
オフィスの家賃はどれくらいが妥当か──失敗しない賃料判断のコツ
「オフィスを借りたいけど、家賃はどれくらいが適正なの?」
初めてのオフィス選びでは、相場がわからず不安になるものです。実は家賃は「エリア」「坪単価」「面積」「業態」「コスト回収力」で決まります。この基準を理解すると、無理なく、その事業に“ちょうどいい”オフィスが選べます。今回は東京を中心とした相場情報をもとに、妥当なオフィス家賃の考え方を一緒に整理してまいります。
1.東京ビジネス街の坪単価相場
東京の主要ビジネスエリア、千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区などの坪単価は、17,000〜24,000円/坪程度が目安です。
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東京ビジネス地区の平均が約20,776円/坪
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特に渋谷区はトップクラスの24,621円/坪
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千代田区や中央区は平均18,000〜22,000円/坪とやや高めです
たとえば20坪のオフィスなら、月額40万〜50万円くらいになる計算です。
2.駅別・エリア別の詳細相場
駅近だと上乗せがあります。
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東京駅〜大手町は40,000〜50,000円/坪
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銀座・霞ヶ関・新橋周辺は25,000〜35,000円/坪前後
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神田・秋葉原・御茶ノ水は約20,000〜25,000円/坪
通勤便利な場所ほど高くなる傾向ですが、多少歩くと相場がグッと下がります。
3.サービスオフィスやシェアオフィス、バーチャルオフィスの選択肢
最近増えているサービスオフィス(登記可、家具・会議室付き)は、低コストでのスタートに合います:
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千代田区:月額45,000円〜
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中央や港区でも月額43,000〜50,000円前後
- バーチャルオフィスであれば、月額1,000~30,000円前後
起業当初は必ずしも専有オフィスにこだわる必要はありません。
4.「妥当な家賃」を判断するための3つの指標
✔ 売上・利益に対する家賃比率
家賃は「月売上の5〜10%程度」が目安です。20坪・坪単価2万円で40万円家賃なら、月商が400万〜800万円くらいあれば無理のない水準です。
✔ 成長フェーズと面積のバランス
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立ち上げ期:サービスオフィスや小規模物件でOK
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成長期:専有オフィスに移設し、人員拡充や会議室を整える
このように、自社のステージに応じて面積や設備を変えていく柔軟性が大切です。
✔ 初期費用と契約条件の見極め
保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、内装費なども要チェック。保証金は1〜6ヶ月分。礼金0〜1ヶ月が多く、保証金が高くても礼金が0だったりと条件は物件により異なります。
5.業態別の家賃許容度
業態 | 面積目安 | 家賃許容上限の目安(坪単価×面積) |
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IT・スタートアップ | 10〜30坪 | 中央・神田周辺:月20〜60万円 |
会計・コンサル業 | 20〜40坪 | 大手町など:月80万円前後 |
クリニック・教室 | 20〜50坪 | 一等地は坪3万以上もあり |
坪単価と想定売上を元に「家賃を支えられるか」をシミュレーションしておきましょう。
6.空室率とタイミングの見極め
東京ビジネス地区の空室率は平均3.8%と低水準 。
季節や経済動向で上下しますが、供給過多時期は交渉余地も生まれます。空室率を見つつ、条件交渉や立地選びを進めることが得策です。
7.まとめ──自社にとって「ちょうどいい賃料」をどう決めるか
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エリアの坪単価を調べる(主要駅・街から逆算)
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面積&売上目標から家賃上限を逆算(売上×5~10%)
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初期費用と運転資金を含めたトータルコストを把握
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物件交渉のタイミングは空室率&繁忙期を考慮して
こうした手順を踏むことで、「狭すぎず広すぎず」「賃料も事業に合った」ちょうど良いオフィス選びができます。ご希望があれば、候補地の相場調査や収支シミュレーションもサポートしますので、お気軽にご相談ください。あなたのオフィス選びが、事業の成長を支える拠点となりますように。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。