向上しています。
大切なのは、しっかりと資金を管理し、適切な会計処理を行うこと。それさえできていれば、取引先も口座の種類で不信感を抱くことはまずありません。ビジネスパートナーとしての信頼は、日々の姿勢で築くものなのです。
おわりに──迷ったらまずは行動を
「どの銀行を選ぶべきか」「審査に通るか不安」という方も多いと思います。そんなときは、専門家に相談したり、銀行の公式ページでチェックしたりしながら、早めに行動してみてください。
スムーズな資金管理は、スムーズな経営に直結します。あなたの起業を支える“最初の口座”、しっかり選んでいきましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。