
金融機関との「契約書」について|経営者が知っておくべき契約内容と注意点
金融機関(銀行・信用金庫・信用組合など)と取引をするうえで、避けて通れないのが「契約書」です。
今回は、特に借入時に締結する契約書について、経営者の方が最低限押さえておきたいポイントをお話しします。
目次
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金融機関との契約で感じる「署名・押印の多さ」
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なぜこれほど多くの書類が必要なのか
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契約内容の説明責任と経営者が注意すべき点
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借入時に締結する主な契約書の種類
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契約書を軽く考えてはいけない理由
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まとめ|契約書を理解することが資金調達力を高める
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よくある質問(FAQ)
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無料相談のご案内
金融機関との契約で感じる「署名・押印の多さ」
経営者の方であれば、一度はこんな経験があるのではないでしょうか。
「名前と住所、何回書くの?」
「実印、そんなに押す必要ある?」
借入の申込み段階では、
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金融機関所定の申込書
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信用保証協会の書類
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自治体制度融資の書類
など、同じ内容を何度も記入・押印することになります。
そして、審査が無事に通ったと思ったら、
今度は契約書類への署名・押印ラッシュが待っています。
なぜこれほど多くの書類が必要なのか
ズバリ言います。
**「お金を貸す側のリスク管理」**が理由です。
金融機関は、
「誰に」「どの条件で」「どんな責任を負って」お金を貸すのかを
書面で明確に残す必要があります。
これは経営者を疑っているわけではなく、
金融機関としてのルールだと理解しておきましょう。
契約内容の説明責任と経営者が注意すべき点
銀行員には「説明責任」がある
近年は監督官庁からの指導もあり、金融機関には、
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なぜこの書類に署名・押印が必要なのか
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どんな契約内容なのか
をきちんと説明する責任があります。
そのため、本来であれば契約時に
細かい条文について説明を受けているはずです。
「説明したことにされる」ケースに注意
ただし、実務の現場では、
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さらっと流す
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「いつもの内容です」とだけ言う
といった、形式的な説明で済まされるケースも残念ながら存在します。
👉 ポイントはここです。
少しでも不安を感じたら、遠慮なくこう伝えてください。
「時間がかかっても構いませんので、内容をしっかり説明してください」
これは決して失礼なことではありません。
借入時に締結する主な契約書の種類
金融機関や融資制度によって多少の違いはありますが、
一般的には次のような契約書を締結します。
銀行取引約定書(信用金庫・信用組合取引約定書)
金融機関との取引全般について定めた基本契約書です。
借入だけでなく、口座取引全体に影響する重要書類です。
金銭消費貸借証書
いわゆる「借用書」です。
金額・金利・返済期間・返済方法などが明記されています。
保証約定書
代表者保証や第三者保証がある場合に締結します。
経営者個人にとって非常に重い契約になることもあります。
抵当権設定契約書
不動産を担保に入れる場合に締結する契約書です。
将来的な売却や借換えにも影響します。
※それぞれの詳しい内容については、次回以降のコラムで順に解説していく予定です。
契約書を軽く考えてはいけない理由
契約書は、
**「いざというときに効いてくる書類」**です。
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業績が悪化したとき
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返済条件を変更したいとき
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追加融資を相談するとき
こうした場面で、
過去にどんな契約を結んでいるかが必ず確認されます。
まとめ|契約書を理解することが資金調達力を高める
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契約書は「形式」ではなく「中身」が重要
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説明が不十分なら、遠慮せず質問してOK
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内容を理解することが金融機関との信頼関係につながる
「すでに借入はあるけれど、正直よく分かっていない…」
そんな方こそ、ぜひ今後のコラムで一緒に再確認していきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 契約書のコピーは必ず保管すべきですか?
はい、必ず保管してください。
将来の借換えや条件変更時に確認することが多くあります。
Q2. 内容が難しくて理解できません
無理に一人で理解しようとせず、専門家に相談するのが近道です。
Q3. 銀行に質問すると印象が悪くなりませんか?
全く問題ありません。
むしろ「きちんと理解しようとする経営者」は好印象です。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























