
前回に引き続き、長期運転資金について話したいと思います。
今回は長期運転資金という融資方法を金融機関はどのように審査しているのか?
というテーマで進めたいと思います。
長期運転資金とは
日本では最も一般的なお金の借り方であり、
「元本1,000万円を、金利2%で、7年間かけて、毎月15日に、元本12万円+利息分を返済します」という契約です。
※一部元利均等返済で組むこともありますが、それは別の機会で触れます。
前回も申し上げましたが、多くの中小企業が長期運転資金のみでの借入となっています。
金融機関の審査基準とは
では、企業から運転資金での融資の依頼があったとき、銀行はどのような判断基準で審査しているのでしょうか?
審査をする上での金融機関の基本的な考え方、チェックポイント
- 長期運転資金は販売費及び一般管理費(減価償却を除く)の数ヶ月分がメド
- 長期投資(人材の育成や開発行為)についてはその70~100%の金額がメド
- 与信ピーク(=その企業が金融機関から借りた最大額)との比較、超えるなら相応の理由
- 直近の1年~半年以内に延滞がないか(1日でも)
- 融資シェア(良い時は積極的にシェアを取り、悪い時はシェアを増やさないため他行へ)
- 保証協会などの制度上の上限
- 自行がメインバンクかどうか
- 毎月の返済ができる財務的体力(キャッシュフロー)があるか = 償還力があるか
どれも対策は打ちたいところですが、企業側で出来ることも限られます。
延滞しないなど基礎的なことはもちろんご対応をお願いしますが、、、。
今回注目すべきは「償還力」
上記のポイントは全て大事ですが、
今回は最後の「償還力があるか」について詳しく話したいと思います。
償還力とは何か
償還力とは、つまり返済できる力です。
その企業が借りている全ての長期借入(運転、設備など)を年間通して延滞せずに返済できるか、です。
当たり前の話ですが、「返せない人にはお金を貸せません」よね?
ですから、この企業はちゃんと毎月返済ができるのだろうかを判断するのです。
償還力の判断基準
では、その償還力とはどこで判断するのか。
答えは決算書の中にあります。
算出式にすると意外と簡単で、経営者の方でも容易に計算できます。
営業利益 + 減価償却費などの非現金支出経費 = 償還力 ≧ 年間の元本返済額
となります。
要は本業で儲かって今期増えたお金(営業利益)と費用計上しているけど実際には現金が出ていっていない費用(減価償却費など)を足せば、今期稼げた現金の金額がわかる。
今期稼げた現金の範囲内ならば、今期の年間の元本は返せますよね。
という理屈です。300万円増えたなら、300万円返せますよね、ってことです。
具体例
例えば、
営業利益100万円+減価償却費等100万円=償還力200万円
A借入の毎月元本返済額5万円
B借入の毎月元本返済額10万円
C借入の毎月元本返済額8万円 毎月元本返済額の合計23万円×12ヶ月=276万円
この場合、償還力200万円<年間返済額276万円となるので、新たに借りても返済できない状態と判断されます。
となると、「返せないなら貸せない」として審査で否決となるのです。
新たな借入を検討する際のポイント
新たな借入を検討する際には、
償還力 ≧ 既往借入の年間元本返済額 + これから借りる借入の年間元本返済額
となっている必要があります。
今一度、自社の決算書を見返して頂いて、自社の償還力≧年間の元本返済額になっているかどうか、新たな借入が出来るかどうか確認してみてください。
次回予告
「借入による資金調達をしやすい決算書づくり」については別のコラムで触れようかと思っています。お楽しみにお待ちください。
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