【行動経済学】「現在バイアス」と先延ばし行動の正体とは？仕事や経営で使える心理学的ヒント

はじめに

こんにちは、中野裕哲です。
今日は「行動経済学」の中でも非常に有名な概念、現在バイアスについて解説していきます。

皆さんも心当たりがあるはずです。

• 夏休みの宿題を最終日にまとめてやった

• やらなきゃいけない仕事をつい後回しにしてしまう

• メールの返信が気づいたら数日遅れていた

これらはすべて「現在バイアス」と呼ばれる人間の心理的な癖から生じています。

経営者や企業家にとっても、この「現在バイアス」を理解し、対処することは非常に重要です。なぜなら、先延ばし行動は 意思決定の質 や 成果 に直結するからです。

この記事では、動画の内容をベースにしながら

• 現在バイアスとは何か

• 実験で明らかになった人間の行動パターン

• ビジネスや日常での実践的な対策法
  をわかりやすくまとめました。

現在バイアスとは？

現在バイアスとは、
「将来の利益よりも、目の前の利益を優先してしまう心理傾向」 のことです。

例えば、

• 「1週間後に10万1000円」より「今日すぐ10万円」を選ぶ

• 「長期的に得する投資」より「今すぐ快楽を得られる消費」を優先する

• 「仕事を分割して計画的にやる」より「締切直前に一気にやる」

人間は理屈では「先延ばしは良くない」と分かっていても、目の前の快楽や安心感に流されがちなのです。

夏休みの宿題に見る「現在バイアス」

子供の頃の「夏休みの宿題」を思い出してください。

• 7月中に終わらせてしまう子

• 8月末になって慌ててやる子

ほとんどの人は後者に近いはずです。これは、 「まだ時間があるから大丈夫」と考えてしまう思考の罠。

私自身も、小学校低学年の頃は7月中に宿題を終わらせていましたが、ある時「別に急がなくてもいいんじゃない？」と気づいてしまった瞬間から、完全に先延ばし体質になってしまった記憶があります。

これはまさに「現在バイアス」が身についてしまった瞬間でした。

有名な実験「構成実験」

現在バイアスを証明する代表的な実験のひとつが「構成実験」です。

実験内容

大学生に「文章の誤りを修正するレポート」を課題として与え、3つの条件を設定しました。

• Aクラス：提出期限は自由。いつでも提出してよい。

• Bクラス：学生自身が締切を設定。ただし遅れるごとに成績を減点。

• Cクラス：教授があらかじめ3つの締切を設定。

結果

最も成績が良かったのは Cクラス（教授が締切を決めたグループ） でした。

逆に最も成績が悪かったのは Aクラス（いつでも提出可能なグループ）。

つまり、人間は締切がないと全力を出せない ということです。

先延ばし行動のメカニズム

現在バイアスが引き起こす「先延ばし行動」の原因は大きく2つあります。

1. 目の前の利益を過大評価する心理
   　「今の楽しみ＞将来の利益」という錯覚。

2. 確定性を重視する心理
   　「未来の不確実な利益より、今すぐ手に入る利益を確定させたい」という欲求。

これらが組み合わさることで、私たちは「今やるべきこと」をつい後回しにしてしまうのです。

ビジネスでの影響

経営や仕事の現場でも、現在バイアスは大きな影響を及ぼします。

• 経営者の意思決定
  　長期的に得する投資や施策を後回しにし、目先の売上や短期的利益に偏る。

• 従業員の行動
  　締切が明確でないタスクは後回しにされ、結果的に品質が下がる。

• お客様の行動
  　「今すぐ得られるメリット」に強く反応するため、マーケティングでは「即時性」を意識した施策が有効になる。

現在バイアスへの対策

1. 自分で締切を設定する

「1か月後に提出」ではなく、「1週間ごとに進捗を確認」といった小さな期限を作ることが有効です。

2. 第三者に管理してもらう

部下に対しても「とりあえず1週間後に中間報告して」と伝えると、先延ばしを防げます。

3. ご褒美とペナルティを用意する

タスクを終えたら小さな報酬を設定し、逆に遅れたらペナルティを課す仕組みを作る。

4. 行動経済学をマーケティングに活用

顧客に対しては「今だけ」「すぐに得られる」という要素を提示することで、行動を促しやすくなります。

まとめ

• 現在バイアスとは：目の前の利益を優先し、計画を先延ばしにしてしまう心理傾向。

• 夏休みの宿題やメールの返信など、誰にでも経験がある。

• 構成実験では、締切を小分けに設定することで成績が上がることが証明された。

• ビジネスでも重要：意思決定や行動の質を高めるには「期限の管理」が欠かせない。

• 対策はシンプル：「自分や部下に小さな締切を課す」こと。

人間は誰しも「現在バイアス」というクセを持っています。
しかし、そのクセを理解し、上手に仕組みを作れば、先延ばしを防ぎ、成果を最大化できるのです。

動画ではさらに具体的な実例や実践法について解説されています。
「自分も先延ばし体質かもしれない」と思った方は、ぜひチェックしてみてください。