
競業とは何か?起業前に必ず押さえておきたい会社員のリスク
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・行政書士・社労士・FPの中野裕哲です。
「会社に迷惑かけないように副業したいんですが……」「起業したいけど、元の会社と競合しませんか?」
こういった質問、実はとても多いんです。
ズバリ言いますと、「競業」とは起業準備中の会社員が特に気をつけなければならないポイントのひとつ。
知らずに行動すると、最悪の場合、損害賠償や解雇といったリスクも。
今回は、「競業とは何か?」という基礎知識から、会社員として気をつけるべき点、起業準備中の注意事項まで、やさしく解説していきますね。
競業ってどういう意味?
まず、「競業」とは、自分が所属している会社と同じような事業を行って利益を得ることを言います。
たとえば……
- 営業職の人が、勤務先と同じ顧客に同様の商品を個人で売る
- 技術者が、在籍中に自分で同じサービスを立ち上げる
- 元の会社と同業のビジネスを退職後すぐに始める
これらは、すべて「競業」に該当する可能性があります。
なぜ問題になるの?
会社は、社員に対して給与を支払って「業務上のノウハウや人脈」を任せています。
その社員が、会社の利益を侵害するような活動をすれば、
- 「会社に損害を与えた」と判断される
- 「信義則に反する行為」と見なされる
このように扱われ、懲戒や訴訟のリスクにつながるのです。
「競業避止義務」って?
会社員には、在職中に「競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)」があるとされています。
これは簡単に言えば、
「勤務先と競合するような仕事はしてはいけませんよ」という義務 です。
そして、退職後にも「競業避止義務」を定めた誓約書や契約書を交わしている場合、一定期間は同業で起業することすら制限されることもあります。
誓約書がある場合の注意点
もし入社時や退職時に、こんな内容の書類にサインしていたとしたら注意です。
- 「退職後○年間は同業他社への転職・独立を禁止する」
- 「在職中に得た情報を利用しての起業は不可」
これらは、一定の条件下で法的拘束力を持つ場合があります。
もちろん、制限が過剰であれば無効とされることもありますが……「サインしてしまった以上、トラブル回避のためには慎重に動く」ことが大切です。
実際に起業準備で気をつけるべきこと
1. 同業での副業や準備は慎重に!
→ 在職中に始めるなら、業種を変えるなどの工夫を。会社に相談できるなら相談するとよいでしょう。
相談が難しいなら、トラブルを避けるためにも一声かけておくなどの配慮は必要でしょう。
2. 情報の持ち出しは絶対NG
→ 顧客リストやノウハウなど、会社の資産は持ち出さない。
3. 契約書や就業規則を確認する
→ 入社時の誓約書などに競業避止義務の記載がないかチェック。
4. どうしても心配なら、社労士や弁護士に相談
→ 起業前に「大丈夫かどうか」の確認はプロに任せましょう。特に起業の専門家に相談するとよいでしょう。
起業の専門家の周りには起業に詳しい税理士や社労士、司法書士や行政書士が集まっており、ワンストップで相談が可能です。
もしも、悩み事に専門家を探すことになったら、その労力だけでやめたくなるかもしれません。
FAQ:競業についてのよくある質問
Q. 副業でブログや物販をしています。これも競業ですか?
A. 本業と無関係な内容であれば競業とはなりません。ただし、就業規則で副業自体を禁止している場合は注意です。
Q. 会社を辞めたあと、すぐに同業で起業するのはNG?
A. 誓約書などがなければ基本的に自由です。ただし、元の会社の顧客をそのまま引き継ぐと問題になる可能性あり。
Q. 元の会社の人脈を使って起業してもいい?
A. その人脈が個人的なものであればOK。ただし、会社として築いた関係であれば要注意です。
最後に:起業は信頼の上に成り立つ
競業に関するトラブルは、事業スタート時に「いきなり信頼を失う」原因になりかねません。
古巣である前職の人々も立派な人脈です。スタートから深い関係を築いている人脈を無くすことにメリットはありません。
だからこそ、信頼関係にひびをいれないように慎重に立ち回り、正しく知識を持ち、慎重に準備することが大切です。
起業は「挑戦」であると同時に、「信義」や「信用」を問われる場面でもあります。
もし不安があるようなら、私たちのような専門家にご相談くださいね。
起業の一歩一歩を、安心して進めていきましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。