今回のテーマは銀行付き合いについてです。
企業を経営する上で、必ず金融機関と取引をすることになります。
売上入金用の決裁口座はどんな企業でも必要ですよね。
加えて、多くの企業が大なり小なり金融機関から借入をしていることでしょう。
ある程度の事業規模・取引規模になると各金融機関の「担当者」が付くと思います。
そして、その「担当者」から何かしらのセールスを受けることになります。
正直言って、多くの経営者からみれば「不要な提案、不要なセールス」であることが多く、時にはストレスの原因になったりします。
では、そもそも何故「不要な提案、不要なセールス」に終始してしまうのでしょうか?
彼ら金融機関の担当者は、普通の会社員であり「本部から営業目標を貼り付けられた営業員」です。
また、多くの担当者にとってその「目標」は大きく感じられ、お客様にメリットのある提案をしている余裕などない、というのが実態でしょう。
業歴の長い経営者ほど、
「今日中に●●預金をしてもらえないと怒られるので支店に帰れない」とか
「期末なので●●の契約をお願いします」とか
「ご協力をお願いします」とか
お客様側のメリットをほぼ説明せずにただ目標達成のためにお願いセールスに来られる経験をしているのではないでしょうか?
中小企業が取引をする金融機関(地銀、信金、信組)の担当者は、一定期間(3ヶ月~6ヶ月間)の目標を貼られています。
しかも、その目標項目が非常に多岐に渡ります。
金融機関業務のすそ野は広く、ざっと挙げただけでも以下の目標項目くらいは背負っています。
- 預金業務(流動性預金、定期積金、定期預金)
- 為替業務(振込件数、給振件数、ネットバンク契約件数、決済端末契約件数など)
- 法人融資業務(プロパー融資、マル保融資、その他制度融資、POファイナンスなど)
- 個人融資業務(住宅ローン、アパートローン、カーローン、フリーローンなど)
- その他の融資業務(事業承継、M&A、信託、証券化、シンジケートローンなど)
- 保険代理店業務(生命保険、損害保険、医療保険など)
- 資産運用業務(投資信託、生命保険、外貨預金、デリバティブ、証券化不動産など)
- 基盤項目(年金振込指定口座、貸金庫、経営者の会、各種イベントへの参加など)
彼らは平常的な集金業務、預金の満期管理業務、融資稟議の起案・審査業務をやりながら、上記のような夥しい数の目標を全て達成しなければなりません。
期末直前になって「個人定期の目標が足りない」となると、午後からお客様を回らせて、取れるまで戻れないという事態がザラに起こります。
預金や投信・生保などは、極論1日あれば契約可能ですので、期末のギリギリまで追い込みをかけられがちです。
しかし、これは企業側から見ればチャンスであるといえます!
期末や四半期末などを理由に、金融機関側からセールス(ヘルプ?)が来たら、基本的には応えてあげましょう。
融資取引をしているならば、尚更です。
もちろん、貴社の通常業務に影響を与えない取引に限ります。
間違っても「会社から社長にお金を貸し付けて投資信託を購入」みたいなお付き合いはNGです。
※もし、担当者が提案してきたら付き合い自体を考えた方が良いです。
貴社にとって負担のないレベルで取引に付き合い、少しずつ金融機関に恩を売りましょう。
その恩は結構返ってくることが多いです。
次回は銀行付き合いに伴う「優越的地位の濫用」について解説したいと思います。