
ダイレクトリクルーティング:未来の経営者のための「攻めの採用」ガイド
こんにちは。もう少しで起業という未来を見据えて、今から採用のポイントを押さえておきたいあなたに、中野裕哲がご案内しますね。採用活動は、事業の未来を築く大切なステップ。今回は「ダイレクトリクルーティング」、つまり「企業主体で、欲しい人材に直接アプローチする採用手法」を、安心して一歩踏み出せるよう丁寧に解説します。
目次
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ダイレクトリクルーティングとは?
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なぜ今、この手法が注目されているの?
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メリット:なぜ小規模や知名度がまだ低い企業にも使えるのか?
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デメリット:覚えておきたい注意点
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採用コスト感と費用体系
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主なサービス比較と特徴
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成功に導くためのステップとノウハウ
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FAQ(よくある質問)
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まとめ:起業前に準備しておきたいこと
1. ダイレクトリクルーティングとは?
ざっくり言うと、求人広告や紹介会社を介さず、求める人材に企業が自らアプローチする「攻めの採用」です。複数のサービス提供者が持つ会員データベースや、SNS、自社のタレントプールを活用し、条件に合う候補者を探してスカウトメールで接触します。
もともとアメリカでは「ダイレクトソーシング」と呼ばれる手法で、能動的な採用として定番になっていました。
2. なぜ今、この方法が注目されているの?
日本では少子高齢化が進み、労働人口が減りつつあり、有効求人倍率は高止まり(売り手市場)。つまり応募がどんどん取り合いになっているんです。
そんな中、求人広告では応募が集まりにくく、人材紹介は成功報酬が高い――。そこで、比較的コストを抑えながらも「自社に合う人材にピンポイントでアプローチ」できる手法として、ダイレクトリクルーティングが注目を集めています。
また市場規模も急成長しています。2024年度には市場規模が前年比23.2%増で、1,074億円に到達したというデータもあるほどです。
3. メリット:小規模でも大きな注目を集める理由
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採用コストが抑えられる
人材紹介と比べると、データベース利用料+成功報酬(あるいは成功のみ)で、1名あたり約60~80万円程度のケースが多く、紹介手数料より低いことも多いです。 -
転職潜在層にもアプローチが可能
「今すぐ転職したい人」だけでなく、「いい機会があれば検討したい」という層にも届く可能性があるため、母集団の幅が広がります。 -
自社にフィットした人材を探せる
紹介会社経由だと年収や手数料基準で選ばれがちですが、ダイレクトだと自社に合う人材、志向性や価値観がぴったりの方に絞り込めます。 -
ノウハウが溜まりやすい
人事担当者がスカウト文面やアプローチ方法を自社で考えるので、採用力や経験が自社内に蓄積され、次につながります。
4. デメリット:知っておきたいハードル
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業務負荷が増える
候補者選定、スカウトメール文の作成、対応まで、確認しながら進める必要があり、負担が増える点にご注意を。 -
短期成果には向かない傾向
転職潜在層にはすぐ動かない方も多いため、スピーディに採用するというより、長期視点で関係構築が必要です。 -
ノウハウがないと結果につながりにくい
どう書けば反応率が上がる?どうタイミングをコントロールする?など、学びながら進めるフェーズがあるのが現実です。
5. 採用コスト感・費用体系
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成功報酬型のみ:採用1名につき60万円前後、というケースもあります。
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データベース利用+成功報酬:全体で80万円ほどというケースもあるようです。
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製品や提供者によって、大きく変わるので、導入前に費用体系をしっかり確認しておきましょう。
6. 主なサービスとその特徴(2025年現在)
以下は代表的なサービスと特徴です(引用情報は2025年6月時点):
サービス名 | 特徴 |
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エン転職ダイレクト | 約442万人の会員。経験豊かな層も多数。 |
dodaダイレクト | 成功報酬なし。複数採用に強い。行動履歴の可視化も。 |
Offers | ハイクラスエンジニア・デザイナー特化。採用期間短め。 |
BizReach | 経営幹部・専門職向け。管理職など即戦力層向け。 |
Green | 若手IT/Web系に強い。スカウト無制限。 |
Wantedly | ベンチャー向け。新卒やアルバイトも対応可。 |
SNSベース。グローバルにも対応。成果報酬なし。 |
7. 成功に導くステップとノウハウ
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採用要件を明確にする
ポジション、必要スキル、求める志向など、なるべく具体的に整理しましょう。 -
自社魅力を伝えるコンテンツの整備
候補者があなたの会社を見たときに、魅力が伝わる採用サイトやブログ、社員メッセージを用意しましょう。 -
スカウト文について工夫する
個別化されているか、簡潔かつ魅力的か、返信しやすいかがポイントです。 -
アプローチタイミングを考える
夜や週末に開封率が上がる場合があります。文面の工夫と合わせて検証するとよいでしょう。 -
カジュアル面談を活用
転職潜在層にはすぐ選考ではなく、まずはカジュアルに話す機会を設けると効果的です。 -
データ分析と改善を繰り返す習慣づけ
返信率や面談率などを定期的に振り返り、文面や対象を調整していきましょう。 -
長期視点でのタレントプール形成
今回は採用に至らなくても、次の機会に活きる関係を築くことが重要です。
8. FAQ(よくあるご質問)
Q1. 起業前のスモールチームにこそ向いていますか?
→ はい。求人広告よりコストを抑えて、ピンポイントな人材に届くので、起業準備中のスモールチームにもおすすめです。
Q2. どのサービスを選ぶべきでしょうか?
→ ターゲット層により異なります。若手IT系ならGreen、ハイクラス層ならBizReach や Offers、汎用的に広く狙うなら dodaダイレクト や Wantedly などが候補になります。
Q3. メッセージはどんな文面が効果的?
→ 相手に合わせた個別化、企業の魅力を簡潔に伝え、「話を聞きたい」というスタンスを見せることが重要です。
Q4. 結果がでるまでどのくらい時間がかかりますか?
→ ケースによりますが、潜在層へのアプローチが多い場合は、1〜2ヶ月くらいは継続的に関係をつくる必要があると思っておきましょう。
9. まとめ:起業準備と採用のスタートラインへ
ズバリ言います。起業前に「自分たちがどんな人材が必要か」「どう伝えるか」「どのサービスが合っているか」を意識しておくことで、採用への不安はぐっと減ります。ダイレクトリクルーティングは「待つ採用」ではなく「攻める採用」。自ら動く姿勢が起業家らしい一歩です。
ぜひ、まず小さくトライして、メール文や選定条件、反応率などを自分たちなりに改善していってくださいね。その経験が、起業後の採用成功へとつながります。
お気軽にまたご相談くださいね。応援しています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。