
いまさら聞けない「支払条件」って何?
〜取引がグッとスムーズになる、小さな契約の大切なポイント〜
「支払い条件ってふだん気にしていなかったけど…どう決めればいいの?」
初心者や起業直後の方から、こんなご相談をいただくことがあります。
支払条件とは、取引時に「どのくらいの期間で、いくらを、どのように支払うか」を取り決めたもの。言わば、お金のやりとりのルールを明確にするものです。
「たかが支払い…」と侮ることなかれ。これを曖昧にしておくと、思わぬトラブルやキャッシュフローの悪化につながることも。今回は「そもそも支払条件って何?」「どう決めるべき?」「気をつけたいポイントは?」をやさしく解説してまいります。
支払条件って、何を決めること?
具体的には、次のような内容を取り決めます:
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支払いタイミング
例:請求書発行から30日以内/月末締め翌々月末支払い など。 -
支払方法
銀行振込?口座引き落とし?現金?クレジットカード? -
支払い通貨
円?ドル?相手が海外なら通貨や為替リスクも検討対象になります。 -
早期支払い割引/延滞利息
例:支払いが早ければ¥500引き、遅れた場合月0.5%の利息など。
こうした条件が明文化されていると、取引がスムーズで安心感が生まれます。
支払条件をきちんと決めるメリット
1. キャッシュフロー安定
事前に支払いの予定が立てられるため、資金繰りの見通しが立てやすくなります。
2. 請求漏れや支払いの未回収を防ぐ
条件が明文化されていれば「前に渡したけど?」というトラブルも減ります。
3. 信頼関係の基盤になる
お互いが同じルールを守ることで、対等で安心な取引ができるようになります。
4. 支援的な交渉がしやすくなる
支払い条件を理由に、取引単価の見直しやサービス連携など、お互いにとって良い提案もしやすくなります。
支払条件を決めるときのポイント
● 相手との関係性を考慮
関係が長い得意先なら柔軟に、初取引なら少し慎重になるなど加減を。
● 自分の資金体力とのバランス
先行投資や仕入れの手間があるなら「前金10%」など工夫も。
● 業界のスタンダードを尊重
業界によって慣習があります。「30日締め翌月末」などよく使われる形を参考にするのも◎。
● 口頭より書類へ
請求書・契約書・見積書などに記載して、やりとりの記録として残せるようにしましょう。
支払条件トラブルあるあるとその対策
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あるある①:「入金遅れ…なんで?」
⇒ 請求書をメールで添付+送付済の確認を。 -
あるある②:「納品したのに支払われない!」
⇒ 納品時に受領書と請求書も提示し、支払い期日も再確認。 -
あるある③:「相手の経理体制で振込が3日遅れる」
⇒ 「実際に振り込まれる日」を基準に想定してスケジューリング。
まとめ:支払条件は信頼のかたち
お金の話こそ、ビジネスの土台です。曖昧にせず、明確にすることで「この人とは気持ちよく取り引きできそう」と伝えることができます。
・支払いはいつ?
・どうやって?
・トラブルがあったらどうする?
そう問うことは、“ビジネスを丁寧に大切に扱う姿勢”のあらわれです。
起業して間もない方も、すでに経営なさっている方も、支払条件を考えることは成長への一歩。疑問があればいつでもお声がけくださいね!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。