
設備資金の正しい借り方|耐用年数と返済計画を意識した融資のススメ
はじめに:設備資金とは?
今回は設備資金についてです。
まずはおさらいを。(2019.6.29投稿のコラムをご参照)
設備資金 = 営業のための車両、機械、工場、倉庫などの固定資産を購入するための資金です。
一般的には減価償却のペースに合わせて返済したりします。
どんな設備投資に使える?
今回は「設備」というモノを購入する資金なので、比較的イメージしやすいかと思います。
事業者の皆さんがご商売をするにあたって、大なり小なり「設備」投資をすることになると思います。
今回は「一括償却できないような比較的大きな設備投資」に使う資金についてお話を進めていきたいと思います。
設備投資の具体例
- 飲食店の厨房機器
- 小売店のディスプレイ用の冷蔵庫
- 運送業のトラック
- 建築業の重機
- 製造業の製造機械(旋盤、MCなど)
- 工場、倉庫などの建物
- 店舗の内外装
- 営業用の乗用車
- 美容関連機器
いわゆる固くて大きな機材です。
「これがないと事業にならない」ものも多く、起業段階で資金調達の大きな割合を占めることもしばしばあります。
融資審査のポイント
設備資金については「用途がはっきりしている」こともあり、融資の審査では(運転資金に比べると)比較的調達がしやすい部類となります。
しかし、金額が大きくなることも多い為、自己資金と天秤にかけられることが多いです。
また、「その設備を入れるとどれくらい売上・粗利に寄与するのか、何年で投資分を回収できるのか」を問われることになります。
返済期間と耐用年数の考え方
冒頭でもありますが、設備投資は原則として「返済年数=耐用年数」にするのがいいでしょう。
設備はそれぞれに決められた税務上の「耐用年数」が設定されており、それを元に減価償却されていきます。
耐用年数を超過すれば、その資産価値は会計上なくなります。
具体例:営業車両の耐用年数と借入期間の関係
例えば400万円で購入した「営業車両」は4年(耐用年数)経過すれば、決算書上の資産価値はなくなってしまいます。
それなのに8年でローンを組めば、4年後の決算で以下のようなバランスになります。
(資産)車両 0円 (借入)●●銀行 200万円
金融機関はこの決算書を見たときに、資産価値のないものに対して200万円も借金が残っていると判断します。
これでは、追加で設備を導入しようとしても、銀行は前向きに検討してくれません。
運送業のように売上が見込めればどんどんトラックを増台していく業態では、特に耐用年数以内に返済期間を設定することを強くお勧めします。
設備投資に資金を調達できなければ、機会損失に直結するためです。
設備投資計画の重要性
耐用年数に合わせることで、返済期間が決まります。
あとは、その返済期間内に投資額を回収できる「設備投資計画」になっているかを確認しましょう。
原則としてその設備を導入したことによる効率化や増収によってその設備借入を返済していきます。
設備投資を考える際には、「設備投資計画」をしっかり作成するように心がけてください。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。