
繁華街で出店するメリット・デメリット──成功には“選び方”と“準備”がカギ
「繁華街で店を出せば儲かるんじゃない?」
実際、にぎやかなエリアにある店舗は目を引きますが、成功にはちゃんとした設計が必要です。ここではメリット・デメリットを整理し、事業の目的や業態に応じた判断基準も含めてお伝えします。
1. 繁華街のメリット
① 圧倒的な集客力と認知度
人通りが多いため、導線の途中で見つかって入店につながる動線マーケティングが効きます。
写真映えする外観やSNS投稿を意識した内装があれば、若い層の集客にも効果があります。
② ブランド力・ステータス性の向上
繁華街にあるだけで「それなりの店」と見なされやすく、信頼と安心感を顧客に与えやすいです。
とくにランチやカフェ、居酒屋など、営業する業態では好印象につながります。
③ スポット展開・イベントとの相乗効果
繁華街では、期間限定・コラボ系プロモーションが注目されやすい環境です。
たとえばフードフェスやポップアップなどで短期的な盛り上げが多く見込めます。
④ マッチングと出会いの可能性
周辺に業態が集まるとなれば、業務提携や共同イベントも企画しやすくなる環境です。
例えば近隣のバーや美容室とタイアップし合うケースもあります。
2. 繁華街のデメリット
① 高額な家賃と固定費
繁華街は家賃が高く、坪単価で見ると2〜5倍以上になることもあります。
そのため、売上が見込めないと、利益を圧迫しやすいというリスクがあります。
それ以前に物件の獲得競争になる可能性もあり、大手チェーン店とも物件獲得で勝たなくてはなりません。
② 人の流れが早いので粗利が安定しない
繁華街は「通りすがり」の客が多く、リピーター形成には工夫が必要です。
客単価向上のための仕掛けや接客に心を込める必要があります。
③ 競合が非常に多い
同業種や似たコンセプトのお店が周囲に多く、差別化ができていないと埋もれがちです。
プロミスカスタマーに響く明確な強みが欠かせません。
④ 営業時間やオペレーションの制限
繁華街では深夜営業も視野に入るため、人件費、安全対策、設備コストなど、運営の負担が倍増することもあります。
3. 出店の前にチェックすべきポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
ターゲット像 | 通勤客?観光客?カップル?その通りに合うか? |
導線把握 | 主要駅からの流れにお店は合っているか? |
仮説→試算 | 月商、客単価、集客見込を数値化して収支シミュレーション |
初期投資とのバランス | 内装・設備・宣伝費含め、資金回収可能か? |
差別化戦略 | 定義は明確に:「××でしかできない○○」が必要 |
4. 業態別おすすめ戦略
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飲食業:ランチ・仕事帰り・観光客など、1日複数回の導線を活用しやすい
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物販:目立つディスプレイと即興購入狙いのゾーン商品が成功の鍵
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サービス業(美容・マッサージなど):通りすがり+リピーター確保の両立が必要
※ 例えば、飲食×物販の掛け合わせや、体験サービス×物販の融合型モデルなども有効です。
5. 成功する“繁華街出店”に共通するポイント
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導線戦略に基づいた抜け・動線設計
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高単価・客単価アップの設計(セット価格、トッピングなど)
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外観・内装に妥協しない“映える環境”づくり
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リピーター化の仕組み(スタンプカード・次回特典など)
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イベント・キャンペーンで集客×SNS拡散を掛け合わせる
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収支モデルを月次で定点観測する管理体制
6. 繁華街出店を成功に導くための準備と工夫
繁華街に出店するからには、「ただ人通りが多い場所に出す」だけでは足りません。成功しているお店は、事前準備や導線設計に力を入れています。
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近隣店舗の徹底リサーチ
競合の価格帯・サービス内容・営業時間を調べ、自分の店舗にしかない強みを打ち出しましょう。 -
営業時間の柔軟性を持たせる
特に夜型エリアでは、ランチタイム営業よりも夕方〜深夜がメインのほうが収益につながる場合があります。想定顧客の生活リズムに合わせた営業設計がカギです。 -
店舗内外の“見せ方”の最適化
ガラス越しに賑わいが見える・店先で目を引くディスプレイがある・メニュー表が一目でわかるなど、“一瞬で惹きつける仕掛け”が必要です。 -
スタッフ教育と接客力の強化
リピーターが少ないエリアだからこそ、初来店の印象が命。丁寧な接客が「口コミ」や「SNS拡散」に繋がります。
こうした工夫を重ねることで、高コストな繁華街でも「お金のかかる立地」から「稼げる立地」に変えていけるのです。
7. まとめ──繁華街を活かすかどうかは“設計力”にかかっている
繁華街出店はチャンスが多い一方で、固定費の重圧・競合・オペレーションの複雑性も併せ持っています。
大切なのは、「なぜ繁華街を選ぶのか」「どんな導線で客を呼び込むのか」を明確に設計すること。
数字ベースで収支モデルを固め、それを定点チェックしながら実行することで、繁華街でも安定した利益を生み出すことができます。
メニュー・接客・見せ方・リピート戦略など、方向性やアイデアに迷ったら、ぜひご相談ください。一緒に、あなたのお店を人が集まる場所に育てていきましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。