
いまさら聞けない「減価償却」ってなに?
〜税理士がやたら使うあの言葉、実は“節税のカギ”だった!?〜
「“げんかしょうきゃく”って聞いたことあるけど…正直よくわからないんです…」
このようなご相談、起業支援の現場では本当によくあります。
ズバリ言います。減価償却は“節税”にも“経営判断”にも関わる、大切な会計の知識です!
でも、心配しないでくださいね。税務や会計が専門じゃなくても、必要なポイントだけ押さえれば、しっかり活用できるようになります。
今回は、「減価償却ってなに?」「なんのためにやるの?」「自分にも関係あるの?」というギモンに、やさしく、かつ実務目線でお答えしてまいります!
減価償却って、ざっくり何のこと?
はい、まずはざっくりイメージから。
「長く使えるモノを買ったときに、その費用を少しずつ分けて計上する仕組み」
これが減価償却の基本です。
たとえば、100万円の機械を買ったとします。この機械は10年使えるとしたら、1年だけで100万円を経費にするのではなく、毎年10万円ずつ、10年かけて経費として計上していきます。
この“少しずつ経費にする仕組み”こそが、減価償却なのです。
なぜ一括で経費にできないの?
大きな買い物をしたとき、「よし、今年の経費に全部入れよう!」と思いたくなる気持ち、わかります。ですが、税務上は“使用期間に応じて経費にする”という考え方が基本。
なぜなら、その資産は来年も、再来年も役に立つからです。
「今年買って今年だけの効果じゃないよね? だったら費用も少しずつにしましょうね」というのが、減価償却の考え方なんです。
減価償却の対象になるモノとは?
減価償却の対象になるものには、以下のような特徴があります。
-
長く使える(1年以上使用する予定)
-
高額である(10万円以上)
-
固定資産として形がある
たとえば……
減価償却するもの | 内容 |
---|---|
パソコン | 仕事用なら減価償却対象です(10万円以上) |
車両 | 営業車や移動用車両は対象です |
店舗設備 | エアコン、レジ、棚など |
建物 | 自社所有なら減価償却対象です |
ソフトウェア | 無形資産でも対象になるケースあり |
※ただし、10万円未満のものは「少額減価償却資産」として一括経費にできる特例もあります。ここは税理士に確認しながら進めましょう。
減価償却の計算方法は?
主に使われるのは次の2つの方法です。
■ 定額法
毎年同じ金額を費用計上する方法。初心者にもわかりやすく、使いやすいです。
例)耐用年数5年で100万円の設備なら、毎年20万円ずつ経費にするイメージ。
■ 定率法
初年度に多く経費計上し、年々減っていく方法。初年度の節税効果が高いです。ただし、今は法人では定額法が原則になっています。
どちらの方法を使うかは、税務署への届け出や会計方針によって決まります。
減価償却をすると、何がうれしいの?
ここがポイントです!
① 節税効果がある
費用を分散して計上することで、利益をコントロールできます。特に黒字が見込まれる年に設備投資をすると、その年から減価償却で課税所得を圧縮できます。
② 資産の実態がわかる
会計上、資産の価値を“見える化”できます。「もう何年使ってる機械か」「帳簿上はいくら残ってるか」が数字で明確になります。
③ お金の流れと経費を分けて考えられる
お金は一括で払っていても、経費は数年にわけて処理。こうすることでキャッシュフローと利益の動きが一致しない理由が見えてきます。
個人事業主やフリーランスにも関係ある?
もちろん、関係あります!
たとえばフリーランスのデザイナーさんが20万円のiMacを購入したとしましょう。これも減価償却対象。耐用年数に応じて数年間かけて経費にしていくことで、正確な利益管理と節税ができます。
「帳簿とか税務ってよくわからない…」という方でも、まずは購入したものの内容や金額、使っている期間をメモしておく習慣をつけるだけでOKです!
減価償却は“税金対策の土台”です
起業したての方や、これから設備投資を考えている方にとって、減価償却の考え方はとても重要です。
とはいえ、「自分で細かく計算するのは難しいな…」という方は、税理士に相談することが安心・安全への近道です。
まとめ:減価償却は「モノの寿命に合わせたやさしい会計ルール」
難しそうに見えても、減価償却は実はとてもシンプルな考え方。「長く使うモノの費用は、長くかけて計上する」ただそれだけです。
このルールを知っておくだけで、設備投資の判断や、キャッシュフローの管理がぐっとラクになります。
つまり、経営者としての“お金のセンス”が一歩アップするんですね。
ぜひ、減価償却という考え方を味方につけて、あなたのビジネスをしっかり支えていきましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。