赤字でも大丈夫!
公庫への申込企業の大半は赤字!
新型コロナと共存といった、経験したことのない経済環境の中で、企業は厳しい経営を迫られていることと思います。どの様に企業が顧客を維持し、この苦境を切り抜けていくか、今できることは何か等々、大きな課題が山積しています。こんな時、一番頼りになるのは、なんといっても現金を沢山保有しておくことです。
金融機関で資金調達をする時に、経営者が、まず先に気にするのは、自社の決算が赤字であるかどうかです。赤字ならば、金融機関からの調達を諦める人が多いようです。
しかし、公庫では、申込企業の半数以上が欠損企業でした。それでも、融資を行ってきました。そのなぜ赤字でも融資できるのか、そのポイントを今回、解説していきましょう。
赤字の理由を明確に!
経営者が、赤字の理由が何であったか、明確に簡単に説明できる事が重要です。それができると、同時に改善策や対応策もできるからです。一時的(一過性)なものでも、慢性的なものであっても良い訳です。公庫の案件では、赤字幅が、月商分以内であれば、融資の可否を大きく左右するほどではないでしょう。取り立てて大げさに悩むことはないと言えます。問題の把握をしていることが大事です。漫然としている経営者が多いのが、実態です。
赤字の補てんはどうした!
次に、決算が欠損の場合、赤字の補填が必要となります。その補填の方法として、現預金の取崩し、在庫処分、金融機関借入、代表者借入、買掛金の繰り延べ等が考えられます。
これは、直近の決算書2期分を比較してみてください。各勘定科目の増減を算出していけば誰でも調達の源泉が確認できます。変化があったものが調達原資となります。
金融機関での借入の場合には、借入限度にまだゆとりがあるかどうかがポイントです。余裕がない場合には、他の金融機関や公庫に相談する必要があります。
未払金や代表者借入が増加している場合には、代表者の家族の資産や収入について、調査することとなります。分かりやすく言えば、代表者が給料を十分に取らずに生活ができているのかが問題となります。代表者の家族の資産・預金が潤沢にあるとか、身内や別途収入があるかを確認できれば、問題はないです。企業が持続できている裏付けが必要です。
今後の改善策を明確に|
今後の対応として、改善計画書ができていれば、申し分ありません。決算書の数字は、過去のものです。決算書は過去の数値であり、赤字でもその後、しっかりと維持しているからこそ現在借入の申込をしている訳です。赤字イコールダメ企業のような考え方はやめましょう。
ここで重要なのは、今後の展開の経営の仕方です。経費削減、人件費見直し、営業強化、広告宣伝の拡充等、まず改善策を提示できることがポイントです。決算後の試算表や改善計画書を作成し、企業の持続性を強調することです。
一般に金融機関では、赤字企業には、返済財源がない。不良債権になりやすい、改善計画書は計画に過ぎない等々から、面倒な案件となっています。ザックリと言えば、債務超過の企業は融資先としては不適格ということです。
しかし、公庫では、赤字企業に慣れていると言えるでしょう。さらに、公庫の審査では、企業だけでなく、代表者の家族等の資産・収入を踏まえて企業として捉えています。具体的には、企業が決算書で債務超過であっても、代表者個人の資産を加味し、自己資本を実質自己資本と見なします。企業の毎月の現金収支だけではなく、代表者の住宅ローンも加味しますが、家族の収入も加算します。
悪化してからは、融資はありえません。『雨が降れば、傘を引き上げます』
企業が維持できている理由、自社の強みを経営者がしっかりと、言えることが大切です。固定的な良い顧客がいる、特殊技術・商品がある、行き届いたサービスがある等々、自己アピールができることです。経営者の方は、往々にして遠慮しておっしゃらないのか、言えないのかわかりませんが、一言で自己主張できることは、交渉の上でも必要なことです。
一方、月商規模の赤字ではなく、大幅な赤字には、抜本的な改善策を提示することが、必要です。金融機関が、一歩踏み込めるだけの理由付け、根拠が必要です。担当者が納得のいく説明資料を用意しましょう。
この場合、従来から公庫を利用しておくと、公庫取引の実績を評価に加えることもあります。取引をして置くメリットもあります。
最後に、赤字であり企業再建を目指す場合には、それなりの融資制度も用意されています。さらに、事業改革を公的な補助金の導入により経営改善の方法も考えられます。
民間金融機関は、『雨が降れば、傘を引き上げます』とよく言われています。
民間金融機関も営利企業です。融資も販売の営業であり、不良債権を抱えたくないからです。赤字企業への融資は、手数がかかり、リスクも高いことから、自然と尻込みします。融資を受けるためには、担当者の手間暇を軽減させるように、準備してください。
経営者の方は赤字だからと控え目にならず、アドバイザーや経営指導員等外部の知恵を活用されることをお勧めします。企業を持続、発展させてこそ、経営者です。赤字ということに捕らわれず、経営者の夢や社会貢献等自己実現に向けて、是非取り組んでください。