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コラム

【金融機関が行う信用格付について(前編)】 |専門家に5分無料相談全国対応

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金融機関の裏事情|「信用格付」とは?中小企業経営者が知るべき銀行の本音

今回は金融機関の裏事情を少しお話したいと思います。テーマは「信用格付(=以下、格付)」です。

目次

格付とは何か?

「格付」といえば、「スタンダード&プアーズ」や「ムーディーズ」などの有名な信用格付会社、あるいはテレビ番組「芸能人格付チェック」でGACKTが登場する場面を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、実は経営者(個人事業主も含む)にとっても「格付」は非常に身近なものなのです。

中小企業の多くは金融機関から借入を行っており、実は皆さんも知らぬ間に「格付」をされています。明確な数値や順位付けこそないものの、金融機関内では「一流芸能人」「二流芸能人」「そっくりさん」「映す価値なし」のように、おおまかなグループ分けがなされています。

なぜ金融機関は格付を行うのか

この仕組みを理解するには、銀行のビジネスモデルを知る必要があります。銀行は、一般の人々から「預金」という名でお金を預かり(=仕入れ)、それを「貸出金」として企業や個人に融資することで、「利息」という売上を得る、いわば「お金の小売業・賃貸業」です。

ただし、賃貸業と異なり、借り手が倒産・破産すれば、貸出金そのものが回収不能になるリスクがあります。そのため銀行は常に一定割合の貸倒を見越して「貸倒引当金」を計上し、損失に備えています。この際、すべての借入先を一律に扱うと実態が反映されないため、個別の信用状態に応じて「格付」を行い、貸倒リスクを分類しているのです。

格付の基本区分と意味

【正常先】【みなし正常先】

業況が良好で黒字かつ資本超過の企業。金融機関が最も積極的に融資したい層です。貸倒引当率はおおむね2%前後で、1,000万円貸した場合20万円程度をリスクとして見込んでいます。

【要注意先】

2期以上の赤字や債務超過に陥るなど、業況が不安定な企業。貸倒引当率は5%前後。融資は保証協会付きや有担保が中心となり、金利も高くなります。

【要管理先】

さらに状況が悪化し、5期以上の連続赤字やリスケを続けている企業。貸倒比率は15%程度で、金融機関はほぼ収益化できていません。新規融資は非常に難しくなります。

【破綻懸念先】

事業継続が危うく、倒産リスクが高い企業。継続的な赤字や突発的な事故によって経営が不安定化しています。貸倒引当率は75%前後と高く、金融機関は「覚悟」を決めている状態です。

【実質破綻先】【破綻先】

すでに返済不能に陥っており、法的整理の有無で区別されます。どちらも貸倒引当率は100%で、実質的には回収不能債権です。

格付が金融機関の営業行動に与える影響

格付は銀行経営に直結します。多くの企業が【正常先】であれば銀行の経営は安定しますが、不況や業績悪化で格付が下がれば「貸倒引当金」を多く計上しなければならず、銀行が赤字に転落することもあります。

金融機関が抱える“格付バイアス”

  • ① 基本的に【正常先】にしか貸したくない。
  • ② 格付が下がると支店の収益目標が一気に減る。
  • ③ 【正常先】から【要注意先】に落ちそうな企業は避けたい。
  • ④ 【要注意先】に落ちた企業は返済を促したいが、完済後は再度貸したくない(=「雨が降ったら傘を貸さない」現象)。
  • ⑤ 【要注意先】になりそうな企業はできる限り【みなし正常先】として扱いたい。

このような事情から、金融機関の担当者や支店長は「格付の維持」に非常に敏感です。支店の格付状況次第で個人評価や昇進にも影響するため、企業側のわずかな業績変化にも神経をとがらせています。

次回予告:正常先を維持するコツ

とはいえ、格付を【正常先】(黒字・資産超過)に維持するのは容易ではありません。次回の(後編)では、【正常先】や【みなし正常先】を維持するための具体的な仕組みと実践方法を紹介します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分の会社の「格付」は教えてもらえるのですか?

A. 原則として、金融機関は格付を外部に開示しません。ただし、融資姿勢や条件、金利水準からおおよその立ち位置を推測することは可能です。

Q2. 格付を上げるには何をすればいいですか?

A. 継続的な黒字経営、債務超過の解消、返済実績の積み上げ、そして金融機関への適切な情報開示がポイントです。特に決算報告や資金繰り表の共有は信頼回復の鍵となります。

Q3. 赤字でも「みなし正常先」に残ることはありますか?

A. あります。金融機関の判断により、経営改善計画が明確で、事業再生の見込みが高い場合には「みなし正常先」として扱われるケースもあります。

まとめ

  • 金融機関は貸倒リスクを可視化するために格付を実施している。
  • 格付によって貸倒引当金の金額が決まり、銀行の業績に直結する。
  • 企業は【正常先】を維持することで、より良い融資条件を得やすくなる。
  • 融資担当者も人間。格付の背景を理解すれば、金融機関との付き合い方が見えてくる。

では、次回の更新をお楽しみに!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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