
はじめに
「OEMでオリジナル商品を作りたいと思ったら、最低ロットが1000個って言われたんです…どうしたらいいでしょう?」
こんな相談、起業支援の現場では日常茶飯事です。
ズバリ申し上げます。
“最低ロット”を制する者が、起業初期のキャッシュフローを制するのです!
この「最低ロット(Minimum Order Quantity=MOQ)」という言葉、一見シンプルですが、起業を志すあなたにとっては、資金繰り・在庫リスク・販売戦略といったあらゆる要素に関わってくる重要キーワード。
この記事では、特に物販や製造ビジネスを考えている起業家の卵の方に向けて、「最低ロット」の基本から交渉術、現実的な対応策まで、やさしく、でも実務に即してズバッと解説していきます。
第1章 「最低ロット」とは何か?
1-1. 定義とビジネスへの影響
最低ロットとは、メーカーやサプライヤーが「この数量以上でしか生産・販売しませんよ」と設定している注文の最小単位のこと。
たとえば:
- ボールペン:最低ロット500本
- 化粧品OEM:最低ロット1000個
- 衣料品:最低ロット300着
この“数”は、起業家の資金計画・販売計画・在庫戦略にダイレクトに影響します。
第2章 なぜ「最低ロット」が設定されているのか?
メーカー側の視点に立って考えてみましょう。
- 製造ラインの立ち上げコスト(準備・調整)がかかる
- 原材料の仕入れもロット単位である
- 小ロットだと採算が合わない
つまり、“ある程度まとまった数”でないと、赤字になってしまうのです。
第3章 起業家が直面する「最低ロット問題」
3-1. 起業初期の「在庫リスク」
仮に最低ロット1000個の化粧品を作ったとして、それを3ヶ月以内にさばける自信はありますか?
最悪の場合、在庫がそのまま不良在庫に……。
その資金が他に回せていたら、広告費や仕入れ費などに充てられていたかもしれません。
3-2. 資金繰りに影響大
在庫=キャッシュが“商品”という形で寝てしまう状態。
最低ロットを甘く見ると、資金ショートの引き金になります。
第4章 最低ロットとどう付き合うか?
4-1. 小ロット対応メーカーを探す
「小ロット対応」や「テスト生産OK」のメーカーも増えてきました。
ネットで探すだけでなく、展示会や地域の産業支援センターなども積極的に活用してみましょう。
4-2. 複数社で共同発注する
これはアイデア勝負!
同業の起業家仲間と「同じ容器を使うなら一緒に発注しませんか?」というアライアンスも有効です。
4-3. 「交渉する」勇気を持つ
最初からあきらめないでください。
「初回はテストマーケティングなので、100個で対応してもらえませんか?」
この一言が言えるかどうかで、未来が変わります。
第5章 私のクライアントがやった!成功事例
あるクライアントは、化粧品OEMの最低ロット1000個を提示され、困っていました。
しかし、彼は試しに「初回だけ300個でお願いできませんか?」と交渉。製造業者も新規開拓に前向きだったため、交渉成立。
そこから、初期投資を抑えた分、WEB広告に注力し、3ヶ月後には見事完売!次回は堂々と1000個で再発注しました。
交渉力と柔軟な戦略が成功の鍵だったのです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 最低ロットを交渉して減らすのは失礼では?
A. そんなことはありません。きちんと理由を添えて丁寧にお願いすれば、むしろ誠意ある起業家として好印象を持たれます。
Q2. 在庫を抱えるのが怖いのですが…
A. 不安があるなら、まずは在庫を持たないビジネスモデル(受注生産、ドロップシッピング)なども検討しましょう。
Q3. 卸業者を使うとロットが小さくできますか?
A. 可能性はありますが、その分、1個あたりの単価が高くなるリスクには注意が必要です。
Q4. 最低ロットがある製品しか取り扱えないのでしょうか?
A. 最近は1個から作れるオンデマンド印刷や小ロット生産技術も進化しています。探せば道はあります。
まとめ
「最低ロット」は、起業家にとって“制約”であると同時に、“戦略ポイント”でもあります。
怖がる必要はありません。
大切なのは、最低ロットという条件を前提に、どう資金繰りと販売戦略を構築するか、どう交渉力を磨くかです。
在庫とキャッシュのバランスをどう取るか。 これを意識して起業準備を進めることで、事業の生存率は確実に上がります。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。