
創業融資の面談で失敗しないために──公庫担当者に“刺さる”準備と話し方
「日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業融資って、簡単に借りられるんですよね?」
よく耳にするご質問ですが、ズバリ申し上げます。
“誰でも簡単に借りられる”わけではありません。
確かに、公庫は「創業者支援」を目的とした国の金融機関。
銀行に比べて融資のハードルは低めで、実績のない方にもチャンスがあります。
でも、だからといって「ノープラン」で面談に臨んでしまうと、結果は不採択…。
では、どうすれば創業融資を成功させることができるのでしょうか?
今回は、「創業融資の面談で注意すべきポイント」を徹底解説いたします。
■面談の前に知っておくべき“前提知識”
創業融資における面談は、
書類で伝えきれない“人物評価”を補う大事なステップです。
つまり、面談では、
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あなたの人柄
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事業に対する熱意
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計画の具体性・現実性
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資金使途の明確さ
などが“総合的”にチェックされます。
たとえ事業計画書が完璧でも、
面談で信用を失えば不採択になってしまう可能性も。
だからこそ、準備と受け答えがカギになります。
■面談で“減点される”典型例とは?
では、まずは面談でよく見かける“失敗パターン”をご紹介します。
① 事業内容を説明できない
書類は誰かに手伝ってもらったけど、自分の口ではうまく説明できない……。
これでは「本気度が足りない」と見られてしまいます。
② 数字の根拠があいまい
売上や利益の予測に対して、「なぜこの金額になるのか?」
と聞かれて答えられないと、事業計画の信頼性が一気に落ちます。
③ 自己資金についてごまかす
「自己資金300万円あります!」と申告したのに、
実際には借りたお金だったり……。バレます。確実に。
④ 融資金の使い道が不明確
「とにかく設備に使います」とだけ言ってもNG。
「何に、いくら、いつまでに」使うのかが求められます。
⑤ 態度がふわっとしている
服装がラフすぎる、目を見て話せない、声が小さい……。
面談する公庫担当者も人間です。
「この人に本当にお金を貸して大丈夫かな?」
と思われたらアウトです。
■では、面談で“好印象を与える”には?
ポイントは大きく5つあります。
1. 自分の言葉で事業を語る
書類の丸暗記ではなく、
「なぜこの事業をやりたいのか」「どうやって軌道に乗せるのか」を、
あなた自身の言葉で熱く語ってください。
想いと計画が両立しているかが大事です。
2. 数字に強くなる
売上、原価、経費、利益……これらを聞かれて、
スラスラ答えられるようにしておきましょう。
ざっくりでもいいので、
「なぜそう見込んだか」を語れるように。
3. 自己資金は“通帳で証明”
自己資金は“見せ金”ではなく“実際に貯めたお金”であることが大前提です。
預金通帳を用意し、コツコツ貯めてきた履歴をしっかりと見せましょう。
4. お金の使い方は「内訳」まで語る
設備資金・運転資金の内訳をしっかり伝えましょう。
きちんとした見積書があるとより信頼感が増します。
5. 見た目と態度も大事な要素
服装はスーツやジャケットなど、
清潔感のある装いが無難です。
挨拶や受け答えもハキハキと。
「信頼できる社会人」であることをアピールしましょう。
■よく聞かれる質問と“答え方のコツ”
面談では、次のような質問が頻出です。
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「なぜこの業種を選んだのですか?」
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「競合との差別化ポイントは?」
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「売上の見通しはどう立てましたか?」
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「思った通り行かない場合、どうしますか?」
このような質問には、
単なる理想論ではなく
「経験・準備・対策」に基づいた答えが求められます。
たとえば、「競合との差別化は“価格”です」では弱いです。
「地域密着で同業他社が手薄なBtoBルート営業を得意としています」
といった具体性があると◎。
■面談の後も油断は禁物!
面談が終わってホッとするのも束の間。
公庫からの電話や追加書類の依頼がある場合もあります。
対応は「早く」「丁寧に」が鉄則です。
「連絡がつかない」「書類が遅い」では印象が悪化します。
また、面談後の結果が出るまでに、
1〜2週間ほどかかるのが一般的です。焦らず待ちましょう。
■税理士の同席や事前チェックも“強力な味方”に
ここでぜひお伝えしておきたいのが、「一人で抱え込まない」という姿勢です。
創業融資の面談は、いわば事業のプレゼンテーションの場。
人によっては緊張してうまく話せなかったり、つい数字に弱気になったりしてしまうものです。
そんな時こそ、起業支援に詳しい税理士のサポートが大きな力になります。
例えば、
-
事前に事業計画書の“ツッコミどころ”を指摘してもらう
-
面談で聞かれやすい質問への答え方を練習する
-
面談当日に同席してもらう
こういったサポートを受けることで、
不安が一気に軽くなり、自信を持って臨むことができます。
起業は決して一人で戦うものではありません。
信頼できる専門家と一緒に、
「融資面談」という最初の関門を突破していきましょう。
あなたの夢の第一歩、私たちも全力で応援します。
■おわりに──面談は「試験」ではなく「会話」
面談は緊張するもの。
でも、相手は“あなたの敵”ではなく“味方になってくれるかもしれない人”です。
「事業の夢と現実を、誠実に語れるかどうか」
これが、創業融資面談の最大のポイントです。
どうか、怖がらずに正面から向き合ってください。
しっかり準備すれば、あなたの想いは必ず伝わります。
不安があれば、いつでもご相談くださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。