
事業計画書を書くときのコツってどんなこと?
~資金調達も信頼も引き寄せる“伝わる計画書”の作り方~
「事業計画書って、どこまで詳しく書けばいいの?」
「正直、数字が苦手で…」
「融資や補助金のために必要って聞いたけど、何を書けばいいの?」
そんなお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか?
ズバリ言います。事業計画書は「あなたの夢を、他人が応援したくなる形に落とし込んだラブレター」です。
金融機関、取引先、パートナー、そして自分自身の未来のために——
この記事では、初心者でも安心して取り組めるよう、「事業計画書を書くときのコツ」を5つのポイントに分けて、やさしく解説します。
コツ①「読む人の視点」で書こう
計画書を書くとき、ついつい“自分目線”で書きがちですが、大切なのは「読む人=第三者が理解できるかどうか」です。
たとえば日本政策金融公庫や銀行、ベンチャーキャピタル、あるいは補助金の審査員。
彼らは日々多くの計画書を見ているプロです。だからこそ、ポイントを押さえた「読みやすさ」「納得感」「リアリティ」が重要になります。
-
専門用語はできるだけ避けて平易な言葉で
-
ストーリー性を意識して、事業の背景から丁寧に説明
-
数字は根拠を示す(例:「過去の実績から〇%成長を見込む」など)
つまり、「自分にしかわからない計画書」ではなく、「誰にでも伝わる設計図」が理想なのです。
コツ②「たった一人のターゲット」を具体的に描く
マーケティングの肝は“ターゲティング”。
事業計画書でもこれは同じで、「誰のどんな困りごとを、どうやって解決するのか?」を具体的に描くことが重要です。
たとえば、
×「女性向けのファッションサイトを運営します」
◎「30代子育てママ向けに“時短コーデ”を提案するECサイト」
というように、ペルソナ(理想の顧客像)を一人に絞り込んで考えると、サービスの特徴や販売戦略も自然と明確になります。
ターゲットがあいまいな計画書は、残念ながら“刺さらない”んですね。
「この人の事業は、ニーズがちゃんと見えているな」と感じさせる内容にすることが大切です。
コツ③「売上のしくみ」を論理的に組み立てる
事業計画書の核心、それは“どうやって儲けるのか?”という問いへの答えです。
商品の単価、販売数量、原価、人件費、広告費…。
数字に弱い方でも、エクセルや売上予測テンプレートなどを活用すればOKです。
大事なのは「根拠があるかどうか」。
-
「SNSフォロワー数を活かして、初月から〇件受注を目指す」
-
「月に20人の顧客×単価1万円=20万円を基礎売上にする」
-
「半年後には法人向けにBtoB提案を開始し、単価アップを図る」
など、具体的なロジックで数字を語れると、信頼性がぐんと高まります。
コツ④「競合との差別化」を明確にする
似たような商品やサービスは世の中にたくさんあります。
その中で、「なぜあなたのビジネスを選んでもらえるのか?」を言語化することが必要です。
たとえば…
-
「大手は対応が遅いが、うちは即レス・即納が強み」
-
「専門資格+現場経験20年の強みを活かした安心感」
-
「ニッチ市場(例:50代女性向け)に特化している」
など、「あなた独自の価値=USP(Unique Selling Proposition)」を盛り込むことで、説得力のある計画書になります。
コツ⑤「数字だけでなく、想いを伝える」
意外と見落とされがちなのが、「なぜこの事業をやるのか?」という想いの部分。
たとえば、公庫の面談でもよく聞かれます。
「なぜ起業しようと思ったのですか?」
「この事業にかける想いは?」
この“想い”の部分こそ、他の誰にも真似できないあなたのストーリーです。
計画書の冒頭や終わりに一文添えるだけでも、読み手の心を動かします。
-
「家族の介護経験から、介護者支援の必要性を痛感しました」
-
「長年勤めた美容業界で、もっと自由な働き方を広めたいと考えました」
など、あなたの“原点”が計画書に命を吹き込むのです。
まとめ:事業計画書は“未来の自分への手紙”
事業計画書は、単なる「お金を借りるための資料」ではありません。
未来の自分を励ます“設計図”であり、応援者を増やす“ラブレター”でもあるのです。
だからこそ、ただ数字を埋めるのではなく、あなたの想い・戦略・現実性をバランスよく盛り込むことが成功のカギになります。
最後に、今回のポイントをおさらいしましょう。
■ 誰が読んでもわかる内容にする
■ たった一人のターゲットを設定する
■ 売上のロジックを明確にする
■ 競合との差別化を示す
■ あなたの想いを込める
これらのコツを押さえれば、融資も信頼もグッと近づきます。
「難しそう…」と感じる方も、焦らず一歩ずつ、書いてみてくださいね。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。