
融資資料ってどんなものが必要?
ご覧いただきありがとうございます!
V-Spiritsグループの元信金マン、こみねっちです。
このコラムでは、実際の融資相談の現場でよく受ける質問や、多くの方がつまずきやすいポイントをテーマに、実務目線でやさしく解説しています。
今回は、創業融資・事業融資の場面で避けて通れない「資料作成」について。
「融資を受けるには、どんな資料を作ればいいのか?」というご質問に、ズバリお答えします。
資料の分量に正解はない
まず大前提として、融資申請に必要な資料の「分量」に明確な正解はありません。
実際、私がご相談を受けるお客様の中でも、
A4一枚でまとめた事業計画書を持ってくる方
パワーポイントで30枚以上のスライドを作成する方
手書きのメモをベースに口頭で説明する方
本当に人それぞれです。
金融機関の審査においては、「何ページあるか」よりも“どんな内容が書かれているか”が重要です。
つまり、「分量より中身の質」が問われるということなんです。
銀行員が作る稟議書の実際
では、銀行員は融資の審査時に、どんな資料を見ているのか?
そして、銀行内部で作られる「稟議書(りんぎしょ)」には何が書かれているのか?
元信金マンとしての経験から言えば、銀行員が作る稟議書においても重視されるのは、
数字の裏付け(売上見通し・利益率・返済原資)
経営者の人物像(経験・スキル・熱意)
市場性と収益性(そのビジネスに可能性があるか)
です。
銀行員自身も、限られた情報の中で本部の審査部に対して説明責任を果たさなければならないので、わかりやすく、納得性のある資料を求めているんです。
会社概要より「強み・セールスポイント」
よくありがちなのが、「会社概要」「理念」「設立の経緯」などを丁寧に書いた資料を出すケース。
もちろん、これらが無駄というわけではありませんが、銀行員の目線で見ると、それよりも重視したいのが、代表者やチームの強み、そして事業のセールスポイントです。
これまでのキャリアで何を積み上げてきたか?
他社との違いや優位性は何か?
成功の可能性をどう証明するか?
たとえば、同じ「飲食店の開業」でも、
調理師歴10年で有名店出身
フードコーディネーターとしての実績多数
地域密着型のコンセプトと地元食材を活かしたメニュー
といった具体的な強みや裏付けがあるだけで、金融機関の印象は大きく変わってきます。
サービス紹介はマーケットインを意識
次に大切なのが、サービスの紹介方法です。
自社のサービスや商品について説明する際、どうしても「すごいんです!」「他にはない革新性!」という“プロダクトアウト”な発信になりがちですが、銀行員が求めているのは“マーケットイン”の視点です。
つまり、
「どんなお客さまに」
「どんなニーズがあって」
「それにどう応えるのか」
という視点で書かれていると、非常に伝わりやすく、稟議書にもそのまま反映しやすいのです。
たとえば、
×:「この美容室は最新機器を導入したハイスペックな店舗です」
○:「仕事帰りに立ち寄れる30代女性向け。待ち時間ゼロを実現する予約制で、利便性を重視したサロンです」
といった感じです。
数値目標は「達成可能性」と「根拠」が重要
続いて、数値目標に関するポイントです。
売上や利益、返済可能性などの数字は、審査の核心です。
とはいえ、あまりに現実味のない「夢物語のような数字」では、かえって逆効果になってしまいます。
ここで重要なのが、
達成可能な数字か?(現実性)
なぜその数字になるのか?(根拠)
この2点をきちんと説明できることです。
たとえば、
月間20人の集客見込みは、プレオープン時の反応やアンケートを根拠にしている
単価設定は近隣競合との比較調査に基づいている
人件費は自分+パート1名でシミュレーションしている
といった形で、具体的な裏付けを添えることで、銀行員も稟議書を自信をもって作ることができるようになります。
資料作成の極意:簡潔にして、深く、濃く
最後に、私がいつもお伝えしている「資料作成の極意」をまとめます。
それは、
「資料は簡潔にして、内容は深く、濃く」
ということ。
ページ数が少ないからダメ、ということはまったくありません。
逆に、何十ページもあっても、情報が薄くて読みづらいと、銀行員からすれば「何が言いたいのか分からない」資料になってしまいます。
理想は、3〜10ページ程度で、
表紙・概要
代表者の強み
サービスの内容と市場ニーズ
数字と根拠
資金使途と返済見込み
が整理されている資料です。
ポイントを押さえて伝えれば、それだけで銀行員は動きやすくなります。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 融資担当営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。成績ばかりを追い、取引先を理解できず苦戦するが、企業の本質を知ることの重要性に気づく。以後、信頼関係を築き、資金繰りや融資支援に注力。経営難の企業に融資の基本を伝え、3ヶ月で1.5億円の資金調達を実現。この経験を原点に、中小企業の資金繰り支援を使命とし、日本の企業成長に全力を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。
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