
日本政策金融公庫の創業融資、全員借りられるの?──その真実とポイント
「日本政策金融公庫の創業融資って、起業するなら全員借りられるんですよね?」
創業を目指す方から、こんな明るいイメージで質問されることもあります。でも実際は……残念ながら全員が借りられるわけではありません。融資への道は、全員に等しく開かれているわけではなく、しっかりと準備が必要です。
ここでは、なぜ「全員借りられる」という誤解が生まれやすいのか、実際に借りられる人と借りられない人はどこが違うのか、そして融資成功のコツを実務家視点でわかりやすくご説明します。
1. 創業融資は「起業を支援する制度」 ― でも信用審査はしっかり
日本政策金融公庫は、創業期の起業家を支援する目的で、審査の甘さやスピードが銀行よりも「ゆるい」とされます。
そのため、「全員借りられる」と思われがちです。
ただ、実際は融資なので、返済能力や事業内容、そして事業計画書などの質を総合的に判断されます。
無担保・無保証で借りやすいとはいえ、誰でも通る仕組みではありません。
2. 審査通過率は半分程度が目安
公庫創業融資の「合格率」は公表されていませんが、専門家の見解では自分ひとりで取り組んだ場合、約30〜50%程度とされます。
つまり、半分以上の方は、ある程度準備して臨んでも通らない現実があります。
特に自己流で申請した場合や準備不足の場合、通過率はさらに下がることもあります。
3. 審査で見られる「4つの重要ポイント」
では、審査官が「借りるに値する」と判断するのはどのような人でしょうか?主な判断軸は以下の通りです。
① 事業計画に説得力や現実性があるか
売上予測・競合分析・収支計画などに客観的根拠があるか。
② 自己資金があるかどうか
「融資額の1/3程度」は理想。特に無担保の場合、自己資金の存在は大きな信頼となります。
③ 信用情報(借入・返済履歴)は健全か
多重債務・返済延滞歴・過去の債務整理などは、審査で評価を下げる原因になります。
④ 創業者本人の経歴や返済意思が明確か
起業家自身の思い・行動力・事務力や誠実さなども評価対象です。面談での応対が重要な要素になります。
4. 誰でも借りられるわけではない理由
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書類不備や事業計画書の内容が薄い
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自己資金が不足している
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個人信用情報に問題がある
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本人の説明に熱意や現実性が感じられない
これらがあると、融資希望額は減額されたり、審査落ちになることがあります。融資が「誰でも通るもの」と思うのは、危険な場合もあります。
5. 成功する人とそうでない人の違い
借りられる人に共通する特徴は以下です:
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十分に自己資金を貯めている
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計画書に根拠がある(見積書・市場調査・経験など)
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専門家(税理士・中小企業診断士など)のサポートを受けている
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面談で熱意と現実感を持って話せている
一方、借りられない人は…
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書類の質が低い
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自己資金がほぼゼロ
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面談で場当たり的だったり詰めが甘かったりする
というケースが目立ちます。
6. 通すための戦略とアドバイス
融資を通すためには、以下のような戦略がおすすめです:
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事業計画は数か月前から丁寧に策定する
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少額でも自己資金を積み重ねる(融資額の1/3目安)
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信用情報は自己確認し、必要に応じて改善
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専門家の事前チェックや面談対策を活用する
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模擬面談などで面談シミュレーションを実施する
こうした歩みを踏めば、スムーズな審査通過が期待できます。
7. 専門家支援を受ける価値は大きい
成功率を高める最短の方法は、経験ある専門家に支援を受けることです。
具体的には…
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事業計画書のツッコミポイントや補強点の抽出
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面談への回答力と自信の強化
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自己資金をかき集める方法のアドバイス
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有利になる、不利にならない会社設立の提案
これらのサポートにより、通過率を100%近くまで引き上げることも可能です。
8. まとめ─融資は誰でも借りられるわけではない
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日本政策金融公庫の創業融資は「審査あり・無担保でも借りやすい制度」ですが、誰でも借りられるわけではありません。
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自分ひとりで取り組んだ場合、おおよそ通過率は30〜50%と言われている。経験豊富な専門家のサポートを受ければ、可能性は高まる。
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成功のカギは、「事業計画・自己資金・信頼性・面談の質」。
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ご自身や計画に不安がある場合は、専門家と一緒に備えることで、結果が大きく変わります。
9. 不安があるなら、まずは「小さな一歩」から
「書類が難しそう」「自己資金が足りない」「面談が不安」……そんな声をよく聞きます。でも、心配しなくて大丈夫。最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは、今ある情報で簡単な事業計画書を作ってみる。通帳を確認して、今の自己資金を把握する。そして、無料相談や創業セミナーなど、使える制度を活用してみる。
こうした“小さな一歩”の積み重ねが、やがて“融資を通す力”につながっていきます。
どんなに不安でも、動き出すことで見えてくることはたくさんあります。
終わりに―準備こそ信用を築くファーストステップ
創業融資は、単なる“資金調達”ではありません。あなたの“信頼”や“覚悟”を形にするステップでもあります。
「全員借りられる」とは限りませんが、誠実に準備し、計画を練り、専門家と共に進めれば、確実に「借りられる人」に近づいていけます。
最初の一歩が不安でも大丈夫です。あなたの夢や想いを、カタチにするお手伝いを、私たちも全力でいたします。お気軽にご相談くださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。