
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「自走化」って何?
経営者にとって最大の悩みの一つは、「自分が動かないと会社が回らない」状態です。
日々の業務に追われ、新しい戦略を考える時間が取れない…そんな経営を続けていると、事業成長は頭打ちになります。
そこでキーワードとなるのが「自走化」です。
1. 自走化とは?
ズバリ言います。
自走化とは、経営者や上司が指示を出さなくても、組織やチームが自ら考え、判断し、行動できる状態を指します。
これは単なる「放任」や「任せっぱなし」ではありません。
あらかじめ目的・方針・基準が明確に共有されており、その枠組みの中でメンバーが主体的に動ける状態です。
2. なぜ自走化が重要なのか?
理由は大きく3つあります。
① 経営者が「戦略」に集中できる
経営者が日々の細かい業務から解放され、長期的なビジョンや新規事業の構想に時間を割けるようになります。
② 組織のスピードが上がる
指示待ちではなく、現場で即決即断が可能になるため、顧客対応や課題解決が早くなります。
③ 人材が育つ
自ら考え行動する経験を積むことで、社員のスキルや判断力が飛躍的に向上します。
3. 自走化が進まない原因
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経営者が細部まで介入しすぎる(マイクロマネジメント)
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目的や判断基準があいまい
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ミスを許さない文化で、挑戦しづらい
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情報共有の仕組みが整っていない
こうした環境では、社員は「指示されたことだけやる人」に留まり、自走化は進みません。
4. 自走化を実現する5つのステップ
ステップ① ビジョンと目的の共有
組織のゴールや価値観を明確に伝え、全員が同じ方向を向けるようにします。
ステップ② 権限委譲
意思決定の権限を現場に渡し、一定範囲は自ら判断できるようにします。
ステップ③ 成果よりもプロセスを評価
挑戦や改善の取り組みを評価する文化を作り、失敗を恐れない雰囲気を醸成します。
ステップ④ 情報共有の徹底
誰でも必要な情報にアクセスできる仕組みを作り、判断材料を持てる状態にします。
ステップ⑤ 定期的な振り返り
放置するのではなく、定期的に進捗や課題を共有し、改善点を見つけます。
5. 成功事例
A社(ITベンチャー)
週次ミーティングで経営方針を全員に共有し、タスクの優先順位は各チームで決定。
結果、経営者の会議参加時間が半減し、新規事業立ち上げに集中できた。
B社(製造業)
生産ラインの改善案を現場から募る制度を導入。
現場発のアイデアで年間2,000万円のコスト削減を実現。
6. 自走化の落とし穴
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丸投げ:権限を渡すだけで支援やフォローをしないと失敗します。
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評価基準の不明確さ:何を目指すのかが曖昧だと、方向性がバラバラに。
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過度な自由:ルールや仕組みがなければ混乱を招きます。
7. 自走化を加速させる文化づくり
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心理的安全性:意見や提案をしても否定されない環境
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挑戦歓迎の空気:失敗も学びと評価する
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称賛の習慣:成果や努力を言葉で認め合う
8. 今日からできる実務チェックリスト
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社員が自分の判断で動ける範囲は明確か?
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権限委譲の基準やルールはあるか?
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情報共有ツールは全員が使いこなせているか?
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振り返りと改善のサイクルが回っているか?
まとめ
自走化は「経営者が楽をするため」ではなく、組織全体の成長スピードを上げるための仕組みです。
経営者が手を離せる部分を増やすことで、会社は持続的に成長できる体質になります。
「自分が動かないと回らない会社」から「自ら動く会社」へ。
今日から、自走化の第一歩を踏み出してみましょう。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。